(38)検証シリーズ6、財政問題は増税で解決できるか。第5回「俺たちに明日はない(本丸の消費税増税は阿片だ!)」

財政問題は人間の体に譬えれば、慢性的な疲れや痛みには疾患という原因があり、癌であれば切除なくしては回復は難しい。
薬は一時的に疲れや痛みを取り除いてくれるが、根本的な治療を先送りし、、薬に依存するならば、むしろ疾患を致命的に悪化させると言っても過言ではない。
増税もまさに同様である。
実際財政の健全化を目的とした1989年の消費税3パーセントの導入と消費税5パーセントの増税は、健全化どころか著しい悪化を招いた。
実施前こそ駆け込み需要で景気は上向いたが、実施後は消費の急激な落ち込みから、何度も景気刺激策として箱物中心の公共事業が繰り返され、国の負債額は一気に倍増した。
それは国の公債残高表を見れば、一目瞭然である。

すなわち財政悪化という疾患の根本原因にメスを入れることなく、先送りする対症療法的な増税は阿片であると言っても過言ではない。
何故なら現在のようなデフレが生じるのは、消費者の懐にお金がないからであり(新自由主義が続く限り解消しない)、そうした状況において所得税増税、そして本丸の消費税を増税していけば、益々消費者は財布の紐を締めざるを得ない。
そうなれば企業の景気も益々悪化し、企業の法人税や個人の所得税が激減していくことから、赤字国債による景気刺激策が必要となり、悪循環によって限界に達し、
一気に日本の財政破綻の引き金が引かれよう。

すなわち夕張市のような財政破綻自治体の続出、大失業時代の到来、貿易収支の大幅な赤字転落、円売り開始によるハイパーインフレ
まさに悪夢である。

それにもかかわらず財務省民主党政権増税論者たちは、ヨーロッパ先進国の消費税が20パーセント前後であることから、安易に10パーセントの増税を主張している。
しかしこの安易に比較されるヨーロッパ先進国の消費税20パーセント前後の裏にこそ、本当の日本の疾患の原因が隠されている。
すなわちドイツの消費税は19パーセント(食料品は7パーセント)であるが、実際の暮らしに必要な物価は消費税5パーセントの日本に較べて恐ろしく安い。
そこにこそ、日本の疾患の本質的原因があるのだ。

次回は、日本の疾患の本質的原因について検証したい。

蛇足ではあるが、数日前夢を見た。
私は妙高山に登っていた。一服して日本海側の米山を見下ろした時、真っ赤に光った。その瞬間、とうとう予期していたチェルノブイリの7倍規模の柏崎原発が爆発したと思った。
私の夢では、俺たちに明日はなかった。