(215)ドイツメディアから考える今16・・医療の理想を求めて4・日本の医療に未来はあるか?(2)

今回はZDFズームで7月2日に放映された『蚊帳の外の患者・・病院医師は限界』の字幕付き動画を載せる予定であったが、ドイツ語版動画がユーチューブに載せられいないからフィルムをダウンロード出来ず、字幕が付けれないのは残念である。
それ以外の最新ZDFズームもユーチューブに載せられていることからすれば、撮影された病院などからクーレムがあるのだろう。
何故ならこのフィルムでは病院医師たちは病院のベルトコンベヤーで働かされる犠牲者であり、悪いのは病院の利益最優先の経済圧力であるという描き方が終始されているからだ。
もちろんZDFの2人の女性レポーターはそのような決論を持っていたわけではなく、燃え尽き症候群や自殺未遂で苦しむ多くの医師たち(ドイツ医師の半数にもおよぶ)の原因を追究していくなかで、明白になってきた事実である。
しかし名指しで悪の根源とされた病院には、利益を最優先しなくてはならない事情があり、このようなフィルムが現在も視聴可能であることは好ましいことではなく、ましてユーチューブのような世界媒体で拡散報道されて行くことは許せないのだろう。
(確かにドイツ市民及びマスメディアは、2008年の世界金融危機以降新自由主義アジェンダ2010)と決別し、産業利益より市民利益を追究し始めている。しかしドイツ経済界はそれとは逆である。何故なら規制撤廃で競争原理を最優先する市場では、新自由主義の追究なくしては生き残れないからである)
もっともそうした状況にあるからこそ『蚊帳の外の患者・・病院医師は限界』を取り上げることは意義があると思い、下に翻訳して載せることにした(フイルム自体はZDFで視聴可能であり、UT(ドイツ語字幕)を押してjaにチェックをいれ、字幕大きさをsehr grossにカーソルを移動し、私の下に載せた翻訳を参考に是非見てもらいたい)。

『蚊帳の外の患者・・病院医師は限界3−1』(最初から9分12秒まで)

このフィルムはタイトルの後、由緒あるゲッチンゲン大学の医学部卒業式から始まる。
そこでは男女の医学生が希望に胸をふくらませて(何といっても目の輝きが美しい)、「私の生涯を人の奉仕に捧げます」、「私の患者の健康が、私の治療の最上の規律となるようにします」と全員で現代版のヒポクラテス誓約(ジュネーブ誓約)を誓い合う。
希望に胸を膨らます女子卒業医学生の「ジュネーブ誓約は人がいかに務めるべきかの確かな原理です。私は絶えずそのことを思い出したいと思います」という言葉からは、生涯を捧げる決意が伝わってくる。
また別の女子卒業医学生の「私たちは医師として初めから確信を持って、単純に病院に束縛されません」からは、前途に予期される経済圧力にも屈しない覚悟が感じられる。
さらに別の男子卒業医学生の「人のために献身的に身を捧げる職業であり、そのために医師になります」からは、自らを鼓舞するかのように聖職に赴く心境が伝わってくる。
しかしZDFが描くその後でのベルリン救急医パウルの取材からは、そのような高い理想を持った若い医師たちが病院の経済圧力のなかで病んでいく実態が、自らの経験を踏まえて語られる。
そしてパウル医師は、「大学での理想が新鮮であればあるほど、現実ショックは益々激しいものとなる」と述べている。
さらにZDFはいくつかの病院の様々な医師を取材し、以下のように語っている。
「絶えず医師たちは、経済圧力が増大し、その結果ベルトコンベヤーのように働いていると叙述する」
そしてZDFは、病める医師たちを黒い森の小都市ホルンベルクのオバーベルク病院に取材している。
そこでは、ドイツ全土から年間数百人の燃え尽き症候群や自殺未遂の医師たちが入院治療を受けいる。
ある女性医師患者は取材に答えて、「患者に出来うる限り公正で、私個人の要求に公正で、上司の要請に公正であろうとする強い圧力がありました」、「ベルトコンベヤー同様で患者一人あたり数分の診療は、とうとう最後には限界に達しました。何故ならハムスターの糸車から再び脱出する逃道が見つかりませんでした」と述べていた。
また男性医師患者は、「私は自殺を考え、しばしば夜中に目覚め、眠り込むと二度と目覚めず、ただ人生のスイッチを切ることを願った。そのため私は絶えず薬を摂取していた。さらにその後、モルヒネあるいはフェンタニルの注射を始めた」と回顧している。
そして調査では、ドイツ医師の3分の1が燃え尽き症候群にかかったことがあり、凡そ半数が自殺を考えたことがあると答えている。
まさに驚愕すべき数であり、冒頭の医療改革に取組む政治家の言葉「ドイツの病院医師は余りにも気の毒である」という言葉が蘇ってくる。
その点日本の医学生は競争原理を最優先する新自由主義教育に洗脳されていることもあり、大部分は理想より実利的に生きることを強いられていることから、また経済的にドイツの医師より遥かに恵まれていることから、少なくともドイツより幸せ(?)である。

