2012-01-01から1年間の記事一覧

(122)日本デフォルトへの懸念

2012年の最後のブログは「ドイツが警鐘する安部政権」という題で書くつもりにしていた。 ドイツのマスメディアは、安部晋三の集団自衛権容認や敵基地攻撃論だけでなく、戦時中の強制慰安婦狩りを認める河野談話の取り消し強行論者であることを客観的に分…

(121)ドイツの今を考える最終回。(16)非暴力こそが世界、そして日本を救う。

緑の党創設の綱領が最後に掲げる原理は非暴力である(注1)。 現在のパレスチナを見ればわかるように、力の行使は負の連鎖を増大させ、イスラエルの殺戮攻撃とパレスチナのテロ攻撃がますます険悪化を招いている(注2)。 軍事力、財力で圧倒するイスラエ…

(120)ドイツの今を考える。(15)底辺民主主義が求められなくてはならない理由(そして今回の選挙の意味するもの)

議会による間接民主主義の横暴が今ほど問われている時はなく、既に述べた社会的危機が物語るように、現在の政治は献金などのお金によって新自由主義に支配されているからだ。 緑の党創設綱領は第三の原理として底辺民主主義(直接民主主義)を掲げ、サッチャ…

(119)ドイツの今を考える。(14)社会的危機が意味するもの 後編(そして今回の選挙で問われているもの)

ZDFフロンタール21「低賃金・・・働けど貧乏(ワーキングプア)」の後半では(注1)、登場する専門家や政治家はミニジョブや派遣労働を賃金搾取として不当であると非難し、適正な規制に基づく社会的市場経済への復帰を求めている。 例えば経済専門家のヒ…

(118)ドイツの今を考える。(13)社会的危機が意味するもの 前編

緑の党創設綱領の第2の原理として掲げられたのは「社会的Sozial」であり、英国のサッチャー新自由主義政権後の押し寄せる波で、社会的危機を訴えていた(注1)。 そして今、社会的危機がその際とは比べものにならないほど深刻にドイツでも現実化しており、…

(117)ドイツの今を考える。(12)エコロジーが人類の未来を開く

既に述べた緑の党創設時の綱領に掲げられた4つの原理は、今や世界の危機を救う鍵であり、特に産業社会のエコロジー的(第1の原理)転換なくしては人類の未来は開かれないと言っても過言ではない(注3)。 何故なら国連の政府間パネルの2007年第4次評…

(116)ドイツの今を考える。(11)海賊党の急成長が投げかけるもの

海賊党の設立は2006年としても、ドイツの政治舞台に登場したのは2011年9月のベルリン市(州)議会選挙からであった。 ベルリンでは8、9パーセントの高い得票率で15議席を得、今年2012年3月のザールラント州議会選挙では7、4パーセントの…

(115)ドイツの今を考える。(10)自由民主党FDPの栄光と凋落が物語るもの

ドイツの自由民主党FDPが2009年の連邦選挙で14,6パーセントの得票率を獲得し、黒(キリスト教民主同盟)と黄色(自由民主党)の連立勝利宣言がなされた時、党首キド・ウェスターヴェレの顔は栄光に輝いていた。 しかしその直後の連邦議会でウェスタ…

(114)ドイツの今を考える。(9)緑の党の連邦首相誕生は可能か 後編

1999年5月13日緑の党大会で3月から始まっていたNATOによるユーゴ空爆が容認され(無条件停止318票、容認一時停止412票)、外務大臣を兼ねるヨシュカ・フィッシャー党首に戦争犯罪人として赤いカラーボールが投げつけられた時(鼓膜に損傷を負…

(113)ドイツの今を考える。(8)緑の党の連邦首相誕生は可能か 中編

緑の党のバーデン・ヴュテンベルク州首相クレッチャマンは緑の党創設以来の党員であるが、ぺトラ・ケリーの言うような「エコロジー、社会的連帯、底辺民主主義、非暴力の緑の党の4つの柱で妥協はあってはならない」とする原理主義者ではない。 それを如実に…

