(426)ドイツ最新ニュースから学ぶ(19)(8月6日投稿)

ドイツを襲った世紀の洪水被害 ZDFspezial7月19日

私自身ブログ(376)で以下のように書いているように、ドイツでは河川氾濫や洪水があっても、大災害はあり得ないと思っていた。

「ドイツでは河川氾濫は毎年日常茶飯時であり、洪水による街の浸水も決して少なくない。

しかし洪水での浸水も想定し、たとえ床上浸水しても地下室に水が入らないように配慮し、洪水で死者がでることは殆どなく、被害も最小限にするのがドイツである。しかも浸水した地域は「浸水地域」指定で新たな住宅建設が規制され、6年ごとの浸水地域指定の更新で継続されて行けば、街自体が自然に消えて行き、氾濫原をなくす仕組みが作られている。」

しかしそのドイツで、世紀の洪水被害といわれる大災害が起きたのである。

今回のドイツの洪水死者災害は、2002年のエルベ川氾濫の大洪水での21人死亡、2013年の再度エルベ川氾濫大洪水で近隣諸国合わせて25人死亡、2016年のニーダーバイエルン市の洪水で7人死亡以来であり、まさかドイツで、少なくとも189人の死者を出す大災害が起きるとは思わなかったのである。

このフィルムでは早期の警報がなかったことが問題となっているが、自治体や連邦保護局に油断があったことは確かである。

もっとも今回の7月中旬の豪雨による大洪水は、ドイツだけでなく、ベルギー、オランダ、オーストリア、スイスと多岐に渡っており、その原因は熱帯低気圧の頻繁な発生と急速な発達である。

すなわち地球温暖化の激化で、地中海の海水温が上がり、多量の水蒸気を含んだ熱帯低気圧の頻繁な発生であり、河川対策だけでは最早避けられない時代に突入したと見るべきであろう。

 

地中海沿岸に拡がる森林火災 ZDFheute 8月2日

(4) 地中海沿岸に拡がる森林火災8月2日 - YouTube

地中海の熱帯低気圧による豪雨が一段落したと思ったら、ギリシャで45度と言う異常な暑さと地中海から吹き上げる熱風による森林火災である。

すなわち一過性のものではなく、一旦鎮火できても何度も森林火災が繰り返されて来る。

8月1日のFAZ・NET(フランクフルト・アールゲマイン紙)では、「南ヨーロッパの熱波:

大きな暑さと強風が新たな火災を引き起こす」のタイトルで、その異常さを伝えていた(注1)。

その記事では、アンカラのHacette大学Perktas教授の「森林火災は放火が主な原因であるが、今回のトルコの森林火災は気候変動が最大の原因である」という

主張を載せていた。

明らかにこうした報道からもわかるように、年々気候変動は激化しており、最早従来の対処方法では限界なのである。

 

気候変動激化から見えてくる未來

 現在2億人を超えて拡がり続けているコロナ感染も、ワクチン接種が進めば克服できるというやり方も、イスラエルなどで2回の接種をした人たちが変異種デルタ株に感染し、重症化する例から見ても、限界を感ぜずにはいられない。

確かにコロナウイルスの突起部分の遺伝子情報RNAを大量培養し、その接種で細胞内で抗体を造らせるやり方は画期的であるが、突然変異のし易さから、抗生物質が耐性菌を拡げて行ったように、過信すると命取りにもなりかねない。

確かに中国武漢からコロナ感染が拡がった際は、ワクチン接種も中和抗体もなく、戦う手段が全くなかった。

それゆえ地域封鎖しかなく、武漢などに見られるように徹底した封鎖ができたところは一旦はコロナ感染制圧に成功している。

日本のように経済が優先される国においては、非常事態宣言でコロナ感染が減少すると、十分な検証もなくすぐさま経済活動を再開させている。

そうしたやり方が、現在の危機を招いていることも明白である。

それは、インドで確認された変異種デルタ株が世界に現在蔓延している原因であり、グローバル経済が止まらないからである。

すなわちコロナ感染でも、さらには気候変動でも、グローバル資本主義の対処するやり方は限界なのである。

しかし進歩に向けて進む地球号という巨大船体のなかでの反乱は、犠牲が大きすぎるだけでなく、巨大船体自体を滅ぼしかねない。

それならば気候変動激化で食料危機、感染症蔓延で、グローバル資本主義が機能不全に陥り、自ずから地域主権の地域自給社会へ、転換して行くのを待つしかないだろう。

もっともそうした未来への視点に転じて行くと、少なくとも心のなかでは、“禍を転じて福と為す”という希望が湧き上がって来る。