日本の医療に未来はあるのか?(2地域から医師がいなくなる本当の理由)
地域から医師がいなくなる理由として、多くの医療専門家は最大の理由を医師の絶対数の不足であると指摘し、医学部定員を大幅な増員で医師の要請が急務としている。
確かに欧米に比較して人口あたりの医師数が少ないことは確かであるが、私にはそれが本当の理由ではないように思える。
上のZDFフィルムでは救急医のパウル医師が自らのトラウマを敢えて振り返り、「私自身にあったことでは、私は若い母親に彼女の夫の肝臓移植のために一部与えることを強いて説得しました。彼女の夫は本当は死期が迫っていましたが、そのことに対しては二人にはっきり言いませんでした。何故なら病院は手術を行うことを望んでいたからです」と述べている。
具体的には述べられていないが若い母と幼児に被害を与え、明らかに手遅れの夫も病院の利益目的の不必要な手術で、納得できる最後が与えられなかたように思う。
それによって病院は十分な利益が得られ、倫理的に許されない不必要な手術を容認できる医師を札束を積んで(ドイツであれば特別ボーナス医師契約で)次から次へと引き抜いてくることを可能としている。
それこそが日本では地域に医師がいなくなる理由であり、良心的な地域医療を志す医師がいたとしても、過重労働の悪循環で殆ど持ちこたえることが出来ない状況にある。
ドイツではそのような利益追求が2003年の競争原理導入の医療改革で始まったが、日本では既に1980年代初めの中曽根新自由主義内閣から導入され、それまでは公共性が優先されていた大学病院や自治体などの病院も、露骨に利益を追究するようになって行った。
それを立証する意味でも、自らの医療体験を書かなくてはならないだろう。
医療体験といっても、私は看取る側での体験である。
1982年1月中旬私は既に製薬会社を退職して学習塾を開設していたが、そこへNI病院から検査入院していた父のことで呼び出しの電話があった。
病院の主治医の説明では、肝臓にソフトボールだいの肝臓癌が見つかり、余命3ヶ月と宣告された。
当時父は67歳でN大定年退職後も常勤でA工大で数学を教えていたが、その兆候がなかったわけではなかった。
40代の初めに糖尿病と診断され、それ以降糖尿病薬を服用続け、その副作用から50代の後半には慢性肝炎となり、疲れを訴えることが多くなっていった。
それでも気力は充実して働き続け、1981年の夏休みも信州に出かけていた。
しかし夏以降は激しい疲れと背中の痛みを訴え、年末から検査入院していた。
余命3ヶ月の宣告は私にとって寝耳に水であり、ショックは計り知れないものがあった。
数日殆ど眠らずに当時欧米で始まっていたホスピス関連の本を読みあさり、考えた結論は家で静かに看取ることであった。
しかし病院の方針は検査などが終了後退院と聞いた筈であったが、一週間もしない間に大きく変わり(最初からのプランであったかも知れないが)、肝臓にカテーテル挿入手術による抗がん剤集中投与に変更された。
私は若い担当医からその説明を聞いたが、当時の抗がん剤の副作用についてはよく知っていたこともあり、明らかに助からない患者を新しい薬剤治療の実験台にするように思えた。
しかも手術に加えて、今にも破裂しそうな肝臓がんを副作用の大きい抗癌剤でたたけば、どれだけ体に負担があるかわかりきっていた。
それゆえに頑なに手術を断ったが、若い担当医は主治医からの指示もあり、必死に説得しようとしたので、声を荒らげて断ったことが今も思い出される。
しかし病院はそれでも引き下がらなかった。
結局父親に癌であることを告げ、あたかも手術をすれば救かるかのように説得し、私の知らないところで母親に手術承諾印を押させたのであった。
しかも父から今回の手術について先生にもう何も言わないで欲しいと釘を刺され、その上慣行の謝礼(10万円)を届けて欲しいと頼まれたのであった。
日頃から親不孝と痛く感じている私は、父の頼みを受け入れるしかなかった。
それから手術が予定されていたように直ぐに行われたが、私の予期したように急速に体が著しく弱り(それまでは病院内を散歩できたのであるが)、手術1週間後皆で支えながら退院できたが、家では寝たきりとなり、急速に腹水が溜まってきたことから、1ヶ月もしない内に救急車で再び入院し、数週間後何リットルも溜まった腹水を抜いた後血管破裂で亡くなった。

ZDFフィルム翻訳

(ZDF台詞)Ärzte am Limit.医師は限界にある。
Medizinische Gesichtspunkte spielen eine immer kleinere Rolle in der praktischen Medizin, im Gesundheitswesen.
