(408)ドイツ最新ニュースに学ぶ(1)・何故市民はコロナ禍で扇動されるのか?(ZDFズーム『コロナ神話の力・民主主義の危機(1)』)

ドイツ最新ニュースに学ぶ(1)

今年から初心に戻り、ドイツの最新ニュースをブログに載せることで私自身学ぼうと思っています。

 

1)トランプ支持者の国会議事堂襲撃(1月7日ZDFheute)

ドイツ最新ニュースをネットで世界に公開し、誰もが無料で全ての放送を少なくとも2か月に渡って見ることができる公共放送ZDF、その1月7日ニュースは衝撃的であった。

上の動画を見れば明らかなように、トランプ支持者の国会議事堂襲撃は大統領の扇動によることを、トランプの演説などの映像で検証している。

そしてZDFの編集者ジュリア・クラウスは、Qアノン、ネオナチ、プラウドボーイズなどの陰謀論者が先頭に立って襲撃し、それを扇動したのはトランプ自身だと明言していた。

陰謀論メルケルの新年挨拶でも、コロナ禍で勢いを増して来ていることを懸念していたが、何故今拡がって行くかは、下に載せたZDFズーム『コロナ神話(陰謀論)の力』が追求している。

2)ドイツのコロナ制限

ドイツのコロナ感染の第一波は4月末には終息に向かい、その後1日の感染者数は500人前後に抑えられていたが、経済活動が再開されると徐々に増えだし、9月末には2000人を超え、さらに10月末には2万人を超えたことから、、再び11月2日より飲食店や娯楽施設の営業が禁止され、子供たちの保育所や学校が閉鎖され、市民も15キロ以上の外出が禁止されるなど、行動の自由が大きく制限されて来た。

これらの制限措置で爆発的増加は止まったが、以前として1日の感染者数は2万人前後と高止まりしているため、制限措置の延期が打ち出され、事実5日には1月末まで延期を決めている(このニュースで問題となっている学校などの閉鎖は継続されることになった)。

ここでは載せなかったが1月9のニュースでは、政府及びロベルト・ゴッホケン研究所見解は、既に50万人以上のワクチン接種がなされており、ワクチンも十分用意できており、ワクチン接種が徐々に早まるとして、明るい展望を示していた。

日本では緊急事態宣言と言っても余りに中途半端であり、ドイツ感染者の爆発的増大の経過から見れば、これで乗り越えることができるかは大いに危惧される。

 

3)新しい自動車炭素税(1月3日)

ドイツはEUのグリンニューディール政策を牽引することもあって、新年から動画で見るような新しい自動車炭素税を導入した。

ドイツは炭素ゼロの目標を立てるだけでなく、次々と措置を実施し、炭素排出抑制に努力する国民、そして企業が利するようにインセンティブを効かし、確実に炭素ゼロ社会を実現しようとしている。

これに対して日本でも2050年には炭素ゼロの水素社会移行を打ち出しているが、水素製造は石炭からの製造であり(その際出る二酸化炭素は地下貯蔵としているが、このようなやり方はドイツ経済研究所は詳しい研究で困難だと否定している)、実現する青写真やインセンティブに欠けており、京都議定書の約束を反故したように、このままでは目標を打ち上げるだけに留まろう。

それでは、最早トランプなき世界では通用しないだろう。

 

何故市民はコロナ禍で扇動されるのか?(ZDFズーム『コロナ神話(陰謀論)の力・民主主義の危機(1)』)

 

上の動画はZDFズームが2020年7月24日に放送したものであり、コロナ禍で陰謀論がドイツ中で勢いを増し、ドイツの民主主義さえ脅かされるようになり、公共放送として陰謀論の実態を追求せずにはいられなかったからでもある。

陰謀論は人類の誕生以来禍を通して存在し、不条理で複雑な社会になるにつれて、禍の犯人を単純化して、人々を動かす道具として使われて来たと言われている。

中世や近代であれば、禍の犯人は魔女やユダヤ人であり、第二次世界大戦では標的はユダヤ人撲滅のホロコーストであり、トランプ誕生以降の世界では、陰謀論の標的は民主主義と言っても過言ではない。

1月7日のZDFheuteが伝える上に載せた“トランプ支持者の国会議事堂襲撃”では、その歴史的事件がトランプ誕生以来の民主主義の制度や伝統の攻撃を総括するものと述べるように、今や陰謀論のフェイクがツイッターなどを通して世界を駆け回り、民主主義が危機に晒されている。

『コロナ神話(陰謀論)の力・民主主義の危機』では、フイルム制作者のジュリア・レェシュとアルノット・ギンゼルが陰謀論者の表現方法や行動を追求し、多くの政治、ジャーナリズム、そして学識分野の陰謀論専門家の意見を聞き、その真相に迫っている。

(407)救済なき世界”をそれでも生きる(29)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(7)ベーシックインカムが新たな世界を創る・ 2020年を締めくくれば・2021年メルケル首相新年挨拶

2021年メルケル首相新年挨拶

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メルケル首相新年挨拶に日本語字幕を付けて載せることが私の恒例となったのは、彼女が2015年避難民受入れのために、ドイツ中のキリスト教民主同盟CDU党員集会での激しい反対にもかかわらず、政治生命をかけた時からだ。

CDU内、そして国民の反対が高まるなかで、「基本法の庇護権には制限がない。救いの手を差し伸べないなら、私の祖国でない」と明言して、2015年は100万人以上の避難民をドイツに受け入れ救ったからであった。

確かにメルケル首相は2011年の脱原発宣言でも、与党内の過半数原発維持を支持していたにもかかわらず、福島原発事故直後に倫理委員会を招集し、公共放送でその議論を何日にも渡ってガラス張りに公開し、圧倒的多数の脱原発世論形成でこれまでには在り得ないことを起こした。

もっとも避難民受入れた後、各地でトラブルが拡大し、世論調査でもメルケル支持が急減したことから、翌年からはトルコとの折衝で避難民収容施設をトルコに造り、そこでドイツ受入れ審査を厳しくしたことから激減していったが、メルケルが自国民であろうが他国民であろうが全てを投げ捨てて、絶えず弱者を救おうとして戦ったことは、これからの困難多き世界の未来に、一筋の明かりを灯したことは確かである。

今回のスピーチの終わりでも、自ら述べているように、最後の新年挨拶であり、来年から人々の希望を鼓舞するスピーチが聞けないことは非常に残念である。

彼女はその新年挨拶の終わりに、「現在のコロナ禍にあるドイツは15年間の首相在任中最も困難な時ですが、全てに心配と懐疑があるにもかかわらず、かくも希望を持って新年を迎えたことがありません」と結んでいるのは、まさにメルケルの幼少期からの生きる術なのだろう。

彼女のプロテスタンス宣教師の父は、東ドイツ誕生直後にハンブルクから移住し、「教会とマルクス主義の平和的共存」を主張したことから、組織批判者として家族も絶えず監視され、困難な時代を自己主張封印で育ったと言われているが、封印の下で理想を育んでいたからこそ、現在のメルケルがあると言えるだろう。

