2011-01-01から1年間の記事一覧
今年最後のブログとしてギリシャの不当債務を通して、日本の財政破綻について考えて見たい。 ギリシャの不当債務についてNHKが11月に放映したBS世界のドキュメント『ギリシャ財政破綻への処方箋・・・監査に立ち上がる市民たち』を見ると、ギリシャ財政の…
11日にダーバンでの国連気候変動会議(国連気候変動枠組み条約締約国会議)COP17が閉幕し、先行きが絶望視されていたなかで、2015年までにアメリカ、中国、インドも排出抑制義務の拘束力を持つ新たな条約合意がなされ、2020年から発行されること…
2011年5月メルケル首相は、キリスト教民主同盟の党大会で「福島が私の考えを変えた」と言って転換の転換である脱原発宣言した。 確かに福島原発事故が大きな切っ掛けではあったが、そのような選択に追い込まれたのは、ドイツ国民が2010年の原発運転…
連邦選挙に圧勝した黒(キリスト教民主同盟)と黄色(自由民主党)の連立政権は、選挙の公約通り減税を経済成長加速法(Wachstumsbeschleunigangsgesetz)と命名して2010年1月に施行した。 具体的には、子供控除の増額、相続税の減税、企業減価償却にお…
ドイツで2010年に新自由主義からの転換が起きたかどうかは、歴史が判断することであるが、2007年から2010年までベルリンに暮らし、今年2011年ベルリンから遠く離れて日本で、3月の保守王国バーデンヴェルテンブルグ州の緑の党連立政権誕生…
そしてドイツ社会を悪化させた決定打は、2008年の金融危機であった。 シュレーダー政権誕生後厳しい新自由主義の洗礼を受けたドイツ市民は、老後の暮らしを最早年金だけに頼ることができないため貯蓄に励んだ。 しかしその貯蓄の多くが、銀行の巧みな勧…
前回述べたように国際競争力を引き上げることは、国民の恵まれた賃金、雇用形態、社会保障、年金を引き下げることを意味した。 それ故折角実現した国際競争力を、大きな利益が得られたからと言って、利益分配によって再び下げることは有り得ず、利益は一握り…
もしシュレーダーの推し進めた新自由主義が少しでもドイツ国民に幸せを与えていれば、シュレーダーがどのような豪華な暮らしをしようとも、国民はドイツの国際競争力を引き上げた功績を褒め称え、感謝したであろう。 しかし現実はドイツが世界で一人勝ちする…
シューレダー連立政権が1年後には公約の目標を180度転換し、新自由主義の推進に向かっていた。 それは、シューレダー連立政権が「第3の道」を唱えるイギリスのブレア政権と太いパイプを結び、着々と競争原理を最優先させる「リスボン戦略」の成立に向け…
前回は悲願のドイツ統一を望んだコール政権がアメリカの支援を求めたことから、アメリカ資本が雪崩れ込み、それを契機としてドイツの政治が新自由主義に支配されて行ったことを述べた。 しかし社会的市場経済による万人の幸せを実現した社会が、新自由主義に…
戦後のドイツは社会的市場経済を基盤にして、奇跡の産業発展を遂げるだけでなく、競争よりも連帯を求める理想とも言うべき教育を築きあげた。 また農業においても、小規模農家の倒産や環境破壊を招いたECの集約的な農業共通政策を農民と市民が連帯する個別補…
ドイツの戦後教育はナチズムを許した反省からなされたが、日本のように最初から民主教育が実施されたわけではなかった。 ナチズムに関与した多くの教員が大学から追放された後は、ナチス以前のワイマール時代の伝統的なエリート教育に回帰した。 すなわち少…
日本が明治初期に手本としたドイツの官僚政治は、戦前は現在の日本の専制的な官僚政治のように国民に開かれておらず、上から下への徹底した管理統制を通して、不透明な無責任体質の政治がまかり通っていた。 そのような政治が一兆パーセントにも上るハイパー…
ドイツの戦後は、日本と同様に奇跡の工業発展を遂げた。 しかし日本と異なるのは、戦前の1兆パーセントにも上るハイパーインフレやナチズムを許した国家利益を優先する専制的な官僚制度が、国民利益を優先する民主的な官僚制度に刷新されたことである。 そ…
私が妙高を離れている間に、日本のTPP参加が表明された。 これまでの経過からある程度予測されたことであったが、本格的なボトム競争と増税の開始ボタンが押されたことを自覚せざるを得ない。 何故ならTPPは単に貿易関税をゼロに取り払うだけでなく、…
