(241)ドイツの利権構造とプロパガンダ(5)ダイヤモンド(太陽光パネル)と自由の女神像(風力発電基)が放つ希望ある未来

確かに2014年8月のドイツの再生可能エネルギー法EEG改正には、ドイツ4大電力企業や国際エネルギー機関IEAだけでなく、世界の化石燃料エネルギーを支配する巨大資本が生残りをかけて、再生可能エネルギー法EEGを奪い、市民の推し進めてきたドイツのエネルギー転換を奪おうとしている。
 それは、環境問題の前メルケル政府顧問オラーフ・ホフマイヤー教授(現フレンスブルク大学)が「公募入札が強いられる2017年には、このままでは市民の電力製造が終わる」と警告し、さらにはこれまで絶えずエネルギー転換にポジティブであった未来エネルギー研究所(IZES)の所長ウベ・レプリヒ教授が「エネルギー転換に棺の釘が打たれたのか?」と論文で訴え、さらには戦う民主主義を掲げるドイツのメディアさえ躊躇せざるを得ないほど、測り知れない力が生残りをかけて露骨に動き出したことは明白である(日本では同じ頃NHKが明白にプロパガンダと断定せざろう得ない『エネルギーの奔流』を制作放映したように)。
しかし燃え上がった市民のエネルギー転換は、上に載せた今年2015年1月22日のブレーメン州議会の緑の党の演説映像で見られるように、決して勢いがそがれるようなものではない。
何故なら演説でも述べられているように、再生可能エネルギーは分散型であり、州及び地域自治体も市民のエネルギー協同組合と共同で推し進めることで、地域産業が復興し、地域税収が潤うからである。
実際今年に入り、ブレーメン州だけでなく各州、そして連邦参議院でそのような動きが勢いづいて来ており、最早市民のエネルギー転換は地域復興には欠かせないものになっている。
さらには市民フィルムとも言うべき『エネルギー転換の時代に生きる』が描くように、地域の企業、そして自治体も巨大電力企業から購入する高い電力には危機感を強めており、地域で自給される安いエコ電力を強く切望しているからに他ならない(すなわち企業が自家発電する電力は現在でも巨大電力企業から購入する電力より恐ろしく安く、たとえ2017年からEEG負担金の40%である1キロワットあたり2,5セントを支払っても流れは止まらないからである)。
そしてオラーフ・ホフマイヤー教授が気遣う市民エネルギー協同組合もEEG改悪で消沈することなく、むしろ化石燃料エネルギーの大資本攻撃に論理的に攻勢を強めている。
それは、そのような市民のエネルギー協同組合の背後でホフマイヤーやレプリヒのような専門家が支援しており、地域分散型のエネルギー転換が人類を滅ぼしかねない地球温暖化激化のなかで、時代の要請が年々高まっているからである。


2014年のユーロソーラ連盟のドイツ賞を獲得したハイデルベルク市民エネルギー協同組合の若きスタッフたち
例えば上の写真のハイデルベルクの市民エネルギー協同組合は(再生可能エネルギー建設だけではなく、製造した再生可能エネルギー電力に調整電源として購入水力発電電力使用で家庭にエコ電力を供給している)、再生可能エネルギー法EEG改悪で第一に原発蘇生への前兆を警告し、第二に巨大資本にエネルギー転換が独占されかねないことを訴えている。
そして最期の第三では、巨大資本攻撃克服への大きな希望が以下のように語られている。

http://www.heidelberger-energiegenossenschaft.de/blog

太陽光発電技術は凄まじいコスト学習曲線を持っているから、・・・ドイツでは2020年前に1キロワットあたり5セントの太陽光発電が可能だろう(アイケ・ウェーバー博士講演に基づく)」

「エネルギー生産は地域で行える。人類が推し進めて来た地域破壊をもう許してはならない。あるいは原料を世界から積み出すべきではない。市民は自ら責任を引き受け、呵責を知らない貿易政策や巨大電力企業に依存してはならない。政治的自立と行動の自由裁量余地を勝ち得よう、そうすればもう他国からの燃料輸送に依存しない。風力発電基の一つ一つが自由の女神像である。・・・太陽光パネルはダイヤモンド同様の強靭な構造を持ち、輝く希望である」

「私たちはエネルギー転換を出来うる限り早く移行しなければならない!私たちは太陽光発電が世界の突破口として役立ち、ドイツからその創出をすることに胸を張るべきだ。エネルギー転換の下に国民の圧倒的多数(世論調査で93%)が支持していることに勇気を持つべきだ。さらに再生可能エネルギーの技術的発展を阻止させてはならないことに、勇気を持つべきだ。そして最も重要なことは、私たちが善行、すなわち民主主義、平和、公正、そして気候変動保護に力を尽くすことである。そのことから私たちは力を引き出すべきである」