統一後コール首相の下でも、自己主張封印を徹底して、コールを支えたからこそ頂点に上り詰め、金融危機を契機として、その封印が徐々に解かれ、キリスト教民主同盟を大きく変えるだけでなく、現在の強者の新自由主義世界とは異なる弱者に優しいドイツに導いたと言えよう。

それ故にドイツ政界から退いた後は、メルケル政権を長年に渡って支えた腹心の現在欧州委員会委員長(ウルズラ)ライエンがEUを率いていることから、国連に場を移して、世界のメルケルになって未来に希望を灯してもらいたい。

 

灰とダイヤモンド”一筋の光

 

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上の動画、公共放送rbbの視聴者投票シリーズ番組「私たちは議論しなくてはならない・・・ベーシックインカム」は、時間的なことから3.4,5を省き、終わりの締めくくりと視聴者投票状況に留めることにした。

それでも、この放送には迫真性性が感じられる。

それは洋裁工房を営むメルツさんが、ベーシックインカム請願に辿り着いた際、すなわち最初のドイツのロックダウンの際、請願の選択しかない程苦しく惨めだった事を思い出し、思わず泣かずにはいられない思いを表情が伝えていた。

また司会者が、CDUグラフ議員の意見が余りにも煮え切らないことに思わず切れて、議論を打ち壊すのかと怒った場面からも、その迫真性が伝わって来た。

CDU議員グラフが踏み込んでベーシックインカムに反対を唱えないのは、今回の投票結果でもわかるように、ドイツ市民が圧倒的にベーシックインカム導入に賛成しているからである。

尚グラフ議員が論拠と挙げたドイツ経済研究所は、長年ベーシックインカムに否定的であった所長マルセル・フラシャーが自らベーシックインカム導入の検証の必要性を説き、今年8月から応募者の中から120人を選び、3年間毎月1200ユーロを支給し、市民の生き方がどの様に変わるか検証を始めている(注1)。

そのようなドイツ経済研究所の論拠をグラフ議員が持ち出したのは、2021年の新しい年が連邦議会選挙の年であり、与党キリスト教民主同盟メルケル退陣で左派(メルケル後継側)と右派が嘗てないほど分断されており、政権継続だけでなく政党自体が危機にあり、これまでのように市民の賛成するベーシックインカムに真っ向から反対するのは得策でないからであろう。

しかしそのようにキリスト教民主同盟が危機にあること自体も新たな時代への兆しであり、現在ドイツがコロナ禍でロックダウンに近い状況であるにもかかわらず、“灰とダイヤモンド”を見るように一筋の光が見えて来る。

 

年の終わりにベーシックインカムを締めくくれば

 

2020年12月16日の朝日新聞耕論「ベーシックインカム考」では、二人の学者が賛成と反対で意見を述べていた。

賛成の山森亮教授は、生活保護基準以下で困窮する人たちの2割前後しか生活保護を受給できておらず(自動車所有ができないなどの厳しい審査等)、選別的ではなく全ての人への(審査なし)条件なしベーシックインカムの必要性を強調している。

そして自らもベーシックインカムネットワーク理事をして推進に努力しているが、抜本的改革が不可欠なため超党派の合意の下、数十年単位で推し進めないと実現しない明言している。

確かに現在の日本の指針に、攻撃を受けかねない集団自衛権治安維持法にもなりかねないテロ特措法で、意義を申し立てただけで、学術会議委員選考で拒否される国においては、そのような形で辛抱強く導入の実現を目指して行くしかないとしても、それでは現在救いを求めている人たちは救われない。

反対の宮本太郎教授は、ベーシックインカム導入で現在の社会保障が縮減され、究極的に低額のベーシックインカムと自助だけの社会になりかねない危うさを強調していた。

現行の不透明で再配分効果が弱い社会保障制度を満足させるためには、もっと確実で効果的な、例えば低所得世帯の家賃補償のような所得保障政策を推奨している。

また財源に関しても、I Tネットワークがコモンズで形成されていることから、巨大I T企業に応分な負担を求めていた。

それらは正論としても、グローバル資本主義によって生じた現在の異常な格差にまで踏み込まなくては、結局これまでと同様に貧困と格差が益々下へ下へとスパイラルして行くのではないかと感ぜずにはいられなかった。

踏み込むべきは、貧困を解消できない格差を生じる仕組であり、格差を生じているは1970年代所得税最高税率75%が現在の45%まで下がり、富の再配分を機能させていないことにある。

(条件なし)ベーシックインカム導入は、即効的に困窮者のない社会を創るだけでなく、財源を富の再配分が機能する方向で所得税最高税率などを戦後の分かち合いの時代に戻し、著しい格差を解消する突破口とすべきである。

実際ブログ304で述べたように、ドイツのリンケ政党は既に2017年の連邦議会選挙綱領にベーシックインカムを掲げ、高額所得者にだけ「富める者が富めば、貧しい者も自然に豊かになる」という現在世界の至る所で疑問視されるトリクルダウン理論で軽減されている税体制にメスを入れ、ベーシックインカム税導入で95%の国民が潤う方法を提示している。

また気候変動の「未来のための金曜日」運動などで、急速に支持を20%にまで倍増している緑の党も2021の連邦議会選挙でベーシックインカム導入を選挙綱領にすることを、11月22日の党大会で決めている。

そのような党大会決定を促したものは、ドイツ中の圧倒的多数の緑の党市民がベーシックインカム導入で気候変動解決と格差解消を望んでいるからである。

緑の党の具体的ベーシックインカム政策はこれから論議されるが、財源に関しては所得税の再配分強化に加えて、裕福層に負担を重くすると同時に、環境に負荷を与える製品や輸送等に課税(消費税)を徐々に高めていくエコロジー税制を原点に戻って復活させることで、気候変動を解決するだけでなく、世界をオルタナティブな格差の小さい緑の世界に変えていこうという機運が感じられる。

今コロナ禍の日本で緊急に必要なのは、その禍を最も激しく受けている生活保護を受けておらず生活保護以下で困窮する多くの人たちで、困窮を訴えるだけで審査なしに、ドイツのように少なくとも6か月手厚く支援保護されなくてはならない。

しかし一過性のものであれば本質的には何も解消されず、前回述べたようなパパ活といった個人売春の類が日常茶飯事となってくるだろう。

さらに地球温暖化の進展で、洪水や干ばつによって暮らしに困窮する人たちにより重く皺寄せを与えることは明らかであろう。

また現在のコロナ禍を乗り越えたポストコロナの世界では、人工知能によるデジタル化とオートメーション化が急激に進み、大半の雇用が奪われ、そのままでは失業者が溢れてくるだろう。

それは、最早これまでのようにケインズ的な公共事業で対処できるものではないだろう。

それはウルリッヒ・ベックが主張するように、ベーシックインカム導入で歓喜する勝利にしていかなくてはならない。

すなわち人工知能によるデジタル化とオートメーション化で代替できる仕事を推進すれば、人の働く時間は年々少なくなり、しかも生きがいの持てる仕事を自由に選択できる歓喜の時代は、ベーシックインカム導入で既に私たちの懐まで来ている。

それは強者と弱者が分かち合う時代の始まりであり、貧者のない世界、自然環境と共存できる世界、争うことのない差別なき世界、そして働くことに生きがいを持てる世界への第一歩になり得ると確信する。

