(12)ZDFフィルム「大いなるこけおどしー原発政策の間違った約束」9

今回は2009年に勝利した黒(CDU、CSU)と黄色(FDP)の連立政権が打ち出した「28年間の原発運転期間延長」の方針が国民の反発を招き、連邦参議院過半数がなくなるところから始まります。
フィルムの翻訳ペースが少し速かったようで、もう半分を過ぎました。少しペースをダウンして、コメントを多くしたいと思います。
下に再びフィルムのアドレスを載せておきます。

http://www.zdf.de/ZDFmediathek/beitrag/video/1090144/Frontal21-Dokumentation-Der-grosse-Bluff#/beitrag/video/1090144/Frontal21-Dokumentation-Der-grosse-Bluff

(ナレーション)
政府はデモの抵抗にもかかわらず、再び原発への道を採ろうとする。
2010年5月20日、黒と黄色の連立政権はノルドハイム・ヴェストファーレン州の選挙で敗北する。
その結果、連邦参議院過半数を失う。
政府陣営では、衝突を避けようとする。
環境大臣レトゲンはブレーキを引き、運転期間を短縮しようとする。
バーデン・ヴェルクの州知事マプスは原発の信奉者である。
彼はさらに原発への道を進めることを望んでおり、それ故レトゲン環境大臣の辞任を要求する。
政府陣営の全ては、古い原発であれ、新しい原発であれ、ドイツの原発は安全であると断言する。
メルケル首相)
私たちは原発の運転期間を、全ての安全性基準を考慮した上で必要とする。
(ヨアヒム・ファイファー CDUのエネルギースポークスマン)
私たちは、ドイツと世界が持つ最高の安全性基準を適用することを約束する。
(ビルギィト・ホームブルガー女史 FDP議員団代表)
原発が高い安全性基準を満たすなら、運転を許可しなければならない。


<黒と黄色のメルケル政権は2010年5月の選挙で連邦参議院過半数を失うと、国民の原発運転期間延長への反対が強いことから、延長期間の短縮へと動き、ドイツの原発の安全を強調します。
しかし9月の「原発運転期間の12年間延長」法案の決定は、国民から激しい批判を浴び、世論調査は最悪であり、2011年の州議会選挙では全敗しました。
政府が政権危機のリスクを犯して、脱原発の転換へと舵を切ったのは、政治が新自由主義に支配されているからに他なりません。
これは赤と緑のシュレーダー政権でも同じでした。
確かに1998年のシュレーダー連立政権が誕生した際は、すぐさま公約に従って、コール政権で企業が実質的に必要なときに自由に解雇出来るようにした「解雇制限法の緩和」を撤廃し、労働者の権利を守りました。
また公約通り「原発撤退」を世界に宣言し、さらにエコロジー税制改革を実行し、ガソリンや電気などのエネルギー課税で、国民の年金や社会保障費を補おうとしたことから、多くの人が理想的な社会を期待しました。
しかし一年後には、現在のギリシャアイルランド、スペインなどの弱者を生み出す原因となった「リスボン戦略」を、強力に推し進めるようになっていました。
すなわち新自由主義の克服から、推進への180度転換でした。
そして2003年に「解雇制限法の緩和」を復活させ、さらに2005年にはハルツ法の完成で、それまで32ヶ月の失業保険期間(12ヶ月へと短縮)を過ぎても専門職が見付からない場合、無制限に前の職場での総収入の57パーセント(保険期間中は子供世帯で67パーセント)が失業扶助されていましたが、そのような手厚い扶助がなくなり、「失業扶助」と生活保護にあたる「社会扶助」が「失業給付2」として一本化されました。
しかも「失業給付2」は資産査定によって預金などが当局によって自由に調べられるようになった上に、申請者は屈辱感に耐えなければならず、資産が見つかれば受け取れないだけでなく、支払われる場合も給付額は激減しました(住宅手当などを除き、旧西ドイツ州では月345ユーロ、旧東ドイツでは月331ユーロ)。
このような恐怖のハルツ第4法によって、ドイツの市民の暮らしは一気に質が低下しただけでなく、ドイツ市民の8人に1人を相対貧困者に没落させました。
このような驚くべき転換をさせたのは、実質的には企業のロビーイストたちであり、次回のコメントで述べたいと思います。>


(Naration)
Die Regierung ist weiter auf Atomkurs, trotz Wiederstand.
Am 20. Mai.2010. verliert Schwarz-Gelb die Wahl in Nordheim-Westfahlen.
Die Folge: Die Mehrheit im Bundesrat ist dahin.
In Regierungslager bricht Streit aus.
Umweltminister Röttgen bremst will Laufzeiten nur moderat verlängern.
Ministerpräsident Mappus aus Baden-Würtemberg ist ein Freund der Kernkraft.
Er will viel mehr, fordert deshalb Röttgens Rücktritt.
Alle betreern: Deutsche Kernkraftwerke - ob alt oder neu - sind sicher.
(Merkel)
Wir brauchen verlängerte Laufzeiten für Kernkraftwerke, unter Berücksichtigung aller Sicherheitsstandards.
(Joachim Pfeiffer)
Wir werden dafür sorgen, dass die höchsten Sicherheitsstandards, die wir in Deutschland und der Welt haben, zur Anwendung kommen.
(Birgit Homburger)
Wenn ein Kernkraftwerk den hohen Sicherheitsbedingungen entspricht, dann muss man es betreben dürfen.