(ベルリン病院医師)医学的見地は、実際の医療すなわち保健実態において、絶えず殆ど役割を果たしていない。

Wie steht es in deutschen Kliniken um das Patientenwohl?
(ZDF台詞)ドイツの病院において患者はどのようであるのか?
Das Hauptproblem ist der extreme wirtschaftliche Druck.
最大の問題は極度の経済圧力である。
Die Klinken geben den Druck gnadenlos an Ärzte weiter.
病院は医師に益々容赦なく圧力を与えている。
Die Folge: Kaum eine Berufsgruppe ist so vom Burnout bedroht wie Ärzte.
問題は、医師のように燃え尽き症候群におびえている職種はないことである。
Ich hatte Suizidgedanken.
Später habe ich angefangen zu spritzen. Morphium, bzw. Fentanyl.
(男性医師患者)私は自殺を考えた。そのあとでモルヒネあるいはフェンタニルの注射を始めた。
Untersuchungen sagen, rund die Hälfte der Ärzte hat schon mal Suizidgedanken gehabt.
Das sind erschreckende Zahlen.
(治療主治医)調査によれば、凡そ半分の医師が自殺を考えたことがある。それは驚愕する数である。
Seit Jahren verspricht die Politik, das Krankenhaussystem zu reformieren.
何年も前から政治家は病院システムを改革することを約束してきた。
Ärzte und Ärztinnen sind zu bedauern in deutschen Krankenhäusern.
(医療政策にあたる政治家)ドイツ病院医師は余りに気の毒である。
Ein Gesundheitssystem, das Ärzte krank macht oder ins Ausland vertreibt.
(ZDF台詞)保健制度は医師を病人するか、あるいは外国へ追い払う。
Was läuft schief in deutschen Kliniken?
如何にドイツの病院は病んでいるか?

タイトル『Patienten im Abseits 蚊帳の外の患者』

Unser Ausflug in die Welt der Mediziner beginnt in Göttingen.
私たちの医師たちの探索はゲッチンゲンから始める。
In der altehrwürdigen Universität werden heute die Ärzte von morgen
ins Berufsleben entlassen.
古い歴史ある大学で今日、明日の医師たちが職生活に旅立って行く。
Im Schnitt haben die Absolventen sieben Jahre auf diesen Tag hin studiert.
卒業生は平均して今日まで7年間ずっと学んできた。
Den Tag, an dem sie mit ihren Arzturkunden ins Berufsleben entlassen werden.
彼らが医師の証書を持って職生活に旅立っていく今日まで。
Der feierliche Höhepunkt des Festakts: Gemeinsam sprechen alle das Genfer Gelöbnis,
die moderne Version des Hippokratischen Eids.
式典の厳粛なクライマックスは、ヒポクラテスの誓の現代版であるジュネーブ誓約を卒業生全員が一緒に誓うことである。
... mein Leben in den Dienst der Menschlichkeit zu stellen.
(卒業医学生全員)私の生涯を人の奉仕に捧げます。
Seit Jahrhunderten leisten junge Mediziner einen Eid auf das Wohl des Patienten.
(ZDF台詞)数百年以前から若い医師たちは患者の健康のために誓を実践してきた。
Die Gesundheit meines Patienten soll oberstes Gebot meines Handelns sein.