 

今年はコロナに明け、コロナに暮れる、自らにとっても嘗て体験したことのない閉ざされた年であったが、それに逆らうことなく対自し、晴耕雨読で嘗てないほど落ち着いて過ごせたように思う。

新しい年も世界でワクチン接種が始まったからと言って、コロナ終息には数年かかるというのが多くの専門家の見方であり、終息後も以前に戻ることはないであろう。

それでも、自らの生き方を含めて、以前には見えない光が見えて来たと、年の終わり言いたい。

 

(注1)

ドイツ経済研究所は、財源を連邦とベルリン州で折半するガラス張りに開かれた公的研究機関であり、経済問題だけでなく社会問題や環境問題に至るまで調査研究し、研究発表者のインタビュー音声報道などを通して国民の誰もが調査結果をわかり易く理解できるように配慮しており、まさにドイツ市民のシンクタウンであり、ドイツ市民の倫理的民主主義を啓蒙していると言っても過言でない。

そして今年ドイツ経済研究所が8月に条件なしベーシックインカムを始めた際の所長マルセル・フラシャ-の説明は以下のようなものであった。

私は長い間条件なしベーシックインカムの批判者で、導入反対論拠(人々を怠惰にするプレミア)を確信していた。(Ich war lange Zeit ein Kritiker des bedingungslosen Grundeinkommens. Mir schienen die Gegenargumente überzeugender.)

 しかしこの10年.ドイツは好景気であったにもかかわらず、中間所得層が、貧困リスク(中間層平均所得の60%未満の割合)の上昇から、益々没落している事実は、社会システム変化の要請を突き付けていると述べ、ベーシックインカムの検証の必要性を強調している。

 (特に現在の)コロナパンデミックの経済問題、そしてドイツに既存する社会システムの脆弱さの問題は、可能な限り社会参加と機会平等を保証する目標を持って、新しい道を追求することは欠かせない論点である。確かに全ての市民に固定所得を保証するベーシックインカムは多くの人たちにとって挑発的考えである。しかし私たちは先ずそれを受取り、真摯に調査すべきであり、まさにそれ故私たちはそれを企てるのである。(Die wirtschaftlichen Folgen der Corona-Pandemie und die zu geringe Effektivität der bestehenden Sozialsysteme in Deutschland sind starke Argumente, nach neuen Wegen zu suchen, mit dem Ziel, Teilhabe und Chancengleichheit möglichst für alle zu gewährleisten. Das bedingungslose Grundeinkommen, das jeder Bürgerin und jedem Bürger ein festes Einkommen garantiert, ist zwar für viele eine provokante Idee. Doch wir sollen sie ernst nehmen und ernsthaft untersuchen. Genau das haben wir vor.)

参照Zeitオンライン(8月18日)

Bedingungsloses Grundeinkommen: 1.200 Euro im Monat, drei Jahre lang | ZEIT ONLINE

(406)救済なき世界”をそれでも生きる(28)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(6)ベーシックインカム(BI)導入が生きがいを創り出す

ドイツの職人(マイスター)はベーシックインカム導入でどうなるのか

 

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ベルリン地域の公共放送rbbの視聴者投票シリーズ番組「私たちは議論しなくてはならない・・・ベーシックインカム」の第2回では、パン工房の見習制度がベーシックインカム(BI)導入で存続できるかの視点で議論されている。

パン職人のライナーは、パン工房では深夜作業開始で、見習の初めは620ユーロという低賃金であり、1000ユーロのBIが貰えれば、存続できないのではないかとの危惧からネガティブである。

これに対して市民寄付で自ら600人以上のBIを実践しているボーマイヤーは、BI導入で見習の人たちは生活が安定することで、お金に縛られることなくやりたい仕事が選べるようになるとポジティブである。

与党CDU議員のグラフは、人々が一生懸命働き、税を払うことは尊いことであり、BI導入はそうした勤勉さを損なうと考えており、BIより減税であると持論を主張し、踏み込んで議論に加わろうとせず、あくまでもネガティブである。

また仕立洋裁工房を営むメルツは、BI導入で手工業の職人たちは安心して好む仕事に打ち込め、働くことに幸せが感じられようになるとポジティブである。

しかし現在のドイツの職人たちはコロナ禍で浮き彫りにされるように、低賃金で過酷な労働が強いられる見習の存続は難しく、マイスターによる伝統さえ失われようとしていることも確かである。

 

 BI導入が生きがいを創り出す

 

既にブログで述べたように、2004年マイスターの国として世界に名高いドイツが、新自由主義の進展で、衛生管理や安全性が求められる分野を除き、開業に必要なパン屋から理髪師に至るまで大半の手工業マイスター資格を廃止した。
すなわち技術よりも儲け、質よりも量への追求が加速され、マイスター資格を開業条件や生産条件から取り去ることで競争強化を促したのである。

それ故私がドイツで暮らした2007年から2010年頃は、街の至る所で倒産したパン屋を見かけ、スパーでは量産された驚くほど安いライ麦パン(1キロ程のミッシュブロート)が1ユーロ以下で売られていた。

最初私はそれを喜んで買っていたが、数少なくなったマイスターのパン屋で当日特価ライ麦パンを味わってからは止み付きとなった。

値段は倍もするが、ほんのりとした酸味と噛み応えある味の虜である。

そうしたパンの美味しさがわかるベルリン市民は、焼き立ちのパンを買うために並び、まさにドイツの素晴らしい伝統文化であり、なくしてはならないものである。

しかし見習制度が余りにも過酷、低賃金で、デジタル化とオートメーションで量産するパンも年々マイスターの造るパンに近づき、何れドイツのマイスター制度がなくなるとさえ言われていた。

それ故に見習やマイスターたちが誇りを持って、安心して仕事打ち込めるためにも、BI導入は必要である。

それは美味しいパンが暮らしに不可欠であり、市民がマイスターのパンを愛し必要としいるからであり、市民に愛され必要とされているからこそパンを造ることが見習やマイスターの生きがいとなっているからである。

ポストコロナの時代において、人工知能によるデジタル化、オートメーション化の急速な普及は避けられず、多くの職場はそれに奪われて行くだろう。

しかしそれは人類にとって新たなチャンスであり、BI導入は失業で困窮する人たちを救うだけでなく、お金から解放されて、生きがいの持てる職業を自由に選択できる時代を創り出すこともできよう。

 

(405)救済なき世界”をそれでも生きる(27)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(5)公共放送視聴投票でベルリン市民77%導入賛成のベーシックインカム

公共放送の投票でベルリン市民77%が賛成するベーシックインカム

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2020年11月17日ベルリン市民の公共放送rbb(公共第一放送ARDに属するベルリン州ブランデンブルグ州地区の公共放送)が視聴投票シリーズ番組の「私たちは議論しなくてはならない・・・ベーシックインカム」で、視聴していたベルリン市民の77%が導入賛成に投票したことは画期的である。

そのような公共放送で(条件なし)ベーシックインカムが取り上げられたこと自体、それを求めることが高まって来ており、上の動画で見るように、与党CDU議員クリスチャン・グラフの問いかけへの疑問に対して、司会者は躊躇なく議論の必要性を強調していた。