(112)ドイツの今を考える。(7)緑の党の連邦首相誕生は可能か 前編

緑の党は過去のラジカルな原理主義者を退かせ、現実的手法のヨシュカ・フィッシャーの下にシュレーダの赤と緑の連立政権を誕生させることで、結果的には新自由主義を推進させた。 それは大半のドイツ市民を困窮させたことで、2005年の連邦選挙、2009…

(111)ドイツの今を考える。(6)社会民主党SPDの復権はあるのか 後編

クルト・ベックの反新自由主義政策へのハンブルク綱領による転換は、シュレーダーの「アジェンダ2010」を推進してきた人たちにとって過激な転換であり、容認できないものであった。 「アジェンダ2010」をシュレーダ辞任後もメルケル政権の閣僚として…

(110)ドイツの今を考える。(5)社会民主党SPDの復権はあるのか 前編

9月28日のSPDのハンブルグでの党大会で2013年連邦選挙の首相候補がペア・シュタインブリュックに決まったことで、選挙は一年先にもかかわらずドイツ市民の関心は次期首相に向けられている。 しかしドイツ市民のシュタインブリュックへの期待は、次期…

(109)ドイツの今を考える。4)2050年の左と右の一致する未来

リンケが提示する2050年のBプランは(注1)、平等を基盤とした4つの赤のプロジェクトを柱とする社会的エコロジー産業社会の建設である。 第一の柱であるエネルギーでは、エネルギー転換で現在のドイツの4大巨大電力企業に代わって無数の電力企業が電…

(108)ドイツの今を考える。3)リンケが提示する余りにも斬新な未来

本来の取り上げる政党の順番は、戦後キリスト教民主同盟CDUと政権を争ってきた社会民主党SPDか、あるいは脱原発によって上昇気流に乗る緑の党が順当であろう。 しかしSPDは労働組織からなることから産業側と太いパイプを持ち、政権与党になるとシュレーダー…

(107)ドイツの今を考える。2)世界危機の本質的な解決を求めて

9月12日カールスルーエの憲法裁判所が欧州安定機構ESMや財政協定に対してどのような判決を出すか注目されたが(注1)、結局1900億ユーロの救出額条件を付けることで承認された。 これはEUの経済、及び政治統合へのゴーサインであり、将来においては…

(106)ドイツの今を考える。1)メルケル政権のアデナウアー原点への回帰

私は名古屋育ちであるが、現在は大半を長野県と新潟県の県境妙高に住み、書くことと田畑を耕す農的暮らしをしている。 田畑は黒姫山の山麓にあることから車で通うのであるが、最近の道路工事多さには驚くものがあり、彼方此方で片側通行となり目先的にも実害…

(105)オルターナティブな小沢一郎論。(8)最終回、世界を切り開く「オリーブの木」成功の鍵

「オリーブの木」が8月27日に、まずは国民連合へ集結することでスタートした。 そこには田中康夫の新党日本だけでなく。河村たかしの減税日本も参加していることから、小沢一郎の決断次第で両ウィングにすることも可能だ。選挙が公示される頃には、以下の…

(104)オルターナティブな小沢一郎論。(7)何故脱原発デモに参加しないのか

小沢一郎は7月8日のNHK「日曜討論」に出演して、日本が脱原発に進むべきであることを、以下のように国民に明言した(注1)。「僕は今度の大飯の原発、これも安全性について国民、住民の納得の得られるようなやり方をやってないという批判は正しいと思…

(103)オルターナティブな小沢一郎論。(6)「国民の生活が第一」の反増税が支持されない理由

あくまでも小沢一郎が国民から支持されてきたのは、既存の組織をぶち壊そうと行動してきたからであり、その行動も田中康夫がマキャべリストと絶賛するほど迫力があったからだ。 2009年の小沢一郎の掲げた「国の総予算207兆円を全面組み換え」は、利権…