(卒業医学生全員)私の患者の健康が、私の治療の最上の規律となるようにします。
Arbeiten im Dienste des Patientenwohls und alle freuen sich darauf.
(ZDF台詞)患者の健康に奉仕することは、全ての医師にとって喜びである。
Das Genfer Gelöbnis ist sicher ein Grundsatz dessen, wie man arbeiten sollte. Ich hoffe, mich immer daran zu erinnern.
(女子卒業医学生A)ジュネーブ誓約は人がいかに務めるべきかの確かな原理です。私は絶えずそのことを思い出したいと思います。
Wir als Assistenzärztinnen haben es zu Beginn mit Sicherheit nicht einfach in der Kette in der Klinik.
(女子卒業医学生B)私たちは医師として初めから確信を持って、単純に病院に束縛されません。
Es ist ein Beruf, für den man sich aufopfert. Aber dafür wird man Arzt.
(男子卒業医学生A)人のために献身的に身を捧げる職業であり、そのために医師になります。
Kaum eine andere Berufsgruppe ist so hoch angesehen wie die Ärzte.
(ZDF台詞)医師ほど高く評価される職種はない。
Ist es wirklich so ein Traumberuf?
本当に夢のような素晴らしい職種なのだろうか?
Wir lesen von extremer Arbeitsbelastung, Burnout und hohen Selbstmordraten
bei Klinikärzten – und fragen uns: Was treibt die Ärzte ans Limit?
私たちは病院医師の極度の勤務負担、すなわち燃え尽き症候群や自殺について読んでおり、何が医師を限界に追いやるのか問いただした。
Wir begeben uns auf die Suche.
私たちはその探求から始めた。
In Berlin sind wir mit einem Arzt verabredet,der einst auch euphorisch in seinen Beruf gestartet ist.
ベルリンで私たちは、職業の初め幸福感で満たされてスタートした一人の医師に会見した。
Dr. Paul Brandenburg, Notarzt und Intensivmediziner. Er ist einer der wenigen, die sich trauen, offen darüber zu sprechen, was in Krankenhäusern hinter den Kulissen los ist.
パウルブランデンブルク医師は救急医であり、集中治療室の医師である。彼は病院の舞台裏で何が起こっているか、公に思い切って話す数少ない医師の一人である。
Jahrelang war er selbst in Kliniken angestellt und arbeitete zuletzt als Oberarzt. Dann stieg er aus, weil er die Art der Arbeit mit seinem Gewissen nicht mehr vereinbaren konnte.
ずっと以前彼は自ら病院に志願し、最近まで医長として勤務していたが、最早職種を彼の良心が相いれないことから辞職した。
Sie kritisieren sehr offen die deutsche Krankenhauslandschaft.
Was läuft denn aus der Sicht der Ärzte da so schief?
(ZDF)あなたは非常にしばしばドイツの病院景観を批判しています。医師の視点から何が病んでいるのでしょうか?
Das Hauptproblem ist der extreme wirtschaftliche Druck bei den Krankenhäusern.
パウル)最大の問題は病院の極度の経済的圧力である。
Die Ärzte werden deswegen unter Druck gesetzt, Dinge zu tun, die nicht notwendig wären oder not- wendige Behandlungen zu unterlassen.
(ZDF台詞)それゆえ医師は、緊急性のない、あるいは必要のない、御し易いやめるべき治療を行う圧力下に置かれている。
Und damit gegen das Patientenwohl und ihre Berufsordnung zu verstoßen.
それで患者の健康、そして職業倫理に違反している。
Mussten Sie selbst schon Dinge tun, die sie als Arzt lieber nicht gemacht hätten?
(ZDF)あなたは医師として、むしろしてはならないことを行わなければならないのですか?
Mir selbst ist es mal passiert. Ich wurde dazu gedrängt, eine junge Mutter dazu zu überreden, einen Teil ihrer Leber zu spenden. Für ihren Ehemann, als Transplantationsleber. Der Mann war leider wirklich todgeweiht. Darüber wurden beide im Unklaren gelassen, weil die Klinik diese Operation durchzuführen wollte.
パウル医師)私自身にあったことでは、私は若い母親に彼女の夫の肝臓移植のために一部与えることを強いて説得しました。彼女の夫は本当は死期が迫っていましたが、そのことに対しては二人にはっきり言いませんでした。何故なら病院は手術を行うことを望んでいたからです。

Sind das nur Einzelfälle oder ist das eine allgemeine Tendenz?
