(24)ZDFフィルム「大いなるこけおどしー原発政策の間違った約束」20最終回

長いフィルムも終わって見れば一瞬にしかすぎません。
このフィルムを通してドイツZDF公共放送の姿勢、ドイツの政府機関の専門家たちの勇気ある発言、そしてこうした検証を通して脱原発を勝ち取ったドイツを理解していただけたでしょうか。

フィルムスタート41分44秒から終わりまで。


(ナレーション)
政府は連邦参議院過半数が得られないにもかかわらず、原発運転期間延長を望んでいる。
政府は連邦参議院を無視しようとしている。
しかし憲法裁判官は、メルケル首相や環境大臣率いる政府は、連邦参議院の同意が必要であると断言する。
(ヨアヒム・ヴィランド教授 連邦裁判官)
環境大臣が考えるようなものとは異なり、原発運転期間延長は非常に大きな問題である。
妊娠しているか、していないか、原発推進脱原発か、それ以外の第3の道はない。
すべては単純明快であり、原発の運転期間延長は連邦参議院の同意の必要性を意味している。
もし政府が憲法に矛盾するにもかかわらず、連邦参議院の同意なしに法案を効力を持たせようとするなら、それはまさに意図的な憲法違反である。
(ナレーション)
2010年夏
来週政府はエネルギー計画を発表しようとしている。事実はテーブルの上にある。
私たちは現在明らかに、電力供給システムの未来対する重要な決定の前に立っている。
(オラフ教授)
もし私たちが底なしに向かう原発の運転期間を延長するというシグナルを与えるなら、それは同時に再生エネルギー源の基盤による持続的な電力供給を本質的に望まないというシグナルを与えることである。
その限りではこのシグナルは全く致命的である。



<このフィルムに対してコメントすることは殆どないと思っていましたが、訳していて最後の終わり方に、新たに感動しました。
すなわちこのフィルムは、ドイツ国民は歴史的岐路に立っていると主張し、原発運転期間延長を認めることは、再生エネルギーへの道を放棄することだと主張する政府顧問オラウフ教授言葉で終わっているのは圧倒的でした。
解説をすれば、この時世界の原発産業は、70年代に脱原発を選択した北欧の国々を原発運転期間延長、そして原発推進に蘇らせ、世界の原発を倍増する原発ルネサンスを推し進めていました。
したがってドイツの原発運転期間延長は単なる延長ではなく、原発推進への新たな開始であることを、公共放送ZDFは見抜いていたと言えるでしょう。
この歴史の岐路を譲れば、もう後には引き返せない状況に突き進むからです。それは日本で言えば、かつての満州事変が戦争への歴史の岐路であったように。
ドイツの公共放送ZDFの歴史の岐路を全力で阻止しようとした姿勢に、あらためて拍手したいと思います。


今日は検証2で高速増殖炉を取り上げるつもりでしたが、今日でフィルムが終わりを向かえたこともありますし、もう少し時間を取って書きたいと思います。
そう思わせるのは、実質的に新しい政権を決める民主党代表者選びで、脱原発やドイツのような福祉や年金を切り下げる最悪の税制改革が争点とされず、あらゆる点で現在の新自由主義支配の容認へと変わり果てているからでもあります。
私にはまさにドイツ社会を悪夢に引きずり込んだシュレーダー第二次政権誕生の際のように、最悪の岐路にあるように思われます。
しかも日本社会は現在の民主党を筆頭に余りにも新自由主義にナイーブで、規制なき競争や民営化をポジティブなものと思っている人の多さには驚かされます。
しかし実際は悪魔のルーレットに仕えるトレーダーたちを使って攻撃が始まっており、サブプライム金融商品総額6000兆円を商いした新自由主義のカジノでは、どのように日本政府が円高に介入しても無理です。
EUでさえも、彼らが、ギリシャアイルランドポルトガル、スペイン、イタリアなどで、国債の大量空売りと信用リスクCDS大量購入から入る攻撃には、なすすべがないというのが実情です。
それゆえにEUの強国ドイツやフランスは、EUを守るために金融投機税の導入を実現しようとするわけです。
このまま76円の円高が続けば、輸出産業は韓国などに苦戦どころか倒産の危機に瀕することは必至です。
もっともこれらの韓国企業は、すでにアジアの金融危機の際、株式買収によって支配されているわけです。
そして日本の輸出産業が大きな赤字を出すころには、逆に恐ろしい円安に突入していき、韓国で見られたように日本企業が買いあさられるわけです。
できれば私の予想が外れてくれればよいのですが、そのような新自由主義を推し進める世界の巨大資本の前にさらされ、既に日本破綻への道が始まっています。
こうした現状を踏まえて、現在日本を襲っている様々な問題を徹底検証すべく、また9月から、ドイツから学ぶ検証シリーズを開始したいと思っています。>



(Naration)
Die Bundesregierung will die Laufzeitverlängerung, obwohl ihr die Merheit in Bundesrat fehlt.
Sie will die Länder übergehen.
Deren Zustimmung aber brauchen die Kanzlerin und ihr Umweltminister, sagen Verfassungsrechtler.
(Prof. Joachim Wieland)
Es geht auch keine Laufzeitverlängerung, anders als der Bundesumweltminister es meint.
Das ist ähnlich wie die Frage schwanger oder nicht ? Es gibt kein drittes.
Jede, und sei sie auch noch so kurz, Verlängern der Laufzeit bedeutet, die Notwendigkeit der Zustimmung des Bundesrates.
Wenn die Bundesregierung trotz der entgegenstehenden Auffassung das Gesetz ohne Zustimmung des Bundesrates in Kraft zu setzen versucht, ist das etwas wie ein Kalkulierter Verfassungsbruch.
(Naration)
Sommer 2010.
In den kommenden Wochen will die Budesregierung ihr Energiekonzept vorlegen. Die Fakten liegen auf Tisch.
(Prof.Olauv)
Wir stehen im Moment sicherlich vor einer grundlegenden Entscheidung über die Zukunft unseres Stromversorgangssystems.
Wenn wir das Signal geben, dass wir die Laufzeiten für grundlosorientirte Kernkraftwerke verlängern, geben wir gleichzeitig das Signal, dass wir eigentlich keine nachhaltige Stromversorgung auf der Basis von regenerativen Energiequellen wollen.
Insofern ist dieses Signal absolut fatal.