(413)ワクチン接種ルーレット(1)・ドイツ最新ニュースに学ぶ(6)・今コロナ禍で日本が問われているもの(1)

コロナワクチン接種ルーレット(1)

コロナウイルスが今世界に投げかけているもの

上のフィルムはドイツ第一公共放送ARDが、今年1月26日に放送した力作であり、現在のコロナパンデミックが世界に投げかけている大きな波紋を、シニカルな視点でルーレットと呼び、大きな観点で問うている。

最初のプロローグで専門家たちが様々な問いかけをし、始まりでは「半年前は、コロナワクチンが手に入るなら、全てが上手く行くと感じていた」という独白が、まさに今ワクチン接種がなされている希望に疑問符を投げかけている。

このフィルムとは別に今私自身が思うのは、ワクチン接種で世界のコロナが終息するのか?(免疫力は10カ月を超えて持続するのか?次々と変異するウィルスにワクチン接種で戦えるのか?)

またワクチン接種の配分では、先進国では医療従事者、高齢者の順番で公正さが維持されているが、現在感染が猛威を振るっている途上国ではワクチン接種予定さえ立っておらず、このフィルムのプロローグで問われている社会正義が、現実には黙認するしかないのか視聴者も自問しなくてはならないだろう。

そして黙認を容認するとすれば、単に人道的視点からだけでなく、人類が生き延びるために許されるのか、今こそ世界全体で考えて見なくてはならない。

何故ならコロナウイルスでは、ワクチン接種が有効であっても免疫力は短いと言われており、英国の複数の専門家たちは、コロナ感染は寒い冬を迎える度に感染拡大を繰り返し、これから何十年もコロナウイルスと共存していかなくてはならないと警告しているからである。

そうであるとすれば、社会正義の黙認は途上国での絶えざる感染爆発の容認であり、先進国でのウイルスとの共存も在り得ず、人類滅亡も決して在り得ないシナリオではない。

 

ドイツ最新ニュースに学ぶ(6)

1)アストラゼネカワクチンの波紋

(ZDFheute2月18日)

ドイツ北部のデンマークと国境を接するフレスベルグ市が、コロナ変異種(英国)が30%に達し(コロナ感染者数は減少しているが)、ロックダウンで夜間外出禁止の緊張感が伝わって来る。

そのような状況下で、ドイツでは接種するワクチンが不足するにも関わらず、コロナ感染が未だに猛威を振るうザクセン州で、アストラゼネカワクチン接種に2500人分以上の空きがあることを由々しき問題と伝えていた。

市民がワクチン接種を控える理由は、有効性が約70%とドイツ製のビオテック・ファイザーワクチン(95%有効)に較べ若干低く、高齢者には疑問符がつき、その上2月7日に世界に報道された南アフリカ導入停止が、ドイツでも大きな波紋を呼んでいるからである。

具体的には南アフリカで、約2000人を対象として臨床試験を率いていたシャビール・マディ教授が、臨床試験報告でアストラゼネカのワクチンが変異種による中軽症感染者に効かないと明言したからである。

そうした中で、専門家がこのワクチンは優れていると太鼓判を押しても藪蛇であり、本当に優れているというなら、市民が納得できる知見やデーターをガラス張りに公表しなくてはならないだろう。

 

2)コロナ簡易検査無料化と自宅簡易検査開始(ZDFheute2月18日)

ドイツでは、コロナ簡易検査が3月から検査センターや薬局などで、訓練を受けた人によって無料で受けられようになる。

またそれとは別に市民が自宅で簡単に検査できるようになると、スパーン連邦保険大臣はほのめかしており、このニュースで見るようにハンブルクの製薬機器メーカは承認を見越して3月の販売に向けて用意を整えている。

このメーカのある地元のNRD(北ドイツ放送ARD所属)によれば、既に1日生産140万個を開始しており、約5ユーロで、市民が薬局やスーパーマーケットで購入できるようになると伝えている。

この自宅簡易検査器の原理は、口中の舌から分泌物(コロナウィルスからのタンパク質)が検査機内で抗原抗体反応をすることで、色づき検出されるように作られており、企業代表トーマスは、信頼性96%に加えて、この検査で陽性の場合コロナウイルスが関わる精度は99%と明言している。

何故今簡易検査かと言えば、このニュースの冒頭でも述べているように、コロナ終息の鍵はワクチン接種と検査の徹底にあるからだ。

ロックダウンは既に限界を越えて継続されており、最早国民全てのワクチン接種が終わるまで待てないのであれば、敏速簡易検査の徹底が社会再開の鍵を握っている。

すなわち学校、保育園、施設で敏速簡易検査が実施されれば、無症状、もしくは軽症感染者(ウイルス保有者)を見つけ出すことが容易にでき、そこに集う人は安心して日常生活を取り戻すことができるからである。

 

今コロナ禍で日本が問われているもの(1)

 

ドイツではコロナ感染第2波が徐々に下がり、ワクチンのドイツ国内製造でワクチン接種が加速し、敏速簡易検査器が普及することから、万全の体制で制限解除に向かっている。

そこでは社会が正常に動き出しても、再度感染拡大の過ちを二度と繰り返さない仕組みが出来上がっているように思う。

日本でもコロナ緊急事態措置の継続で1日の感染者数は減って来ており、2月を目途に大阪、兵庫、京都は3月初めから解除に踏み切る状況にあるが、再び社会が正常に動き出せば、再び感染拡大の危惧は払拭できない。

それは、感染拡大の過ちを二度と繰り返さない本質的仕組みが全くできていないからである。

最も懸念されるのは、1日当たりのコロナPCR検査が12月に5万件に達してからは足踏みし、現在も5万前後で頭打ちをしていることにある。

コロナパンデミックの恐ろしさは、感染者の半数以上が無症状、もしくは軽症で社会生活できることにあり、経済活動を重視するなら、1日のPCR検査を欧米並みに一桁増やすなり、ドイツのような敏速簡易検査機をすぐさま導入し、学校や施設だけでなく、各家庭に無償で提供すべきである。

しかし何れもできないのは、市場は競争原理最優先で、教育や医療、さらには環境(水)といった公共資本まで、全て売り物にするカジノ資本主義新自由主義)が横行するにもかかわらず、国をつかさどるお役所は社会主義と揶揄されほど旧体質で権益、利権に縛られ、未だに無謬神話が温存されていることにある。