それはベーシックインカムに反対している与党キリスト教民主同盟CDUや、連立政権パートナーの社会民主党があくまでも完全雇用に拘り反対していても、ベーシックインカムを提唱するのはリンケだけではなく、緑の党ベーシックインカム導入を求める声が湧き上がっているからである。

実際緑の党は11月22日に開かれた党大会で、執行部が2021の連邦選挙で緑と赤(SPD)政権誕生の可能性が高いことから、SPDに配慮して見送りを決めていたが、突然決議提案がなされ、代議員約62%の賛成で、ベーシックインカム導入を政党の政策目標に掲げることを決定している。

逆に言えば、既にそのような状況が把握されていたからこそ、公共放送でのベーシックインカム導入議論と、番組後半から開始された視聴者賛否投票がなされたと言えよう。

そして議論後の最終視聴者投票結果では、ベーシックインカム導入支持者が77%に達し(反対20%)、導入を待ち侘びる圧倒的市民の思いが伝わって来た。

それは、基本法に沿い緊急の困窮者を救える仕組みを持つドイツにおいても、グローバル資本主義の進行で社会の格差が年々歴然とし、コロナ禍で大部分のドイツ市民の暮らしに重く圧し掛かって来ているからである。

生活困窮者を緊急に救う措置がドイツにあるのは、最低限の暮らしを営むことは人権であり、その人権が守られなければ、あらゆる権利がないがしろされることが理解されているからである。

すなわち健康、教育、年金受給の権利から、障害者やLGBT(レスビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダー)の人たちの生きる権利などに至るあらゆる権利が尊重されなくなるからである。

 

日本でもベーシックインカムが必要な理由

 

日本においても憲法25条で、“健康で文化的な最低限の生きる権利”を明記しているにもかかわらず、生活困窮者に対して緊急措置の仕組みがなく、生活保護を申請しない人は見捨てられ、申請者にも厳しい資産審査があり(例えば暮らしに必要な自動車所有は難しいなど)、現在のコロナ禍で機能しているとは言い難い。

実際そのような困窮者が激増していることは、日々のニュースや特集番組で伝えられいるが、それを見るにつけても、この国が生活困窮者の人間らしく生きる権利をないがしろにしていることを感ぜずにはいられない。

事実12月5日に放送されたNHKスペシャル 「コロナ危機 女性にいま何が・女性の「自死」急増の背景にある貧困問題」ではその実態が浮き彫りにされ、特に弱い立場にある女性を自殺死に追い込む危機が描かれていた。

また12月1日に放送されたクローズアップ現代「“パパ活”の闇 コロナ禍で追い詰められる女性たち」では、そのような弱い立場にある女性が“パパ活”という個人売春に追い込まれる実態が描かれていた。

番組では“パパ活”を斡旋することで毎月100万円以上の手数料を稼ぐ男性に密着取材しており、女性の危機を利用して稼ぐ男は、「ただ、嫌ならやめればいいっていう話なので。こういうことをしなくても、女性が生活できる世の中になるのが一番ですけど、僕一人の力でそれを変えることは難しいので。今、“パパ活”なんていう、ちょっとライトな言葉になっていますけど、一昔前だったら、“援助交際”とか、“愛人”なんていう言葉で。そういう言葉がなくならないし、なくなることはもう、僕は無理なんじゃないかと思ってて、そこの後ろめたさはないですね。」と述べていた。

それはまさに、危機を利用して富を肥大させる現在のグローバル資本主義、すなわち一握りの人たちが危機に投資して、弱い国、弱い人、そして回り回って99%の人たちから富を奪う新自由主義を象徴しているように思えた。

また11月29日放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」では、80歳代の高齢者が50歳代のひきこもりの子供の面倒を見る悲惨な8050問題とも呼ばれている、全国推定61万人にもおよぶ中高年引きこもりの実態を描き、当事者や家族への聞き取りを通してその原因を追求していた。

そこでは、2年前の冬に市の支援を断り10日後にゴミに埋もれて餓死していた男性を中心に、現在の過酷な競争社会が生み出した負の側面を描いていた。

亡くなった男性は56歳の牧岡伸一さんで、生前早く亡くなればいいとさえ思ったことのある弟二郎さんが、大量のごみを遺品整理するなかで、書き残したメモから真剣に生きようと悩んでいた兄を見つけ、かけ外のない兄を失った悲しみが溢れ出していた。

メモには、「健康さえないがしろにして、働くだけ働いて、頭のなかはからっぽなのだから」と書かれており、伸一さんが引きこもる原因が浮かび上がって来た。

弟の言では、出歩いて人と話すことが好きだった伸一さんが、最初の仕事で、ノルマが要求される非正規の訪問販売で売り上げが上がらず、2ヶ月で職場を追われ、その後就職勉強に努力して医療事務資格を取り、医療事務の正規の仕事に就くも、当直や深夜残業などの激務で体調を崩し、仕事を辞め、引きこもったことが語られていた。

それは、ノルマを果たせない人たちが切り捨てられていき、自己責任が問われる生産性優先の現在の社会では、誰にでも伸一さんのように、引き込まなくてはならない可能性のある明日が見えて来る。

現在の社会が弱い立場のパパ活や引きこもる人たちを、強い人たちがより活躍するために仕方がないと放棄するなら、それは誤った社会であり、誰の目にも弱い立場の人たちを支援しなくてならないと思うのは、現在の首相も、日本政府も同じであろう。

それ故、これからも様々な支援策が入れ替わり出されるだろうが、そこには様々な条件が付けられ審査ある支援策では、このような人たちを救うのは出来ないと言っても過言でない。

それ故に、日本でも今(条件なし)ベーシックインカムが必要であり、真剣に向き合うことが出来れば、殆どの国民はベルリン市民のように賛成するであろう。

それが実現すれば、真面目過ぎ、不器用、発達障害などの理由から生産性優先の社会では撥ね除けられる人々が解放されるだけでなく、全てが連帯して幸せになれる社会への発進へと変わり得る。

財源に関しては前回示したように、5%の裕福層にかつてのように富の再配分の所得税強化を求めれば、95%の国民は潤い、日本においても毎月国民一人あたり12万円のベーシックインカム導入は可能である。

それは現在のような自己責任を求める生きにくい社会を変え、究極的には地球温暖化を克服し、ウイルスとも共生できる世界に変えて行くだろう。

(404)救済なき世界”をそれでも生きる(26)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(4)リンケ(左翼党)がベーシックインカムで世に問う現実的な貧困なき世界

リンケ(左翼党)がベーシックインカムで世に問う現実的な貧困なき世界

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上に載せたリンケ代表カーチャー・キーピング(注1)のインタビューでは、リンケが掲げる(無条件)ベーシックインカムについて、民主主義の基本権を満たすためであり、社会が最低限の文化的生活をするお金を支給しなくてはならないと主張している。

そしてベルリン市長の唱える「連帯に基ずくベーシックインカム」は紛い物(レッテル詐欺)であり(注2)、本物のベーシックインカムではないと明言している。

さらに、リンケの唱える党綱領であり、2017年連邦選挙綱領である全ての人に毎月1180ユーロを支給するベーシックインカムは(注3)、完璧な基本設計が為されていると自負している。

