(34)検証シリーズ6、財政問題は増税で解決できるか。第1回「政治の過ちによる国民へのタカリ(激怒!)」

増税の時代が始まる。
官僚支配政府は、大津波による大震災と原発事故は想定外として責任逃れをしているが、過去の貞観津波から10mを超える大津波は指摘されていたことであり、国の過ちによる過失、すなわち人災以外の何者でもない。
本来最悪のシナリオが起こった場合でさえ、最小の被害で受け入れることができるように、海岸付近は数キロに渡って海岸林にするといった自然と調和した防災対策が必要であった。
しかし国は最強の防波堤や防潮堤さえ築けば、大津波も克服できるという過信と驕りがあり、利権ぐるみの過密港湾都市開発を長年に渡って指導してきた国の責任は重い。

しかもまるでこの時を狙っていたかのように、この復興増税には当面のB型肝炎賠償費の7000億円が含まれている(今後30年で3兆2000億円と言われている)。
このB型肝炎は、既に1953年に世界保健機関(WHO)が警告を出し、注射器使い回しによるウイルス感染の危険性を指摘していた。
したがって当時の厚生省(現在の厚労省)も1958年に予防接種法実施規則を改正したが、自治体への指導を徹底せず、その後も注射器の使い回しがなされ数十万人ものB型肝炎患者を生み出し、1988年ようやく厚生省通達で禁止された。
これは注射器の使い回しは当時としては致し方ないと、御用学者などを交えて証言しているが、1958年の改正時に禁止することはできた筈だ。
そうすれば、その後の数十万人という被害者は防ぐことはでき、単に厚生省の人災というだけでなく、結果的に恐ろしい犯罪である。
そのような薬害はこれまでに厖大な件数に上り、その代表がサリドマイドエイズHIV)である。
睡眠薬サリドマイドは、61年にドイツのレンツ博士によって胎児奇形の原因であることが宣言され、世界のほとんどの国で即時発売停止措置が採られたにもかかわらず、日本では「因果関係が証明されたわけではない」としてその後一年間も使用を続け、数百人の奇形児が出産された。
しかし裁判では国や企業の責任は、証言する医学者が御用学者であることから、結局問われなかった。
またエイズ犯罪では、83年3月にアメリカ防疫センターCDCが「血友病患者のエイズの原因は、血液製剤とみられる」と厚生省に指摘警告したにもかかわらず無視し続け、ようやく85年8月に加熱処理血液製剤の製造を承認した。
しかしその後もエイズ汚染された非加熱の血液製剤は、2年4ヶ月以上にも渡って回収されることなく使用され続け、85年以降2000人にも上る人がエイズ感染させられた。
このような原因は、サリドマイドでは販売製薬の大日本製薬(当時)、エイズではミドリ十字(当時)の役員らが厚生省の天下りで企業利益を最優先させたことと、本質的には渦中において回収や禁止措置を採れば責任が問われることから、慣習に従って有耶無耶にしたと言えよう。

さらに遡れば、厚生省は戦前の内務省として政治の中枢を支配し、ハンセン病では感染力が非常に弱いにもかかわらず、強制収容による隔離絶滅政策を指揮してきた。(参照資料http://www.hansenkokubai.gr.jp/history/index.html
そのため戦後、劇的な治療効果のある特効薬のプロミンが登場していたにもかかわらず(当時の厚生省医務局長で、その後の都知事東龍太郎は48年の国会で隔離政策の転換を強く求めたが)、逆に隔離政策は逃亡が許されないように強化された。
それは戦前の人間性を無視した絶滅政策の犯罪性が、明らかにされることを恐れたからだと言われている。
このような経過でさらに半世紀も放置され、2001年に国際世論の高まりもあり、2001年にようやく違憲違法判決が下されたのであった。

まさに犯罪行為であり、官僚組織の致命的欠陥である。
すなわち官僚組織は自己目的化し、仲間内の面子と利益を守るための自閉的共同体となり、そのため失敗は徹底的に隠蔽され、同じような失敗が無限に繰り返されるのである(岸田秀『官僚病の起源』参照)。

そして今回の復興増税の中身である大津波被害による復興費用、そしてB型肝炎賠償費用は、すべて官僚支配政府の全面的な過失であり、責任である。
それにもかかわらず、所得税などの増税によって全面的に国民に負担を押し付けている。
全く理不尽であり、無責任だ!

これを許せば、何度でも同じタカリが繰り返され、国民は骨までしゃぶられよう。
それは、最終的に日本の財政破綻を招こう。
何故なら増税しても、過去2回の消費税導入と値上げの事例が物語るように、肥大化した政官財の利権構造が食い尽くしていくからだ。