2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

(158)ハネケ映画を通して現代を考える(6)白いリボン後編・・ハネケの叫びかける心の声

上に載せた『ミヒャエル・ハネケ・・マイライフ』を見れば、『白いリボン』がどのように制作され、映画制作の際ハネケが注文の多い監督であり、支配的に取り仕切っているにもかかわらず、いかに俳優やスタッフに慕われ愛されているかが伝わってくる。 またネ…

(157)ハネケ映画を通して現代を考える(5)白いリボン中編・・現代が対峙するファシズム再来

ハネケは2010年のシュピーゲルのインタビューで、『白いリボン』の制作アイデアが生じたのは20年ほど前であり、ユーモアに富んだ女性友達でもあったウルリケ・マインホフ(ドイツ赤軍の設立者)が左翼テロリズムに傾倒することで、全く人が変わってし…

(156)ハネケ映画を通して現代を考える(4)白いリボン前編・・ナチズム醸成を予感させる子供たちの制裁

この物語は村の医師の落馬事故から始まり、小作人妻の男爵納屋での事故死、誘拐による男爵息子ジギの逆さ吊りと鞭打ちの制裁、男爵納屋の全焼、牧師の愛育していた文鳥のハサミによる机の上の磔、助産婦のダウン症の息子カーリンの誘拐と目への危害など、次…

(155)ハネケ映画を通して現代を考える(3)。『城』(全体的支配構造克服のテーゼ)

ハネケの『城』はカフカの小説(注1)を踏襲しており、「Kが到着したのは晩も遅くであった」とナーレションで語ることから始まる。 ハネケはインタビューで、複雑な内容ではシンプルに制作することが鉄則と述べているように、この映画は非常にシンプルに坦々と…

(154)ハネケ映画を通して現代を考える(2)。『愛、アムール』後篇

上に載せた字幕を付けた『アムール映画制作現場にて』では、この映画の3人の主人公がハネケについて語っているが、彼の映画監督としての巨人像が溢れ出している。 それについては追々と述べていくが、今回はこのハネケ映画が投げかけるものについて考えて見…