2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

(135)映画が抉り出す真実(13)タルコフスキーが『サクリファイス』で遺言した世界の救済(最終回)

映画『サクリファイス』は下の動画(字幕なし完全版)で見るように、バッハのマタイ受難曲がこの映画を暗示するように流れ始め、レオナルド・ダ・ビンチ作「東方の三賢人の礼拝」絵の幼な児キリストにお辞儀する賢人がクローズアップされ、制作スタッフの字…

(134)映画が抉り出す真実。(12)天使に平和を願ったベルリンの映画詩人(『ベルリン天使の詩』)

この映画は冒頭で「子どもが子どもであった頃、」で始まり、下の予告編が映し出すように(ベルリンのツォー駅の戦争で廃墟と化したカイザー・ヴィルヘルム教会の屋根から)、主人公は人々を優しく見守る天使ダミエルである。 天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ…

(133)映画が抉り出す真実。(11)『チャイナ・シンドローム』が予告したスリーマイル島事故から福島原発事故

映画『チャイナ・シンドローム』が1979年3月16日に公開され、炉心溶融事故を警鐘した僅か12日後に、スリーマイル島事故が世界を震撼させたのは偶然の一致だったのだろうか?この映画を今見ると、原発管理者側は制御室技師チーフのジャック(ジャッ…

(132)映画が抉り出す真実。(10)今も絶賛される世界の溝口映画が、福嶋原発事故2年後の現況を告発するもの

1951年の『西鶴一代女』、『雨月物語』(52)、『山椒大夫』(53)とヴェネチア映画祭で前人未到の三年連続国際賞を受賞した溝口映画は、その作品の時代を超えるモダニズムから、今も世界で絶賛されている。 『雨月物語』では、ラストで決定的な取り返しの付…

(131)映画が抉り出す真実。(9)共感を湧き起こす木下映画が、“どうしても越えなければならない”もの(『二十四の瞳』)

木下恵介映画が最近日本でリバイバルとして人気をはくし、今年のベルリン国際映画祭でも11作品が上映された(注1)。 特に人気が高いのは1954年制作の『二十四の瞳』であり(2月2日と2月22日に上映)、「“何も言わない”庶民の苦しみ(das stumme…