(228)ドイツメディアから考える今29・・ZDF『危機にある頭のよい生徒たち3−3』・日本の新自由主義教育(3)

最終回のフィルムでは、ヤネスは教師との話合いで条件付きで進級できるようになった。
まだ成果が出ているわけではないが、自らの将来に向けて精一杯取組もうとする決意が感じられた。
ヤコブは一旦は週末補講で落第を免れようとするが、家庭でも手に追えなくなり、父親が担当教師に相談に来る。
ヤコブはフィルムでもわかるように余りにも大成しており、将来の夢も環境をよくするために水素電池を発明する学者になりたいと答えている。
規則や規律に順応するクラスメートからは、当番の最初にゴミを持っていかなかったを問われるが、「中にゴミが入っていなかったからだ」と答えている。
それは規則より自ら考え、納得を優先するヤコブのやり方でもある。
しかしそのような利発なやり方は、規則に順応するクラスメートから排斥され、規則への拒否反応、さらには授業拒否に至っていることが推測される。
そのような背景を十分理解する担当教師と父親は、面談で最終的に補講を止め、落第を選択する。
すなわち落第することで非難されることがなくなり、規律や規則への拒否反応もなくなり、利発な頭脳がゆったりと開花すると考えているからだろう。
フィリップは卒業後のアビトゥア習得進路を自ら決め、卒業式でも首席で答辞を述べ、見事な復活の喜びを分かち合っていた。
そしてZDFは、教育に一度は挫折した生徒たちが、(最も低く見なされている)ハウプトシューレで心底面倒を見てくれる教師に巡り合い、チャンスを掴んだと結んでいた。
いつもの戦う民主主義を自ら率先するZDFでは、珍しいハッピーエンドであった。

日本の新自由主義教育(3)
現在の教育は前回述べたように、戦後の国家が国民(市民)に奉仕する教育基本法を180度転換し、国家そして産業へ奉仕する競争教育が有無を言わせず求められている。
既に大学民営化実現や人文社会科学系の学科廃止に向けて動き出していることから、実践されていると言っても過言ではない。
しかもアベノミクスという財政破綻の時限爆弾を背負い、日本が沈みかけていると考えるのは決して私一人でないだろう。
そうした日本の危機を打開できるとすれば将来の若者であり、そのためにはドイツのように全ての教育授業料を無料化し、少なくとも誰にでも教育チャンスを与えるべきである。
あくまで2015年から開始される法人税減税では数年で5兆円規模の減税が予定されており、それを止めれば現在の大学生は300万人ほどであり、授業料年間100万円としても3兆円であり、高校や職業高校などを含めても5兆円あればドイツのような教育の無料化は十分可能である。
もっともそのような提言を考える前に、現在国民を二分しているアベノミクスに自体について再度考えて見る必要があるだろう。
それ故次のブログでは、特別提言として「ドイツから学ぶアベノミクスの間違いと処方箋」という題で、週明けまでには載せる予定である。。

尚次回はZDFzeit『貧困と裕福』を予定しており、より包括的に新自由主義の現況を考えて見たいと思いますが、長編動画で4回ほどの連載となることもあり、今年は次回の特別提言を最終として、また来年第2週から始めます。