(15)ドイツから学ぼう臨時提言「民主党の180度転換した本当の理由と処方箋」

民主党の「国民の生活が第一」から「産業利益が第一」へと転換された本当の理由の糸口は、鳩山政権誕生で公開された、1960年の「核の持ち込み」の密約や1970年の「核保有を求めた西ドイツとの極秘協議」にある。
開示された外交文章では、「第480回外交政策企画委員会」(68年11月20日)での発言が引用されており、次のような驚くべき発言があった。
高速増殖炉等の面で、すぐ核武装できるポジションを持ちながら平和利用を進めていくことになるが、これは意義のないところだろう」(鈴木孝国際資料部長)
「現在、日本が持っている技術で爆弾1個作るには、半年〜1年半ぐらいあればいいと言われている。起爆装置もその気になれば半年〜1年ぐらいでできるのではないだろうか」(矢田部厚彦科学課長)。
こうした秘密文章の開示は、脱官僚支配を掲げてきたからこそ実現した奇跡である。
そしてこれらの秘密文章は、日本の高速増殖炉開発が日本の核武装の一環として行われてきたことを物語るだけでなく、日本の命運を握るような重要案件の決定が、戦後も議会の同意なしにできることを意味している。
もちろんドイツではどのような重要案件も、議会の決定なしには絶対できないことから、日本の核保有の提案は拒否された。
このような日本の官僚政府は、ドイツに学んだ伊藤博文らによって、ドイツを手本として作られている。
しかし実際は、ドイツ帝国ビスマルク率いる政府も議会決定なしには身動きできなかったことから、勅令などのやり方で、議会決定なしで主導できる制度をオーストリー帝国から学んでいる。
本論に戻すと、2年前の鳩山民主党政権は、そのような戦後も継続した官僚支配政府と激突した。
その激突では、マスメディアは開示された秘密文章を殆ど追及しなかったことでもわかるように、引き摺り下ろすことに加担した。それは日本のマスメディアが、新自由主義を推し進める官僚支配に迎合しなくては、戦前同様に生き残れない境遇に追い込まれていることを物語っている。
その結果として鳩山民主党政権は、ボロボロに砕かれたのは、国民の誰もが知るところである。
その結果、財務省シュレーダーのように懐柔された管直人が、政策を180度転換した。
すなわち産業側が求める消費税値上げ、新自由主義の教義ともいうべき税制改革、そして新自由主義の世界支配を加速する自由貿易協定(TPP)であった。
私がこのような現在の新自由主義支配のなかで、敢えて臨時提言を書くのは、このまま官僚支配、新自由主義を推し進める政権が続けば、日本の未来はないと思うからだ。
2008年の世界金融危機では、公式発表で2007年末までにサブプライムローン関係のCDOやCDSなどの金融商品が、全体で62,2兆ドル(当時の為替で6000兆円)も売られていた。
カジノ投機は益々膨らんでおり、現在の日本の円安介入など全く歯が立たない時代になってきている。
新自由主義を推し進めているのは、世界の金融、石油、食料などの巨大資本に他ならない。
まさに現在のネオリベラリズム新自由主義)は、戦前のファシズムと瓜二つである。
このような規制なき新自由主義を黙認していけば、日本国民は現在より著しく困窮するだけでなく、本当にジョージ・オーエルの描いた全体主義の監視社会で生きなくてはならない。
このような暗い未来を避けるためには、ドイツやフランスが求める金融投機税(トービン税)を実現し、新自由主義を懐柔していかなくてはならない。
そのためにも脱官僚支配の地方分権地産地消を目指す脱原発による分散社会を築いていかなくてはならない。
具体的な処方箋としては、民主党の約束した「国民の暮らし第一」公約を実現することだ。
そのためには、国民にも産業側にも玉虫色の管政権の閣僚では困難である。
合法的汚職があったとしても、官僚支配を打ち破る力量があるのは小沢一郎しかないだろう。
その力量があるからこそ、自民党政権の政治家なら誰でもしていた、合法的汚職企業献金をリークされたことは明白である。(合法的汚職であるは、見返りのない企業献金などないと思うからである)
また右腕には官房長官として、田中康夫しかないと思っている。彼は長野でダム土建業者の恫喝にも屈することなく命をかけ、長野県庁の役人支配を180度民主化したからだ。