実際にリンケのベーシックインカムを詳しく見てみると、現在の所得税課税を格差拡大を解消できるように、富の再配分強化に基づいて変えることでベーシックインカムの財源を捻出し、現在の95%の市民が所得が増え、5%の裕福層市民の所得だけが減るように絶妙作られている。

それは、現在の5%裕福層が如何に跳びぬけて多額の富を得ているかを物語っており、ベーシックインカムによる適正な再配分で貧困が解消されるならば、それが理解されるまでに時間がかかるとしても、必ずやその方向に進むと確信できるものである。

現在2020年のドイツの直接税の所得税は、一人当たり年間9408ユーロまで課税されず、それ以上の所得は15%から42%の累進課税され、最高税率は45%(独身年間25、4万ユーロ、夫婦50、8万ユーロから)が課せられている。

また年金、健康保険、介護保険などの社会保障費は企業が少なくとも半分を出しているが、課税前所得の約20%を支払っている。

リンケの大きな格差を解消する税制設計では、ベーシックインカム税を所得の35%、社会保障費を12、5%とし、所得税として月額2360ユーロまでは5%、2361ユーロから4720ユーロまでは15%、4721ユーロ以上は24%課税するという簡潔なやり方で、ドイツ市民の95%が潤うのである。

具体的には収入のない単身者では、生活給付金などで月756ユーロしか受け取っていないが、課税なしの1180ユーロが支給され、424ユーロ増加する。

月1000ユーロの所得がある単身者は、1180+1000×0,475=1655ユーロ(現在は社会保障費を支払うため794ユーロの収入)の収入で、861ユーロ増加する。

また月6000ユーロの所得がある単身者でも、1180+2360×0,475+(4720-2360)×0,375+(6000-4720)×0,285=3550ユーロの収入で(現在は所得税社会保障費の支払いで3401ユーロの収入)、149ユーロの増加である。

しかしそれ以上の高収入は現在より減少し、月2万の所得がある単身者では、1180+2360×0,475+(4720-2360)×0,375+(20000-4720)×0,285=7541ユーロの収入で(現在は11170ユーロの収入)、3629ユーロの減少となっている。

そして収入のない単身で子供1人(16歳未満は子供で半額)の場合、課税なしで1180+590=1770ユーロの収入で(現在は生活給付金、子供手当などで1239ユーロの収入)、531ユーロの増加である。

月2000ユーロの収入がある場合1770+2000×0,475=2720ユーロの収入で(現在は1634ユーロの収入)、1141ユーロも増加するのである。

月8000ユーロの収入がある場合4771ユーロの収入で(現在4770ユーロ)、59ユーロの減少となる(注4の一般場合も参照)。

このように市民の支払う総税額が同じであっても、現在のように一握りの人たちが益々潤う所得税制度を、ベーシックインカム導入によって再配分強化の方向に変えることで、貧困がなくなるだけでなく、市民の95%が潤うことは画期的である。

何故ならこのような“万人のしあわせ”を実現可能にするベーシックインカムを、リンケが打ち出したことは、マルクス主義の左派政党から自由と平等を目指す倫理的民主主義政党への転換でもあるからだ。

実際リンケがベーシックインカムを党綱領とする過程では党を二分する議論対立があり、インタビューでキーピング自ら、党大会のベーシックインカム導入の採択では辞表覚悟であったと語っているが、詳しくは述べられていない。

ドイツのメディアによれば、当時リンケ政党代表ザーラ・ワーゲンクネヒトは(美しきマルクス主義の秀英として風靡されて来たキーピングと対立する指導者)、ベーシックインカムを幻想だと明言し、リンケ政党代表辞任後に2018年11月26日のWELT「ベーシックインカム?誰が支払うか?」の記事で(注5)、「失業者を常に怠惰の疑いの下に置くのは言語道断だと」と述べ、「私たちはベーシックインカムの代わりに、よりよく世話しくれる福祉国家が必要だ」と主張し、「素晴らしい考えだが、見せかけだけの偽包装」と批判している。

それにもかかわらず、リンケが党綱領及び選挙綱領でベーシックインカムを掲げていることは、マルクス主義から倫理的民主主義への転換と言っても過言でないだろう。

尚リンケのベーシックインカム(PDF)によれば、「ベーシックインカムのコンセプトは雇用中心の社会保障制度とその資金調達の再構築を示唆し、資本主義体制と家父長制の支配する関係を克服する社会への、社会的エコロジー転換の提案としても理解される Dieses Konzept schlägt den Umbau des erwerbsarbeitszentrierten, sozialen Sicherungssystems sowie dessen Finanzierung vor. Das Konzept versteht sich auch als Vorschlag für eine sozialökologische Transformation hin zu einer Gesellschaft, die kapitalistische und patriarchalische Herrschaftsverhältnisse überwunden hat.」と明言している。

また、「無条件ベーシックインカムは万能薬ではない。それにもかかわらず、私たちが理解するように、ベーシックインカムは資本主義経済システムを克服する可能性を秘めているDas BGE ist kein Allheilmittel. Dennoch besitzt das BGE, wie wir es verstehen, ein Potential, das kapitalistische Wirtschaftssystem zu überwinden.」と述べている。

さらに、「無条件ベーシックインカムの規模と形態は、脱コモディティ化を図り、民主主義を促進する効果がある。一方でいわゆる労働市場で労働力をどのような価格でも売る賃金依存の強制をなくし、他方で社会的に必要な生産を民主的にし、それで人々の必要性に応じて生産する可能性を向上させる  Die Höhe und Ausgestaltung des BGE hat eine dekommodifizierende  und demokratiefördernde Wirkung. Einerseits entfällt der Zwang der Lohnabhängigen, ihre Arbeitskraft auf dem sogenannten Arbeitsmarkt zu fast jedem Preis verkaufen zu müssen; andererseits verbessern sich die Möglichkeiten, die gesellschaftlich notwendige Produktion demokratisch und somit gemäß den Bedürfnissen der Menschen zu gestalten.」と述べている。

そして具体的に、「私たちコンセプトの無条件ベーシックインカムは、失業者をパートタイム雇用に就かせ、フルタイム従業員を労働時間短縮に動機づける Das BGE unseres Konzeptes motiviert Erwerbslose, eine Teilzeitbeschäftigung aufzunehmen, und Vollzeitbeschäftigte, ihre Erwerbsarbeitszeit zu verkürzen.」と述べている。

また、「私たちはこのようにして、社会的に必要な仕事を、有給かどうかにかかわらず、より均等に分配するための前提条件を作成する。これが今日の欠陥税制に対抗する方法であり、“倒れるまで”働かなければならない人もいれば、他方で有給の仕事に就けない人もいる、そして無給の介護が大部分女性に負わされている時代は、私たちのベーシックインカムによって終わるだろう Wir schaffen so die Voraussetzungen, die gesellschaftlich notwendigen Arbeiten, ob bezahlt oder nicht, gleichmäßiger zu verteilen. Damit wirken wir den heutigen Fehlsteuerungen entgegen. Die Zeit, in der einige „bis zum Umfallen“ arbeiten müssen, während andere keinen Zugang zur Erwerbsarbeit haben und die unbezahlte Sorgearbeit zum großen Teil den Frauen aufgebürdet ist, wird durch unser Grundeinkommensmodell beendet werden.」と明言している。