(102)オルターナティブな小沢一郎論。(5)デクノボウと呼ばれる女性議院擁立が鍵

三宅雪子、福田衣里子、江端貴子、中村美恵子、岡本英子、山尾志桜里、永江孝子、青木愛、太田和美、田中美絵子らの若手女性政治家は、小沢一郎が発掘育成し、メディアは小沢ガールズと呼び2009年の新語・流行語大賞にノミネートされるほどであった。 2…

(101)オルターナティブな小沢一郎論。(4)誰が鈴をかけるのか

新しい自公民原子力ムラ管理人たちの圧倒的な資金力、組織力に対して、各小党が入り乱れて300の小選挙区でどのように健闘しても、ほぼ全敗することは初めから判り切っている。 メディアの世論調査によれば、「国民の生活が第一」の激減、国会議員のほぼ9…

(100)オルターナティブな小沢一郎論。(3)何が今一番必要なのか

今回の官僚組織、産業組織、そして組合組織に乗っ取られた民主党政権の失敗は、結局は小沢一郎の想定の甘さにも原因がある。 しかしその甘さこそが小沢一郎の人間像であり、いかなる逆境からも前に進もうとし、彼自身も進化し続けている。 その甘さと変化に…

(99)オルターナティブな小沢一郎論。(2)作られた悪党像

しかし「オリーブの木」のような連合によって新しい日本をつくるためには、小沢一郎が国民に信頼されていなくてはならない。 残念ながら世論調査が示すように、現在の時点では国民の大部分は小沢一郎を信頼しておらず、嘘つき、壊し屋、豪腕、そして朋友側近…

(98)オルターナティブな小沢一郎論。(1)敵は組織にあり

民主党内の小沢グループは100人ほどと言われていたが、今回の離党では50人であった。 最後に離党した長野5区加藤学に対して、民主党県連幹事長の「組織人としてはおかしい」という強い不快感が示され、ポスターなどの一切の準備をしないことが報道され…

(97)ドイツの大飯原発再稼動報道が投げかける亡国日本への示唆・・・「国民の生活が第一」をオリーブの木のように育てたい

ドイツのメディアは今回の大飯原発の再稼動に対して、反対運動に距離を置く日本のメディアと対照的に積極的に向き合い、日本の多くの市民がデモに参加して反対していることを伝えている。 これは1995年末高速増殖炉「もんじゅ」がナトリウム事故を起こし…

(96)オルターナティブな視点からのEU危機最終回。7)すべての危機の打開は脱原発で始まる・・・素晴らしい未来は可能である

現在のEU危機では、ドイツのメルケル首相が解決策として財政緊縮政策を掲げたのに対して、フランスの新大統領オランドは経済成長政策を最優先して掲げている。 しかし近年フランスでは、本質的解決のオルターナティブ(もう一つ別なもの)として「脱成長」…

(95)オルターナティブな視点からのEU危機。6)危機こそ最大のチャンスなり。

確かに現在の状況は、日本そして世界の将来に暗雲が立ち込めるだけでなく、ともすれば絶望的にならざるを得ない。 世界の希望であったEUがグローバル化が激化するなかで、競争原理を最優先するリスボン戦略を選択せざるを得なかったことは歴史の流れの必然…

(94)オルターナティブな視点からのEU危機。5)本当の危機は日本にあり。

日本の危機は累積負債が1000兆円を超えているからではなく(各省庁や外郭団体には埋蔵金よりも棚上げされている負債が大きく、ガラス張りにされればさらに膨らむが)、内部的に恐ろしく病んでおり、消費税が10パーセントに倍増されても全く財政が改善…

(93)オルターナティブな視点からのEU危機。4)ギリシャ再選挙後EUは何処へ行くのか?

今ギリシャのユーロ離脱を問う再選挙を通して、EUの危機に世界の眼差しが向けられている。 EU危機の本質的な原因は、EUが2000年からリスボン戦略採択による競争原理の最優先で多くの弱国を生み出し、それらの弱国が次から次へと金融危機に追い込ま…