(314)官僚奉仕を求めて第23回 自然エネルギーが創る富の蓄積のない社会(5)それでもエネルギー転換は歴史を創る中編(私の見た動画『ZDFが問うエネルギー転換での石炭回帰2−1』)

2015年の石炭合意での石炭回帰
2014年11月にはメルケル首相の石炭発電所の強制廃止の発言や、ガブリエール経済相も石炭組合や企業側との「石炭合意」法案の作成で近い将来石炭発電所の閉鎖を目指し、2020年までに二酸化炭素2200万トンの削減を公言していました。
それは私を含めて多くの人が、化石燃料終焉への実質的開始と期待するものでした。
しかし2016年5月放映された上の公共放送ZDFフィルムで見るように、2015年7月に締結された「石炭合意」はフィルムに登場する専門家たちが指摘するようにペテンと呼ばれるほどに変質していました。
その理由は、巨大電力企業が労働組合(石炭、化学、電気・ドイツ労働組合)を全面に立て、労働組合を母体とする社会民主党(SPD)の党首でもあるガブリエール経済相を一つ一つ切り崩して行ったからにほかなりません。
それは化石燃料産業社会(旧世界)の産みだしたロビー主義が、自然エネルギー産業社会(新世界)の到来を死守しているとも言えるでしょう。
旧世界の目論見はドイツ国内に無尽蔵に埋蔵される褐炭による火力発電を少なくとも2040年まで継続し、北から南への巨大電力網を建設し、有り余る電力をフランスなどへ輸出することです。
実際ドイツの電力輸出は電力不足が危惧された2011年でさえも6,3テラワット時もあり、その後鰻登りに増加し、2016年の外国への電力輸出量は55、5テラワット時に達しています(ドイツ国内全電力消費量592,7テラワット時)。
すなわちそこには、エネルギー転換の始まりでエネルギーシェア第一位になった自然エネルギーの急増を電力市場で格安に買い叩き、褐炭発電などで有り余る電力を輸出する巨大電力企業の生き残りへのしたたかさが垣間見られます。
しかし公的ドイツ経済研究所を牽引する著名なエネルギー経済学者クリスチャン・ヒルシュハウゼン教授(注1)が述べるように、エネルギー転換には巨大な送電線は不要であり、エネルギー転換の理念は太陽、風、水、そしてバイオマスなどの自然エネルギーの組み合わせによって地域でエネルギーを完全自給することであり、それは現在の技術やコストからしても十分可能です。
それにもかかわらず、世界はこれまでにない人類の危機に突入しているように思えます。
何故ならトランプ大統領誕生で、これまで世界平和、貧困の廃絶、地球温暖化防止、核のない世界を掲げて来た世界が180度転換して、自国利益を最優先する世界に変わろうとしているからです。
しかも誕生したトランプ政権の公約の大きな柱は「石炭回帰」であり、アメリカにも無尽蔵に石炭が埋蔵されており、それを再び火力発電、さらには石炭からの水素製造よって大量雇用創出だけでなく、寂れ果てた炭鉱地帯をかつての黄金地帯に蘇らせることを本気で推進しようとしています。
そこには、トランプ政権を誕生させた化石燃料産業社会の目論見が見えて来ます。
すなわち本当は化石燃料産業社会が生残りをかけてあらゆる手段を駆使して、独裁者のように振舞う自国利益最優先のトランプ政権を誕生させたという見方も浮かび上がって来ます。
そして世界が「石炭回帰」を許して行けば、地球温暖化の急進によって地球上の全ての氷河溶け出し、十メートル近い海面上昇を招くだけでなく、ジョージオーエルが小説『1984年』で描いた監視社会、全体主義帝国の実現で、究極的には人類の滅亡も見えて来ます。
(注1)
ヒルシュハウゼン教授のCCS技術(二酸化炭素地下貯蔵)をフィクションと断定した検証報告書は世界的にも有名であり、このブロク(239)で詳しく述べています。

