(387)“救済なき世界”をそれでも生きる(9)ドイツから学ぶ“コロナ終息に2年”・ウイルスの闘いで現代文明に今何が求められるのか?

ドイツから学ぶ“コロナ終息に2年”

 

3月11日のメルケルの「国民の60%から70%の感染を覚悟しなければならない」という危機宣言と自主規制要請、18日の自主規制を越えた基本法の行動の自由を制限する規則要請のなかで、ドイツ市民は60%から70%感染への当惑、そしてコロナ危が何時終息するのかという声が高まって行った。
それ故3月17日のフランクフルトアールゲマイン紙は「コロナパンデミックは終息に2年間を要するだろう」という、ロベルト・コッホ研究所の見解をタイトル載せると同時に、所長ロザル・ウィラーの見解を動画で詳しく解説していた。
https://www.faz.net/aktuell/gesellschaft/gesundheit/coronavirus/schaetzung-des-rki-pandemie-koennte-zwei-jahre-dauern-16682889.html?service=printPreview
この紙面でウィラー所長は、コロナの予想される感染率60%から70%に達するには数年要するが、ワクチンを作れるかにも依存していると述べ、感染者の5人に1人が重症化することから、爆発的感染の場合集中治療室が機能しなくなり医療崩壊を起こすため、連帯して各々が出来る限りのことをなし感染連鎖を断ち切ることを呼びかけていた。
しかし専門家でない私には、感染学の専門家が予想する感染率が何故60%から70%なのか、あるいは市民が行動の自由制限で連帯しても、それは単に感染速度を遅らせパンデミックを避けることが出来ても、終息に何故数年を要するのか理解できなかった。
それ故さらに幾つかの記事を探索した。
3月15日シュピーゲル誌は、「コロナパンデミックはどの様に推移するか?」というタイトルで、ギーゼン大学のウイルス医療研究所を統率する所長ジョン・ジーハーのインタビューで、ドイツ国民の60%から70%感染するというメルケル首相の危惧を問うている。
https://www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/coronavirus-wie-sieht-die-zukunft-nach-dem-ausbruch-aus-a-4f1f91c6-eb02-4423-acbf-06fa25987914
ジーハー所長の返答は、その数字が新しいウイルスが全く免疫のない社会で感染して行く際常に適用されるルールであると答え、一人の感染者は一般に三人を感染して行き、国民の三分の二が感染して免疫を持てば終息に向かうというのが一般的理論だと述べている。
その返答に驚いたシュピーゲル誌のインタビュアーは、「それではウイルスは、どの様に私たちが日常を制限したとしても、さらに拡がっていくのですか」と質問しているが、ジーハー所長は「そうです}と明言し、医療体制を機能させていくためには、日常の制限で感染速度を出来得る限り遅くしていかなくてはならないと力説していた。

これらドイツの専門家たちの見解から学ぶことは、今回のコロナパンデミックは史上最悪の禍に発展し、既に70歳の峠を二年ほど前に通り越した私自身の命が危ないということである。
それはまだまだ人生にやり残しを感じていることから、恐るべきことであり、言葉で言い表せない恐怖である。
しかしその恐怖は自ら対処できないものであり、それは自然の成り行きに任せるしかなく、今は最大限用心して、粛々とやるべきことを日々悔いなく遣り尽くすというのが、私の結論である。
実際ドイツの市民も既に専門家の見解及び危惧に理解を示し、メルケル政権の移動や行動の自由制限措置にもかかわらず、ZDFの世論調査で95%という圧倒的支持を示している(下の動画参照)。

 

コロナパンデミックのなかで何が求められているのか?

