(449)民主主義は世界を救えるか(9)ZDFが警鐘する核戦争への高まり(1)・ 為替相場がなくなる日(4)

ZDFが警鐘する核戦争への高まり(1)

 

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 ZDFズームが7月16日に放映した『抑止として軍備なのか?・ヨーロッパの新たな前線 Aufrüstung zur Abschreckung?・Europas neue Fronten』では、ウクライナ戦争が終わりのなき泥沼化するなかで、核戦争勃発の危機を孕む「新たな前線」が警鐘されていた。

フイルムは「NATOは、東ヨーロッパのいたるところで軍隊を増強している」から始まり、ノルウェー海域でのロシア侵攻直後のNATOの大規模軍事演習やバルト海域の緊張の高まりが描かれている。

ノルウェー海域は、絶えずロシアの大陸間弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦が運行し、重要な作戦海域であるからだ。

またバルト海域にもロシアとNATOの軍艦が集まっており、しばしば両方の戦闘機接近が生じており、攻撃が為される危うさが、専門家から指摘されている。

何故ならロシアは核兵器搭載の軍艦もあり、カリーニングラードにはミサイル基地もあり、またNATOも直ちに使用できる核兵器が備わっているからである(具体的には、次回のフィルムが述べるように、ロシアには2000の核兵器NATOにも直ちに使える150の核兵器が備わっている)。

 そして今回のラストでは冷戦を体験していない若い女性専門家が、「私たちが核戦争の瀬戸際にいるとは思いませんが、もし今後数年この状況が続けば、核戦争のリスクは大幅に増加すると思います」述べているのが印象的であった。

それは誤作動から生じるというより、欧米の絶えざる支援で数年も続けば、ロシアの疲労は極限に達し、残忍なプーチンは敗北撤退よりも局地的核攻撃を採る可能性が高いと分析されていることにもよるのだろう。

 

 為替相場がなくなる日(4)

  前回は2030年の国連宣言で、益々危機に陥っていく世界に対処するため新たな国連の地域政府連合創設が要請され、民主主義が機能して国から地域の自己決定権を問う国民投票が実施されて行くことを述べた。

国連を実質的に主導する非政府組織の人たちは、国民投票が実施されれば勝てると考えていた。

何故なら産業奉仕を優先する国民国家の二〇五〇年の未来像と、市民奉仕を優先する地域連合の二〇五〇年の未来像を比較して描き出すことが出来れば、危機を利用して益々裕福になっていく一握りの人たち以外は、もう一つの新たな国連創設に賛成すると確信していた。

国連の描き出した国民国家の未来世界では、最初に世界の人々が他力本願に期待するグリーンニューディールの「成長と抑制」両立の嘘が検証され、パリ協定実行年2020年から2050年の30年間で温室効果ガス排出量がゼロにならないどころか、リオ宣言の1990年から2020年の30年間で160%に増大したように、160%以上増大する恐ろしい未来が、世界の気候変動や格差問題に取り組む多数の専門家検証を踏まえて描かれていた。

すなはち国民国家の2050年の未来世界は、洪水と干ばつの激化で、世界の大部分の人々が洪水被害に絶えず脅えるだけでなく、食糧危機の日常化で窮乏生活を強いられ、常習化した感染症パンデミックで機能不全に陥り、人類の滅亡が現実化する世界であった。

それに対して自助経済の地域政府からなる国連地域政府連合の未来世界は、地域のエネルギー自立を通して自然エネルギーの転換を完成させ、2050年には排出量ゼロを実現するだけでなく、地域気候変動激化という大いなる禍を通して経済の絶えざる成長求める競争社会を反省し、人類にとって誰もが連帯できるよりよい社会を創造する未来像であった。

もっとも現在の世界を化石燃料原発によって支配する側が描く2050年未来像は、イノベーションによる「成長と抑制」を克服するバラ色の未来であり、地域政府連合の自助経済による未来は貧弱な過去に戻ることであり、自然の脅威に脆弱な倒壊する未来であると、世界の多数の御用学者や専門家の証言を通して断言した。

しかも豊富な資金力によって、メディアなどあらゆる媒体を利用して、あたかも真実であるかのように情報操作が為されて行った。

しかし民主主義が機能しているドイツ、フランス、北欧諸国などでは、公開討論が活発に為されるなかで、イノベーションによる二酸化炭素地下貯蔵技術や新たな核融合技術が現実化するには程遠く、巨大資本が推し進めるグリンニューディールさえ逆に気候変動を悪化させることが明らかになって行った。

またデジタル化と人工知能化が創るバラ色の未来も、夥しい数の肉体労働者だけでなく知能技術者の雇用を奪い、一握りの人たちが大部分の市民を支配する社会となり、益々警察国家が強化される社会になっていくことも明らかになった。

さらに国連側に立ち、世界各地で未来検証に取組む専門家は、気候変動による干ばつや洪水の激増、避難民の激増などで、先進国でも食料危機が頻発することを詳しいデータを基にシミュレーションで明らかにして行った。

そのように事実が明らかになって行ったのは、これまでのようにタバコの発がん性や気候変動に対して世界的に著名な専門外の識者や科学者が、詭弁的な疑問を呈するだけで50年近くも事実が先送りされて来たが、公開討論では御用学者や御用専門家の詭弁が詳しいデータで論破されるだけでなく、オンラインで参加している様々な未来予測の最前線で携わっている専門家から詭弁の嘘が暴露されたからであった。

しかもそれだけではなく、国連の描く2050年の未来像が信憑性が高いことが検証されたからである。

それ故日本のように、最初国民投票が問題外と無視された国においても、海外でのこれらの公開討論で明らかにされた事実は、ネット上に詳しく報道されていることから妨げようがなく、記者クラブで政権批判が規制されているメディアも堰を切ったように競争で書き立てることから、国民投票を無視できなくなったことは容易に理解できるだろう。