ドイツ子供ニュースが検証する極右(?)政党AfD

ドイツの公共放送ZDFの子供ニュースlogo!(1月25日放映)を載せたのは、日本ではネットのフェイクニュースが溢れるだけでなく、国会では防衛相のスーダンの駆付け警護で「法的な戦闘ではない」や、法相の提出「テロ等準備罪(戦前の治安維持法案にもなり得る共謀罪)」法案で質問封じにも近い「国会では答弁できない」の如きペテンがまかり通ろうとしているからです。
ドイツでは公共放送だけでなくあらゆるメディアが真実を追求し、例へばシリア難民の増大に比例して急速に躍進していた右派政党AfD「ドイツのための選択肢」の綱領や振舞いを徹底検証しており、子供ニュースでもAfDが何を考えているか以下のように検証しています(それゆえ1年前の世論調査では20%に迫り来る勢いでしたが、現在は10%前後の支持へと衰退しています)。

Ideen zum Euro ユーロに対する考えAfDの最も重要な政党目標は、ユーロ通貨のドイツでの使用廃止を求めることが始まりだった。彼らは、例えばかつてのドイツマルクのように独自の通貨を持ったドイツが相応しいと考えている。ドイツマルクであるもの、ユーロが導入された理由に彼らの右派性が垣間見られる。他の政党はユーロを廃止することを支持せず、ドイツにとってユーロは良いと確信している。例えばユーロ使用は、他国との取引を決めることを非常に容易にしている。
Das wichtigste Ziel der Partei war am Anfang: Sie wollte den Euro in Deutschland abschaffen. Sie glaubte, dass es Deutschland mit einer eigenen Währung, zum Beispiel der alten D-Mark, besser gehen würde. Was die D-Mark ist und warum der Euro eingeführt wurde, könnt ihr rechts nachlesen. Die anderen Parteien halten nichts davon, den Euro abzuschaffen. Sie sind sicher, dass der Euro für Deutschland gut sei. Der Euro mache es zum Beispiel viel leichter, mit anderen Ländern Geschäfte abzuschließen.

Ideen zu den Flüchtlingen 避難民への考えAfDはEUの国境を完全に閉鎖することを望み、ドイツへの亡命申請する避難民をより少なくできるように強力な法案の作成を求めている。まさに亡命への考えが意味するものに、彼らの右派性を知ることができる。
Die AfD will zum Beispiel die Grenzen der Europäischen Union komplett schließen. Und die Partei möchte strengere Regeln aufstellen, sodass weniger Flüchtlinge in Deutschland Asyl beantragen können. Was Asyl genau bedeutet, erfahrt ihr rechts.

Ideen zum Islam イスラムへの考え
ドイツには宗教の自由があり、誰もが自由に宗教にしたがって暮らすことが許されているにもかかわらず、AfDはイスラム教はドイツに帰属していないと主張する。それゆえ例えばミナレット禁じることを求めている。ミナレットとはイスラム教徒によって祈りが唱えられる寺院の塔である。
Obwohl es in Deutschland Religionsfreiheit gibt, also jeder frei nach seiner Religion leben darf, sagt die Afd, die Religion "Islam gehört nicht zu Deutschland". Deshalb will sie zum Beispiel Minarette verbieten. Das sind Türme an Moscheen von denen zum Gebet gerufen wird.

Ideen zu Atomkraft und Klimaschutz 原発や気候変動保護への考えドイツは、とりわけ原発が危険であるという理由から2022までに全ての原発を廃止することを決めている。AfDはそれを取り消すことを求めており、継続して原発で電力を製造することを望んでいる。さらにAfDは気候変動は存在しないと考えている。
Die Bundesregierung hat beschlossen bis 2022 alle Atomkraftwerke in Deutschland abzuschalten, vor allem weil Atomkraft gefährlich sein kann. Die AfD will das rückgängig machen und weiter so Strom herstellen. Und die Partei meint, dass es den Klimawandel nicht gibt.

Ideen zur Familie 家族への考えAfDは父、母、子供の伝統的家族を支持している。女性同士、男性同士の同性婚を敵視している。そして男性と女性が絶えず同等に扱われことについても寄与しないことを、加えて彼らの綱領で望んでいる。
Die AfD ist für die traditionelle Familie, also Vater, Mutter und Kinder. Eine gleichgeschlechtliche Ehe, also zwischen zwei Frauen oder zwei Männern, findet die AfD nicht gut. Die Partei will mit ihrer Politik außerdem nicht dazu beitragen, dass Männer und Frauen immer gleich behandelt werden.