また現在の不公正な賃金について、「誰もの自由に基づき、誰も魅力がなく、低賃金の仕事は引き受けないため、必要な雇用はもはや「市場価値」だけでなく、その理想的な価値にも応じて報酬が支払われる Aufgrund der Freiheit eines jeden Menschen würde Erwerbsarbeit nicht mehr nur nach dem "Marktwert" vergütet, sondern zu großen Teilen auch nach ihrem ideellen Wert, da kaum noch jemand eine unattraktive, schlecht bezahlte Arbeit annehmen würde.」と述べている。

 

このような倫理的民主主義を指向するリンケの無条件ベーシックインカムは、現在絶望的に世界に急拡大するコロナパンデミックなかで困窮する人々を救う福音であり、貧困なき世界を創造するものである。

そして現在日本の一日コロナ感染者数は2000人ほどであるが、感染の先行しているドイツに学べば、新年には2万近くにまで拡大することが予想され、来年のオリンピックが開催されようが、中止されようが、沈みゆく速度の加速は避けられないだろう。

(ドイツのコロナ第一波は4月末には終息に向かい、制限が解かれても500人前後に抑えられていたが、夏が終わる8月から徐々に増加し始め、9月末には2000人を超えると、爆発的に感染者数が増加し、10月22日には1日の感染者数が1万11287人となり、最早制限なくしては感染拡大に歯止めがかからなくなり、再び11月2日より飲食店や娯楽施設の営業が禁止され、経済活動だけでなく市民の自由が制限されている。その結果11月7日には2万3399人に達したが、その後の現在は少なくとも増大傾向は抑えられ、2万人前後で推移している)

何故なら、現在の日本丸の進路はグローバル資本主義体制を飽くまでも推進するものであり、核燃料サイクルが破綻しているように、トランプなき世界で継続して行けば破綻を免れないからである。

しかし日本でも、かつてのように富の再配分強化でベーシックインカムを導入することができれば、困窮する人を救うだけでなく、95%の国民を潤わし、収入が減る裕福層の5%の人たちも貢献を讃えられ、生きがいを持って暮らしやすくなるだろう。

それは日本丸の進路を、世界の救済と貢献する方向に大きく転換する希望への第一歩であり、今切にそれを願う。

 

(注1)

カチャ・キーピングは1978年1月18日にドレスデンで生まれた。母は教師であり、父はロボトロン社の管理者。生徒時代は彼女はピオニール青年団に属していた。統一後女子生徒キーピングは、若者協会赤い樹、環境グルプPlatsch、そして学生スポークスマンとして政治的に参加した。20歳で民主社会党PDSに入党した。一年後ザクセン州議会議員に選出され、27歳で連邦議員、そして29歳でリンケの副党首となった。私がドイツで暮らしていた2009年には、カチャ・キーピングは既にリンケ副党首であり、6月のZDF番組「政治家の3日間レポート」で、彼女がインビス(ドイツのファーストフード店)で3日間女店員に挑戦する姿を見たが、客の受け答えから手さばきに至るまで、本物顔負けの女店員であった。その後2012年からはリンケの共同党首を現在まで務めている。尚2011年に結婚し、同年娘ナタリャを出産し、養育はブレーメン大学の政治学者である夫と平等に分担していると述べていた。

(注2)

社会民主党のベルリン市長ミカエル・ミュラーの「連帯に基ずくベーシックインカム」は、市民のお金で失業者をベルリン市が用意した清掃、廃棄物処理障碍者の付添いや購入手伝い、難民援助などの仕事に就かせるもので、一般的に言われているベーシックインカムとはかけ離れたものである。その背景には、一つには長期失業者に対して導入した悲惨な悪法と称される社会民主党が導入したハルツ第4法の汚名を解消するねらいがあり、もう一つにはベルリン市民のベーシックインカムを要請する高まりがある。

https://www.tagesspiegel.de/politik/alternative-zu-hartz-iv-kann-das-solidarische-grundeinkommen-funktionieren/21124314.html

(注3)

リンケのベーシックインカム(PDF)

https://www.die-linke-grundeinkommen.de/fileadmin/lcmsbaggrundeinkommen/PDF/NeufassungBGE_dinA5_22Okt._01.pdf

(注4)注3のPDF28ページ参照

夫婦と子供2人で夫婦とも失業の場合

1180×2+590×2=3540ユーロで(現在は失業給付、子供手当でなどで1926ユーロの収入)、1614ユーロ増加

夫婦と子供2人で一方だけが月7000ユーロの所得がある場合

3540+2360×0、475+(4720-2360)×0,375+(7000-4720)×0,285=6196ユーロで(現在は4970ユーロの収入)、1226ユーロの増加

夫婦と子供2人で月10000ユーロ(各々5000ユーロ)の所得がある場合

3540+{2360×0,475+(4720-2360)×0,375+(5000-4720)×0,285}×2=9137ユーロで(現在は9210ユーロの収入)、73ユーロの減少

(注5)

WELT「ベーシックインカム?誰が支払うか?」の記事

https://www.welt.de/vermischtes/article184467260/TV-Kritik-Anne-Will-Grundeinkommen-Wer-soll-das-bezahlen.html

 

(403)救済なき世界”をそれでも生きる(25)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(3)分断される世界を救い、もう一つ別の世界を創出するもの

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二つの分断を救うもの

アメリカ大統領選挙では、ようやく8日に民主党バイデンが当選確実になったが、11月1日に放送されたNHKスペシャル『揺れるアメリカ 分断への行方』では、アメリカ大統領選挙を通して驚くほど真っ二つに分断され、異なる相手に対して全く寛容性がないだけでなく、激しい憎しみさえ露わにされる分断社会がミシガン州の対立に絞って描かれていた。

ミシガン州は元々工場労働者が多いことから民主党の牙城であったが、トランプがデトロイト自動車産業の復活を誓って、トランプ現象と言われる逆転劇を引き起し、トランプ政権を誕生させた州である。

トランプ現象とは、「メキシコから不法移民を、殺人犯であり強姦魔だ」に始まる過激発言にもかかわらず、大衆支持が拡がって行った現象であり、そこにはグローバル資本主義によって翻弄され、没落する人たちの叫び、「雇用を取り戻せ、国境を塞ぎ我々の富と安心を取り戻せ」という反グローバル資本主義の声が聞こえて来る。

しかし今回勝利した民主党陣営の推進力となったのも、グローバル資本主義に翻弄されている黒人、移民を含めた市民であり、どちらの陣営の市民も被害を被っている市民であり、本質的には寧ろ連帯できる市民である。

修復不可能に見えるまで真っ二つに分断され、ルサンチマンを露わに抗争し続けているのは、私から見れば江戸時代の農民と部落民のように、分断させられ、抗争させられている人たちに思える。

分断させ、抗争をさせている側は、グローバル資本主義を推進する側であり、肥大することで行き詰った経済が議会による民主主義より独裁による全体主義の方が、さらなる肥大発展のためにやり易いからだ。

