(473)核なき世界の実現(1)・ドイツが描く相応の核反撃の理由(ウクライナ戦争は8月までに終わりを迎える)

ZDFツァイトが描く核反撃の理由

 

 現在の世界は、ZDFツァイトが5月23日に公開した『プーチンのタブー違反・核爆弾の前の新たな恐怖』が語るように、キューバ核戦争危機以来の危機が迫って来ている。

なぜならプーチンウクライナ侵攻はタブー違反であり、最初から核の限定使用を明言しているからである。

しかもウクライナ戦争はロシアと欧米NATOの戦争であり、長期戦になればなるほど軍備、財源で圧倒的に欧米が有利となり、既にプーチンウクライナ侵攻は行き詰まるだけでなく、敗走の時が秒読み段階に来ている。

逆にそれは、ロシアの核限定的攻撃が迫って来ていることを意味している。それを防ぐためには、万一ロシアが核攻撃に踏み切った場合万全の備えができており、ロシアの核限定的攻撃がされれば、その瞬間にロシアへの同規模の核限定的攻撃がされることを、プーチン及びプーチンの周りの指揮官及び指導者たちに認識させるしかない。

それゆえ本来であれば極秘にされる反撃のプロセスを、敢えて公共放送を取材させて公開しているように、最初思われた。

しかし基地司令官トーマス・シュナイダー大佐の「繰り返しますが、抑止力が機能している限り、いつかそのような兵器を使用しなければならなくなることを私は恐れていません」と語るとき、別の核の抑止が感じられた。

プーチンの明言からして、核の限定使用は有り得ることであり、万一核の限定使用がなされた場合、前回載せた『私の見た動画72』のプリンストン大学のシミレーションでは、相応の反撃の必要性からビューヘル基地からトルネード戦闘機による反撃がなされ、さらにロシアが対抗すれば人類絶滅の核戦争にもなりかねないことを警告していた。

まさにそれはアメリカが示す、力による核の抑止であった。

しかしドイツの示す核の抑止は、核の限定使用さえ出来なくする意図がフイルムの節々で感じられた。

万一ロシアが核の限定攻撃を行った場合、NATO側は万全の相応の反撃プロセスができているにもかかわらず、NATO政治家とアメリカ大統領の相互承認によるゴーサインは出されるだろうか?

核爆弾被爆者の悲惨さからして、核の限定使用が万一行使されれば、世界は広島、長崎の際とは異なり、その悲惨さを包み隠さず日々報道し続けるだろうし、その地獄映像を目の当たりする時、これまで中立的態度を採ってきた国々も激しい非難へ変わり、中国さえも最早ロシア支援からの撤退だけでなく、激しい非難へと変わらざるを得ない。

したがってドイツの描くこのフィルムは、相応の反撃を不必要にするだけでなく、ロシアの核限定使用を不可能にするものである。

なぜなら昨年のZDFズーム『プーチンの権力の道』が描いたように、独裁者プーチン大統領KGBソ連共産党官僚支配体制の国家保安委員会)の支配体制がつくり出したものであり、そのような支配体制がロシアが現時点で核の限定使用した場合を綿密に分析すれば、その行使によってロシア自体が崩壊することを認識するからである。

それゆえウクライナ戦争はロシアはウクライナの一斉反撃が始まれば、撤退するしかなく、ウクライナが国境を越えて攻撃しない限り、ウクライナ戦争は年内とは言わず、夏までに終わりを迎えるだろう。

 そのようなドイツの報復の反撃を不必要とする戦う民主主義のやり方こそ、今年私が出したドイツから学ぶ『永久革命としての民主主義 第一部』、『永久革命としての民主主義 第二部』に他ならない。