(104)オルターナティブな小沢一郎論。(7)何故脱原発デモに参加しないのか

小沢一郎は7月8日のNHK「日曜討論」に出演して、日本が脱原発に進むべきであることを、以下のように国民に明言した(注1)。

「僕は今度の大飯の原発、これも安全性について国民、住民の納得の得られるようなやり方をやってないという批判は正しいと思います。再開するにしてももっともっと今まで以上の慎重な安全についての検査を、準備をするべきだと。調査をすべきだと思っております。全体として、私は原子力というのはずっと前から言ってましたが、過渡的なエネルギーだと思います。といいますのは、原発の、いわゆる後に残った高レベルの廃棄物」

「これは世界的にも、どの国も、ガラス固化技術とか何とか言いますけど、これも完成してないです。そうすると高レベル廃棄物を処理する方法がないんですよ。どこも見つけてない。ですから、その意味では、これはまさに永久に使えるものではないと。ですから、なるべく早く新しいエネルギー開発に全力を尽くすべきだと思います」

「圧縮というのは、僕はある期間を目途に、ドイツでは10年を目途に止めることにしましたよね。これが10年で日本の場合できるかどうか、僕は専門的な情報を持ってませんので、今断言はできませんけども、ひとつの大きな目途だと私も思ってます。それで、今おっしゃった政府のあれは順次少しづつ廃棄していくんでしょうけども、じゃあ廃棄物どうするんですか?廃棄していく、廃棄していくと言いますけども。だからそういう問題もありますから、原子力をずっと比率は小さくするけれども継続していくというのは現実的に難しいんじゃないかと思います。ですから、やっぱりドイツが一つの良い例ですので、10年がいいか15年がいいかは分かりませんが、やっぱり原子力はやめて新しいエネルギーに変えていくという方向じゃないかと私は思います」

そして「国民の生活が第一」は、「10年後をめどに全原発廃止」を新党の3大公約に掲げた。
これに対して小沢一郎が長年解体を目指してきた大本営官僚支配政府は、原子力規制委員会の人選でもわかるように、従来の原発政策を崩していない(注2)。
何故なら、6月17日のETV特集で放映された「“不滅”のプロジェクト〜核燃料サイクルの道程〜」で現役を退いた官僚技官たちが述べているように、日本の原発政策はエネルギー資源のない日本の推進力とすると同時に、何時でも核保有できることが前提であったからだ。
しかも日本ではプロジェクト不滅の法則というのがあって、いかにおかしくても死ないと述べているのである
それ故に官民での原発ルネッサンス推進は、3.11のフクシマ原発事故後も全く反省されることなく推し進められいるのだ。
また番組で退いた官僚技官たちは、現在の世界では安全な技術のない高速増殖炉や核燃料リサイクル計画は2030年まで延期することをほのめかしている。
それはまさに、何時でも核保有できる体制維持を意味しており、そのために国民の命が犠牲にされ、どれだけお金が掛かろうが関係ないのだ。
こうした大本営官僚支配政府の原発推進政策をぶち壊すには、10年後までに脱原発の実現を公約する小沢一郎自らが、脱原発デモに参加し、国民世論の大きなうねりを創っていかなくてはならない。
それは、「国民の生活が第一」の掲げる反増税政策に疑心暗鬼の大部分の国民に信用を与えるものだ。
しかも小沢一郎脱原発デモに参加すれば、そこには福島、志位、そして田中康夫が来ており、他の小党の党首だけでなく、鳩山も新党を結成して参加するだろう。
そのように皆が脱原発デモに参加するなかでは、自ずと「オリーブの木」が結成され、最早私が「オルターナティブな小沢一郎論」を書く必要もない。


(注1)動画小沢一郎7月8日(2)
http://www.youtube.com/watch?v=qub_6j145Z0&feature=player_embedded#!

(注2)結局官僚政府に丸投げする民主党政権は、24日の閣議原子力規制委員会の委員を、原子力ムラの人選で決定した。

また23日日本学術会議は日本の最終処分場計画に対して、科学的危険性を根拠に白紙見直し求める提案をまとめた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120823/t10014489593000.html
NHKは上のようにニュースで報道しているが、新聞報道は東京新聞など数社で、毎日や朝日といったかつては日本の良識ある世論を形成していた大新聞は無視しており、いかに日本のメディアが病んでいるかを象徴している。何故ならこの提案は、内部からの根本的日本の原発政策転換を求める重大ニュースであるからだ。