 

上に載せた動画は、公共放送NHKが3月28日深夜0時20分、まるで視聴者の目を避けるかのように放送された「ウイルスVS人類・未知なる敵と闘うために」の50分番組を、私の印象に強く残る部分以外は取除き10分程度にしたものである。
取除いた部分でも、今国民の全てに恐怖を与えているコロナパンデミックわかり易く解説し、今その敵といかに闘うかが述べられており、示唆に富む番組であったので、是非完全版も見て欲しい(デイリーモーション)。
最初に述べたように、もしドイツの専門家たちの見解と危惧が本当になるならば、中国のコロナ終息も封鎖が解かれ動き出せば、数週間での再びコロナパンデミックは蘇るであろうし(ドイツの見解)、感染速度をコントールできない国ではイタリヤやスペイン、さらにはアメリカで見るように医療崩壊し、数えきれない人が亡くなっている。
明らかに日本でも、市民がどの様に自粛しても最早限界まで感染が拡がっており、東京を初めとして早急の大都市封鎖は避けられない。
小池東京都知事が緊急の東京封鎖の必要性から国に緊急事態宣言を出すように懇願しても、一向に安倍政権は早期に成立させたこの宣言を出そうとしない。
またドイツでは医療崩壊を避けるために、少しでも疑われる人には無料で検査が直ちに為され、一日の検査数は3万件を超えていると聞く。
それに比べ日本では、出来得る限り患者数の公表を少なくする意図あると見られても仕方がない程少なく、本当に検査件数を増大するため必死の努力がなされているか、全く見えるかされていない。
そうした観点から見れば、NHKが深夜に放送せざるを得ない理由が見えてくるのではないだろうか。
もし目先の経済活動を優先して封鎖を躊躇しているとすれば、長期的には経済的壊滅を招くだけでなく、感染速度が爆発的となり、医療体制崩壊によって夥しい人が亡くなり、それはエイズの際のように犯罪である。
それ故に、早急の東京封鎖を声を大にして叫びたい。
それは今回の未曽有の禍に対しての政治の責務であり、エイズの際のように躊躇するなら、後々まで問われよう。
市民にとっても、襲い来る禍に恐怖するというのが本音であるかも知れないが、早急の大都市封鎖によって適切に対処すれば、80%は無症状もしくは軽症で回復することから、恐怖をむしろ和らげる筈だ。
また、既に現実化している禍をマイナスにばかり考えるのではなく、こうした禍の時代に生きるなかで、悔いなく生きることを再考する機会でもある。
上の動画の本題に立ち返れば、今絶えず成長を求め開発を推し進めて来た人類の文明が問われていることは明らかだろう。
それは1990年のリオ以来絶えず叫び続けている二酸化炭素排出削減であるが、益々増加させている世界であり、グローバル化による弱肉強食の、競争原理優先のカジノ資本主義の世界である。
あるいは、チンパンジー体内で長期に共生して来たエイズウイルスを森林開発で人エイズウイルスに進化させ、コウモリ間で共生していたコロナウイスを今回のコロナパンデミックウイルスにまで進化させて来た世界である。
しかも今回の新型コロナウイルスは、空気飛沫で呼吸器系に感染することから、世界人類の三分の二が感染して免疫を持つまで終息しないというのが、世界の大方のウイルス感染専門家の意見である。
すなわち一旦封じ込めに成功しても、アフリカなどの干ばつ被害に苦しむ国では、先進国がコントロール出来た頃爆発的に拡がり、グローバルした世界では再びパンデミックが繰返され、ドイツの専門家たちが控えめに二年を要すると述べているが、とてもそれでは終息しないというのが私の印象である。
もし現在の文明を変えて行かないとするなら、既にユーチューブに字幕を付けて載せたABC放送制作『地球2100年』で見るように、その間何度も何度も巨大台風による洪水と新たな未知のウイルスのパンデミックを繰返し、人類は滅びるであろう。
もっとも今回のコロナウイルス医療崩壊で最も被害の大きいイタリヤでは、一部ではあるが市民がオンラインで連帯の輪を世界に拡げ、住居でも余っている生活必需品を分かち合い、連帯の絆を育んでいる。
もし外出禁止が何年も長く続けば、グローバル化が築いた大都市を崩壊させ、現在の文明を葬るだろう。

しかしポジティブに考えれば、分散型技術で自然エネルギーと食料などの生活必需品を自給する地域主義の世界に変え、新しい文明を必然的に誕生させるだろう。
それは人々の現在の分断も結びつけることから、微かな光が見えて来たという見方もできよう。