日本の一般会計は2011年予算が92兆円4116億円であるが、実際は各省庁は21種類の特別会計を持ち、総額は国の予算の360兆円を超えている。 この巨大な総額は、国の予算との重複、各省庁間のやり取りなど複雑な仕組みで作られており、実際の国の…
日本の産業は既に90年代には、韓国、台湾、そして中国などの追い上げで行き詰り、安くて質のよい大量生産による日本産業は終焉に向けて背走を始めたと言っても過言ではない。 確かに「失われた10年」の後数字だけを見れば、新自由主義を推し進めた小泉政…
日本の政治は、政治家が選挙の際は国民の側を向き国民の利益を公約するが、選挙後は官僚の助けなくしては政治が機能しなくなることから、結局丸投げとなる。 官僚は常に国民の利益より産業の利益を優先することから、次の選挙では裏切られたと怒る国民は、媚…
今回は地域主権型道州制を掲げ日本の新しいかたちを求めた「みんなの党のアジェンダ2010」を検証することで、日本の新しいかたちの展望に繋げたい。みんなの党が掲げる「アジェンダ(行動計画)2010」では、議員数の大幅削減や報酬の引き下げ、そし…
経済産業省の官僚古賀茂明の勇気ある反乱は、民主党が財務省に屈し国民を裏切ったこともあって、一世を風靡したといっても過言ではない。 彼が評価されたのは、『権力中枢の崩壊』を世にだすことで、権力の中枢がメルトダウンを起こしており、既に腐り始めて…
10月15日の先週の土曜日に、ニューヨーク、ワシントン、ロスアンゼルスなどのアメリカの「99パーセントデモ」に連帯して、ドイツでも全土の50都市で行われ、金融中心都市フランクフルトでは5000人、首都ベルリンでは10000人を超える市民が…
日本農業の再生を実現するためには、既に述べたように権限をすべて地方政府に委譲させ、各地方政府が地域独自の環境保全型農業計画に基づく農家個別補償制度を競い合うことが重要である。 しかし現在の農業鎖国ともいうべき101種類の主要食料品の200パ…
少なくともEUが競争原理を最優先する新自由主義の「リスボン戦略」を採択するまで、ドイツのミルク農家も地域の美しい景観のなかで理想的な豊かな暮らしを謳歌していた。 しかしEUがこれまで適正なルールとなっていたミルク調整を2015年の廃止を決め…
現在の日本の農家個別補償制度はドイツなどの制度を外見的に真似ているにも関わらず、長年食管制度で甘い汁を吸ってきた官僚に丸投げであることから、既に私の農的暮らしを踏まえて述べたようにお金のバラマキ以外の何者でもない。それは公表されている茨城…
少なくとも2005年までのドイツの農業は農産物の自給を達成するだけでなく、国土の55パーセントを占める農地を美しい田園景観とし、地域の要となっていた。 このような豊かな農業も1960年代始めには、途上国での農業の近代化を通して農産物価格が著…
日本の農業が衰退を加速するなかで、『日本は世界5位の農業大国』(淺川芳裕 2010年)や『農協の大罪』(山下一仁 2009年)などの本が一斉を風靡した。『日本は世界5位の農業大国』では、2005年の日本の国内農業生産額が826億ドルであり、…
私自身今から25年ほど前に妙高に移り住み、黒姫山の麓で有機農業に取り組んだ。 既に周辺の畑作農業は蕎麦の栽培以外は殆ど破綻していたことから、タダ同前で貸してもらうことができた。 しかし田は補助金と高い米価を維持する食管制度で、農家にとって打…
地域の未来産業の枠組みは再生エネルギーを基軸とした産業であり、それは地域分散型の太陽光燃料への転換であり、脱原発を契機としてバイオマスから植物化学産業へと限りなく発展していくだろう。 権限が国から委譲された地方政府は、その第一歩として電力発…
地域再生を考える時、そこで生きる者にとって地域が未来に向けて輝いていなければならない。 そのように未来に向けて輝いている成功例として、かっては困窮の極にあったデンマークが挙げられるだろう。 デンマークはドイツの上に位置し、北海道の半分ほどの…
財政問題の疾患の原因は、日本の暮らしに必要な物価が、消費税19パーセントのドイツより3倍も高いことにあると言っても過言でない。私自身2007年4月から2010年10月まで消費税19パーセント(食品は7パーセント)のドイツで暮らしていたが(…