もっともグローバル資本主義を推進する側と言っても、富める1%の人たちがそうさせていると言うより、利益最優先の肥大する仕組であり、グローバル資本主義自体の仕組みと言うべきであろう。

しかしアメリカ市民の二つの分断だけでなく、世界の二つの分断は限界に達しており、最早このままグローバル資本主義の仕組に任せれば、人類の未来はないと叫ばれるまでに達していることも事実である。

しかしそのような人類の危機も、グローバル資本主義の仕組を変える(無条件)ベーシックインカムが実現すれば、ウルリッヒ・ベックが言うように、人類の勝利を歓喜して祝う時代に変わり得ることも確かである。

すなわちベックは既に述べた投稿論文「完全雇用ユートピア」で、社会民主党SPDの「完全雇用は可能であり、失業は政治、経済、社会の機能不全である」という党内合意を真っ向から否定して、その合意は間違いであると断言し、「大量失業と貧困は敗北の表現ではなく、現代の労働社会の勝利の表現である」と明言している。

失業は現在の生産力が脅威的に増大し、益々人が関与する労働が少なくなっているからだとし、貧困の絶望は、歴史的にその信頼性を失ってきた完全な雇用哲学の欠陥だと鋭く批判している。

そしてベックは、そのように雇用が見つからないなかで、どうすれば有意義な生活が送れるか、どのようにすれば自己認識のある市民になれるかと問い、市民の権利として毎月700ユーロのベーシックインカムを提唱している。

何故市民の権利かと言えば、生産力の脅威的増大(戦後の100倍以上に上る)が人の関与する労働を減らしていることは市民の富であり、そのような社会を創り出してきた市民がその富を受け取るのは当然であるからだ。

さらにベックは、ベーシックインカムを人類が完全雇用から解き放たれ、自由を獲得するものと位置づけ、(デジタル化の進展で)将来到来する絶望的貧困を防ぐ唯一の方法だと述べている。

 

もう一つ別な世界の創出

そのようにベーシックインカムを市民の権利として受取る考えは、今回上に載せた動画、緑の党『今、ベーシックインカムを!』で、緑の党支持者の女性がベーシックインカムを社会的分け前と述べ、また別の女性が市民の請求権と明言しているように、ベーシックインカムを求める過半数を超えるドイツ市民に受け継がれている。

そして私自身が今ベーシックインカムを切望するのは、単に人々を雇用の呪縛から解き放つだけでなく、この動画の中頃に登場する緑の党の男性も述べているように、これまでのもう一つ別な世界がそれによって創出可能だと思うからである。

それは分断のない自由、公正、平等、平和な世界であり、文化や人種が様々に異なる地域の人々が相互に違いを尊重し、グローバルに連帯できるもう一つ別な世界である。

そのようなもう一つ別の世界は、『ドイツから学ぶ希望ある未来』で書いたように、化石燃料から自然エネルギーの転換で、分散型技術による地域のエネルギー自給で築かれると思っていた。

しかしこれまでヨーロッパの電力を化石燃料原発で支配してきたドイツの4大巨大電力企業が、ドイツの再生可能エネルギーを牽引してきた地域の800を超える市民エネルギー協同組合の躍進によって倒産の危機に直面すると、ドイツ連邦政府は様々な手法で巨大電力企業の延命を図った。

すなわち2014年にはドイツの再生可能エネルギー法(EEG)を改悪し、固定買取価格を大幅に下げるだけでなく、これまで地域の市民が自らエネルギー協同組合を作って風力発電太陽光発電、バイオ発電を建設してきたにもかかわらず、全ての再生可能エネルギー発電建設を公募入札として、再生可能エネルギーを育成してきた地域市民から取上げようとしている。

本来であれば、再生可能エネルギーは分散型技術であることから、地域市民がエネルギー協同組合で電力自給することが圧倒的に安価であることから、政府の延命策なしには4大巨大電力企業の倒産は明らかだった。

しかし何万人、何十万人の巨大企業の倒産は関連企業にも波及し、大量の失業者を生み出し、計り知れない社会問題を引き起こすことから、世界金融危機で銀行だけを公費で救済したことを反省し二度と繰り返さないことを明言したにもかかわらず、様々な手法で救済しているのだ(特にEEG改悪の際、メルケル政権に参加している社会民主党ガブリエル経済大臣へのロビー活動は凄まじいものだったと言われている)。

それはドイツの自然エネルギーへの転換に急ブレーキをかけ、エネルギー転換を市民の側から巨大企業の側へ引き戻すものであった。

このように倫理的公正な民主主義が市民の間に行き渡り、最早国民的にグローバル資本主義を拒否するドイツにおいても、グローバルに発展した巨大企業には全く歯が立たないのが現状である。

それは、これらのグローバルな巨大企業が絶えず国民国家から莫大な補助金を受けているにもかかわらず、国民国家の税徴収能力を遥かに超えるタックスヘイブンで税を逃れている実態を見れば、国民国家の民主主義では全く歯が立たないのがより鮮明に理解できるだろう。

しかもそのように国民の税がグローバル資本主義を支えるために使われているにもかかわらず、莫大な利益が公正に入らないことから、国民国家の福祉財源が縮減され、国民が分断されるのだ。

もし(無条件)ベーシックインカムが市民の権利として成立するならば、既に限界に達しているグローバル資本主義補助金や、ケインズ的公共事業政策で救済する必要もなくなり、貧困に対する福祉政策も官僚の裁量を必要としなくなり、市民は自ら自由に仕事を選択決定できるのだ。

それは、新しいもう一つ別の世界の始まりに繋がるものと言えよう。

2017年の連邦選挙では、国民支持率10%ほどのリンケ(左翼政党)だけがベーシックインカムを公約に掲げるだけで機は熟していなかったが、最近の地球温暖化阻止の運動で支持率が20%と倍増した緑の党も、動画で見るように支持者の誰もがベーシックインカムを求めており、2021年の連邦選挙ではベーシックインカムが焦点になることは間違いない。

支持率15%の社会民主党や支持率35%のキリスト教民主同盟ベーシックインカムを現在のところ拒んでいるが、コロナパンデミックの動向次第で、国民のベーシックインカムを求める声が高まれば、実現の可能性は極めて高い。

そしてドイツでベーシックインカムが成立すれば、前回資料を載せたスーエデン、スイス、オーストリアに波及して行き、途上国にも国連主導で拡がり、世界の市民が一つになることも可能だと確信している。

 

尚次回は、ベーシックインカムの財源に絞り、何故それがもう一つ別の世界を創り出すのかを述べ、同時に動画で綱領をマルクス主義から倫理的民主主義に転換したリンケの主張を取上げたい。

(402)救済なき世界”をそれでも生きる(24)・コロナ感染拡大で見えて来た世界(2)ベーシックインカムで世界は変えられる

ベーシックインカムで世界は変えられる

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10月25日に放送されたNHKスペシャル『パンデミック 激動の世界(4)▽問い直される“あなたの仕事”』では、300人以上の日本企業はテレワークでの在宅勤務が90%に達し、完全な成果主義のジョブ型制度が始まったことを伝えていた。

