(304)世界の官僚奉仕を求めて第14回官僚奉仕の切札は太陽(9)ポスト資本主義(私の見た動画6『ナチズムを希求した2.26事件』)

現在の資本主義はグローバル化による投機マネーの肥大、タックスヘイブンの拡大などで、富の再配分機能が失われつつあり、ひと握りの人たちが莫大な富を肥大させている反面、大部分の人たちが困窮に向かっていることが統計資料からも明らかになって来ています。

そうした状況は昭和初期にもあり、欧米は産業革命を経て肥大し、生産過剰による不況から新たな投機先を求めて帝国主義を推し進めていました。
日本でも同様であり、政官財の腐敗を通してひと握りの人たちだけに富が集中し、上の動画(NHK2013年1月13日放送「日本人は何を考えてきたのか 第10回」)で見るように大部分の人たちは暮らしに困窮し、農村では娘を身売りしたり、欠食児童が蔓延していました。
そうした中で不正なき平等を求める国家社会主義が、日本でも希求されて行ったのは当然の帰結と言えるでしょう。
2・26事件の思想的拠り所となった北一輝の「日本改造法案大綱」では、私有財産を制限し、ひと握りの特権階級をなくすことで、すべての人が救われる平等な社会実現を目指していました。
決起した青年将校はクーデターで憲法を止め、国益ための天皇の軍隊を国民のための国民の軍隊に変え、国家社会主義の国家建設を求めました。
そのような国家建設を軍上層部(皇軍派)も望んでおり、国民の政官財の腐敗に対する不満が頂点に達していたことから、天皇大権さえ期待しなければ、日本にも国家社会主義政権の誕生も十分在り得たでしょう。
もっとも「日本改造法案大綱」では、より積極的な帝国主義拡大が説かれており、たとえ国家社会主義の政権が誕生したとしても、ナチス政権が官僚に丸投げしたように、大本営(軍官僚支配)による太平洋戦争への突入は免れなかったように思われます。

現在の日本社会、そして世界においても化石燃料産業社会の行詰り、それゆえの金融投機の肥大で大部分の人たちは困窮し、昨年末民主国家ポーランドが法とメディア支配の独裁国家に転じたように、ナチズム再来の脅威が高まって来ています。
そうした高まりのなかでナショナリズムを巧みに利用した安倍政権は、国民の願望を政策目標に掲げ、NHKに見られるように、報道操作も加わって未だに支持されているように思われます。
もっとも一つ一つの政策目標は、安倍政権の推進する新自由主義とは真逆の嘘で塗り固めていることから、どのように足掻いても破綻は見えています。
しかし野党が民意に沿って共闘し、ガラス張りで現実的な政権構想を煮詰めることが出来なければ、国民の不満は一気に高まり、ハシズムに見られるように国家社会主義独裁政権を生み出しかねません。
そのような国家社会主義(ナチズム)再来の危機が、ポスト資本主義として日本、そして世界で高まっていると言えるでしょう。