(ZDF)それは一例に過ぎないのですか、それとも一般的傾向ですか?
Einzelfälle sind das auf gar keinen Fall.
パウル)一例はよくあることです。
Das heißt, wie geht es einem als Arzt damit?
(ZDF)そうであれば、医師としてどのように思われますか?
Als Arzt geht es einem damit sehr schlecht und das merkt man vor allem bei den jungen Kollegen.
パウル)医師として非常に悪く感じており、とりわけ若い同僚に対してそれを気づきます。
Je frischer die von der Uni kommen, umso härter ist der Realitätsschock.
大学での理想が新鮮であればあるほど、現実ショックは益々激しいものとなります。
Wir hören viele solcher unglaublichen Geschichten, von verschiedenen Ärzten aus unterschiedlichen Kliniken.
(シナリオ台詞)私たちはいくつかの病院の様々な医師から、そのような信じられない話を聞いていた。
Sie beschreiben Abläufe, von denen die Patienten in der Regel nichts ahnen.
医師たちは、患者が通例わからない経過を描写していた。
Immer wieder schildern uns Ärzte: Der wirtschaftliche Druck hat extrem zugenommen.
Eine Folge: Arbeiten wie am Fließband.
絶えず医師たちは、経済圧力が増大し、その結果ベルトコンベヤーのように働いていると叙述する。
Auf einen Arzt kommen heute bis zu doppelt so viele Patienten wie vor 20 Jahren.
20年前に比べて一人の医者に2倍にも達する多くの患者が訪れている。
Am Personal wird gespart. Oft bleiben nur wenige Minuten Zeit pro Patient. Das alles bei einer Arbeitszeit von 60 bis 80 Stunden die Woche. Obwohl es gegen EU-Vorgaben verstößt.
個人においては節約され、患者一人あたり数分しか診察されず、EU基準に違反しているにも関わらず、病院従事者の全てが1週間あたり60時間から80時間働いている。
Im Schichtdienst, auch nachts und am Wochenende. Dazu kommt: immer mehr Bürokratie.
Befunde, Berichte, Behandlungspläne.
夜も週末も交代制勤務で。だから所見、報告書、治療計画は益々官僚的になってきている。
Drei bis vier Stunden am Tag – Zeit, die für Patienten fehlt.
患者に1日3時間から4時間足りない。
Unser Eindruck: Vom Genfer Gelöbnis und der "Gesundheit des Patienten als oberstem Gebot" ist in vielen Kliniken kaum noch etwas zu spüren.
私たちの印象では、ジュネーブ誓約や最上の誓としての患者の健康は多くの病院で最早痕跡すらない。
(Hornberug)
Stress pur statt beruflicher Erfüllung – was das auf Dauer mit den Ärzten macht, erfahren wir im Schwarzwald, im kleinen Städtchen Hornberg.
職業的に満たされる代わりにまじり気のないストレス、それが医者に長く続いたものを、私たちは黒い森の小都市ホルンベルクで体験した。
Mitten in idyllischer Landschaft liegt die Oberbergklinik.
理想的な景観の真ん中にオバーベルク病院がある。
Sie ist auf Burnouts und Depressionen spezialisiert.
そこは燃え尽き症候群うつ病を専門にしている。
Das Erstaunliche: Hier kommen auffallend viele Ärzte hin. Als Patienten.
驚くことに、ここには目立つほど多くの医師が患者として来ている。
Das Team um Prof. Götz Mundle und Chefarzt Christoph Middendorf behandelt jährlich Hunderte Ärzte aus der ganzen Republik.
ゲエツ・ムンドル教授と医長クリストフ・ミデンドルフのチームがドイツ全土から年間数百人の医者を治療している。
Gymnastikstunden und Maltherapie statt OP und Krankenvisite um Ärzten am Limit
bei einem Neustart zu helfen.
新しいスタートで限界にある医者を助けるための手術や病院入院に代わる体操授業や傷跡治療。
Was ist denn passiert, dass Sie hier sind?
(ZDF)あなたが此処にいるのは、一体何があったのですか?