同時にテレワークできない公共交通機関、生活必需品販売、ゴミ収集、医療などの分野で、感染リスクにもかかわらず日夜必死に働くエッセンシャルワーカーを描いていた。

その中でも私たちの命に奉仕し、月10回の夜勤もいとわず献身的に働く看護師には心の打たれるものがあった。

そのような看護師が、コロナ以前より慢性的人手不足で恐ろしく長時間労働にもかかわらず、病院経営がコロナで悪化したことから、逆に報酬が前年より削られるという実態には、不条理を感ぜずにはいられなかった。

番組のレポーターは、「激務にあたる看護師たちの使命感。(ジョブ型制度で)部下に誠実に向き合う管理職の生真面目さ。そこに共通するのは、誰かのために、何かのために必要不可欠な存在でありたいというひそやかな切なる願いでした」と美しい言葉で語っていたが、私にはとてもそのように取れなかった。

テレワークによる完全な成果主義ジョブ型制度の始まりは、成果の上げられる人には心地よいものだとしても、かつてのコンピュータープログラマーのように、デジタル化をAI(人工知能)が統括できるようになれば掃き捨てられる存在であり、本格的に人間の労働が奪われる時代の到来を感じさせた。

また献身的な看護師たちが感染リスクにさらされながら長時間激務、低賃金で働かなくてはならないのは、本来利潤追求がなされるべきではない公共に奉仕する病院が企業化を強いられ、利潤追求を優先しなければ倒産するからであり、まさにそこには競争原理最優先の市場アナキストグローバル資本主義が聳えている。

もっともそれを深刻に感じたのは、前日の24日放送されたNHKスペシャル 「世界は私たちを忘れた~追いつめられるシリア難民~」であり(注1)、シリアからレバノンに逃れた難民の人たちが、コロナが追い打ちをかけ人間の尊厳さえ失わざるを得ない実態が描かれていた。

最も弱い存在の女性と子供に密着取材したリアルなドキュメンタリーであり、そこでの売春さえ強いる家庭内暴力、臓器売買など余りに生々しく、目を塞ぎたいほど衝撃的なものであった。

このような不条理な世界はコロナパンデミックによってあぶり出されたと言えようが、その原因を辿れば、まさに前回述べたグローバル資本主義に他ならない。

ウルリッヒ・ベックによれば、「グローバル資本主義国民国家の足枷をはずし、あらゆる規制を取り去り、最終的に社会国家、民主主義、公共園を死にいたらしめる」と述べている。

それはシリア難民のような弱者を見捨てる社会であり、既に延べたように究極的には(世界戦争によって)破局を迎えると強調している。

実際シリア紛争もグローバル資本主義前の国民国家であれば、独裁国家の市民革命で終わったろうが、二つの陣営のいグローバルな競争の結果として、終わりのない紛争を継続していると言っても過言でない。

しかしベックは徹底したネガティブな分析にもかかわらず、決して世界の未来にネガティブではなく、グローバル化は人類の発展に避けて通れないものとしてポジティブに捉え、世界市民的共和主義の世界社会が芽生える時であると訴えている。

その世界社会とは、すべての国民社会がその中に溶け込んでいくメガ国民社会ではなく、多様性と統合されていないことを特徴とする世界地平であると、ベックは強調している。

そしてこの世界地平を開くのは、グロバル化によって結ばれる世界市民のコミュニケーションと行動であると、危機の時代をポジティブに鋭く捉えている。

すなわち市場アナキストの占拠したグローバル資本主義の時代は、危機の拡大こそが世界市民主義の世界社会時代への要請を高め、転換を実現するものだと分析している。

しかしその転換にはどれだけの年月を要するかわからず、その間困窮し見捨てられていく弱者に、ベック自ら耐えかねて(豊かなドイツ市民さえ、グローバル資本主義の要請を受けた悪魔の労働法ハルツ第4法で困窮していくなかで)、ベックはこれまでの貧困は克服可能という持論を変え、ハルツ第4法が施行された一年後の2006年に、「完全雇用ユートピアからの別れ(Abschied von der Utopie der Vollbeschäftigung)」という論文を世に出し、ベーシックインカムの要請を開始したのであった。

すなわち失業で貧困が拡大する現代は、ベーシックインカムが実現すれば、人類の生産力の勝利を歓喜する時代であり、社会全体がより良い善を為す時代に変わる転機になると訴えいる。

それは世界市民主義の世界社会の転換をより速く推し進めるものであり、現在の市場アナキストに占拠された世界を貧困と戦争のない世界に変えるだけでなく、すべての人が生きがいと尊厳をもって生きる世界を創り出して行くものである。

それ故今回の動画も、ドイツ公共放送Funk(ARDとZDF共同出資の若者への放送局)が2017年10月に放送した『全てに1000ユーロのベーシックインカム』を載せた。

2017年当時も、ドイツでは世論調査で国民の過半数以上がベーシックインカムに賛成しているが、現在の現在の2020年コロナ禍では益々実現を望む声が高まっている。

2020年8月4日のDer Mitteldeutsche Rundfunk(ARDのラジオ放送)のバロメーター調査では、55%の人が賛成している(注2)。

また市場調査の専門企業Rogeterが2020年5月4日~14日にドイツ、オーストリア、スイス、スウェーデンで行った調査では、全ての国で過半数以上の人がベーシックインカムに賛成しており、ドイツでは反対者が15%しかおらず(注3)、圧倒的多数が持続可能な社会に大きく変わることを望んでいた。

こうした調査からも、2021年ドイツ連邦選挙でベーシックインカムが採用されれば、EU諸国で次々と採用され、世界へ波及して行く可能性は決して少なくない。

まさにそれは、世界市民主義の世界社会実現の第一歩である。

財源については、上に載せた動画では最大の問題となっているが、現在の恐ろしい格差を是正する観点に立てば、決して難しいことではない。

例えば2010年にカナダのトロントG20会議で、ドイツとフランスが共同で提唱した金融取引税(トービン税)を導入すれば、少なくともシリヤやアフリカなどの殆ど見捨てられている人たちのベーシックインカムは可能であろう。

何故ならコロナ禍にあっても、寧ろ危機を踏み台にして世界の何百兆円という投機マネーが益々肥大しており、コロナ感染リスクにもかかわらず必死に働く人たちが低賃金長時間労働を強いられなかで、100分の1秒ほどの投機に参加して莫大な利益を稼ぐ人たちに金融取引税が課せられないのは、余りに不公正であるからだ。

そのような不公正を許し、難民の人たちを見捨てるとすれば、単に倫理的に許されないだけでなく、コロナ感染を拡大し、再び世界同時多発テロの引金ともなりかねず、究極的に世界は破局へと向かうだろう。

(注1)

https://www.dailymotion.com/video/x7x1se9

(注2)

https://www.mdr.de/nachrichten/mitmachen/mdrfragt/umfrage-ergebnis-mehrheit-fuer-bedingungsloses-grundeinkommen-100.html

(注3)

https://www.marktforschung.de/aktuelles/marktforschung/deutsche-und-schwedische-gesellschaft-erwartet-starke-veraenderungen-durch-corona/