Das ist ein starker Druck gewesen. Dem Patienten möglichst gerecht werden, meinen eigenen Ansprüchen gerecht werden, den Forderungen von Vorgesetzten gerecht werden.
(女性医師患者)患者に出来うる限り公正で、私個人の要求に公正で、上司の要請に公正であろうとする強い圧力がありました。
Ähnlich wie Fließbandarbeit und dann eine Minute pro Patient. Das hat mich letzten Endes an die Grenze gebracht, weil ich da keinen Ausweg für mich gefunden habe, aus dem Hamsterrad wieder rauszukommen.
ベルトコンベヤー同様で患者一人あたり数分の診療は、とうとう最後には限界に達しました。何故ならハムスターの糸車から再び脱出する逃道が見つかりませんでした。
Es gab in dieser Klinik, und ich weiß, dass es in vielen anderen Kliniken bei Kollegen ähnlich war, einfach keine koordinierte Einarbeitung. Und ich mich zum Beispiel plötzlich in einer Herz-OP wiederfand, im Herz-Schockraum. Dort ging es um Leben und Tod. Sich dann mit den Geräten nicht auszukennen, war eine Katastrophe.
(男性医師患者)このような病院があり、多くの他の病院の同僚たちが、全く調整できない実習で同じようであることを知っていました。私は例えば心臓手術中にショックを感じました。そこには生と死があり、器具の取り扱いに慣れておらず、話にならないほど酷いものでした。
Und wozu hat das geführt, diese ganze Verzweiflung?
そこで全て自暴自棄に感じさせたのですか?
Ich habe Suizidgedanken gehabt, häufig nachts wach gelegen und gewünscht, dass ich einschlafe und nicht mehr aufwache, dass ich nur abschalten konnte, indem ich durchgehend Medikamente genommen habe. Und später ist es dazu gekommen, dass ich anfing zu spritzen. Morphium bzw. Fentanyl.
私は自殺を考え、しばしば夜中に目覚め、眠り込むと二度と目覚めず、ただ人生のスイッチを切ることを願った。そのため私は絶えず薬を摂取していた。さらにその後、モルヒネあるいはフェンタニルの注射を始めた。
Sie haben sich in der Klinik mit Drogen vollgepumpt?
(ZDF)あなたは病院の中で麻薬に入り浸っていたのですか?
Ich hab mich während der Dienste gespritzt, ja.
(男性医師患者)はい、私は勤務中に注射していました。
Waren Sie dann nicht auch eine Gefährdung für das Patientenwohl?
(ZDF)あなたは患者の健康を危険に晒さなかったですか?
Ich war eine Gefährdung für alle Patienten, die ich behandelt habe, ja.
(男性医師患者)はい、私が治療した全ての患者を危険に晒しました。
Ein Drittel aller Ärzte hat Burnout-Symptome– kaum eine andere Berufsgruppe
ist so stark betroffen.. Sie fühlen sich ausgebrannt,
überlastet, dem Arbeitsdruck nicht mehr gewachsen.Manche werden zum Risiko
für Patienten und für sich selbst.
(シナリオ台詞)全ての医師の3分1は燃え尽き症候群を持っており、他の職種にかくも強くかかわっているものはない。彼らは自ら燃え尽き、過度に負担がかかっており、最早仕事の圧力を増大させれないと感じている。多くのことが患者および自ら自身にとって危機となっている。
Warum sind denn gerade Ärzte so besonders anfällig für Burnout?
(ZDF)一体何故、かくも医師は燃え尽き症候群にかかり易いのですか?
Ärzte, wir Ärzte sage ich extra dazu, haben ein ganz hohes Ideal was wir für andere tun sollen. Untersuchungen sagen, rund die Hälfte der Ärzte hatte schon mal Suizidgedanken. Das sind erschreckende Zahlen. Die Situation heute bei den Ärzten, die erkranken, ist so, dass die Ärzte zu sehr funktionalisiert werden, ein Stück zu Maschinen werden.Mit dem Patienten zu arbeiten, geht komplett verloren.
(ゲエツ教授)医師がそれに対して特別である、と私がいう医師たちは、他者へ為すことに非常に高い理想を持っている。調査によれば、凡そ医師の半分が既に一度は自殺を考えたことがある。それは驚愕すべき数である。病気になっている医師たちにおける今日の状況は、医師が非常に機能化させられており、機械の一部になっていることである。患者と共に働くことが完全に失われている。