(322)時代の終わりに第6回・パラダイム転換(1)・沖縄から創る世界平和(1)(絶望的な北朝鮮核配備が意味するもの)

パラダイム転換(1)

5月21日に放送されたNHKスペシャル『緊迫北朝鮮 危機の深層』(注1)は衝撃的であり、特に私の記憶に残った映像を上に「私の見た動画22」として載せた。
その動画で見るように固形燃料化によってトンネルなどに隠されたミサイルを10分程で発射でき、既に量産化されており(1000機に達しているという)、音速の20倍(時速2万4000キロ)で撃ち落とすことができない大陸間弾道弾ミサイルICBMも、数年で完成されるというのがアメリカ及びロシア専門家の見解だった。
それは、もし万一アメリカと北朝鮮が戦争を始めれば、韓国と日本は壊滅することを意味する。
そうした危機を回避するためには、ペーリー元国務長官が断言していたように、長期的平和外交外交しかない。
それにもかかわらず菅官房長官は日本のミサイル強化を強調し、安倍政権は平和憲法を改正し、普通の軍隊が持てる国に変えようとしている。
軍隊の必要性は、中東などへ原発輸出を含めた経済進出(新重商主義)で、進出起業を守らなくてはならないからである(それは安倍自民党幹事長時代から主張し続けて来たことでもある)。
しかしそのようなやり方は、武器の闇ルートもグローバル化で肥大し続けるなかでは時代錯誤甚だしく、自ら戦争に突き進み、日本を消滅させる以外の何者でもない。
何故なら北朝鮮核武装配備だけでなく、武器輸出の闇ルートによって世界の紛争国やイスラム国のようなテロ集団が核武装するのも時間の問題であり、世界は人類絶滅という絶望的段階へ踏み込んだからである。
それに対処するためには北朝鮮のように最早手の施しようがなくなる前に、闇ルートを根絶しなくてはならないが、現在の競争原理が最優先される世界ではアメリカ陣営とソ連、中国の陣営では大きな温度差があり、利益最優先のグローバル競争が激化するなかでは殆ど不可能に近いからだ。
本質的に解決して行くためには、独裁者から闇ルートなどの不公正が容認される世界を正して行かなくてはならない。
そのような不公正が容認される原因は、経済格差を肥大させ、世界の多くの人たちを貧困に窮乏させているルールなき資本主義自体にある。
それは途上国での開発が実質的に貧困をもたらしてきたように、先進国においてさえ規制撤廃によるボトム競争で大部分の人たちが貧困へと没落して行く事実があるからだ。
それ故現在の絶望的世界を解消して行くには、世界の人々の一人一人が豊かになって行く世界を実現して行かなくてはならない。
そのような視点で世界が力合わせて公正な豊かな世界を築いて行けば、たとえ半世紀ほどの時間を要するとしても、自ずと独裁政権から闇ルートまでが解消されよう。
何故なら、既に世界は自然エネルギーへのエネルギー転換でそれが可能であるからだ。
また半世紀という時間を要するのは、力による不公正な世界(新自由主義、新重商主義であり、新植民地主義とも呼ぶことができよう)格差拡大で独裁政権を生み出し、グローバな闇ルートを通して既に致命的な核拡散を生じていることから、短期的な力による解決では人類を絶滅させかねないからである。
それ故に人類が滅びない道を選択しようとするなら、長期的な平和外交と平行して、富の格差肥大、地域格差肥大、環境破壊肥大を実質的に容認している欲望の世界を、自然エネルギーへのエネルギー転換によって世界の一人一人の豊かさを実質的に実現する理性の世界に変えて行かなくてはならないだろう。
また公正な世界を築くには、第一に全ての機関がガラス張りに開かれることが不可欠であり、国益よりも絶えず人類全体の利益が求められる仕組が必要であろう。
具体的には、そこで働く職員(政治家及び官僚を含めて)が官僚化の逆機能で過ちを犯しやすい視点に立ち、行政訴訟内部告発がすぐさま機能する仕組も必要である。
また貧困な母子家庭のシュレーダー元首相やヴォーヴェライト元ベルリン市長(2001年から2014年まで市長在任)が長期の高等教育を容易に受けれたように、途上国の貧困家庭の子供たちも無償教育に加えて、給付奨学金の拡充で容易に高等教育までを受けれる教育の機会均等が不可欠である。
そのように世界を変えていくことが既に私が学生の頃「もう一つの発展(内発的発展)」として唱えられ、自然環境と調和したエコロジーで自立的な地域主義に基づくパラダイム転換が希求されていた。
しかしそのような希求は新自由主義に呑み込まれ、現在のような絶望的状況を生み出していると言えるだろう。
もっとも絶望的状況も、もう一つの別な発展(転換)を復権する時と考えるなら希望でもある。

沖縄から創る世界平和(1)

上の動画(注2)に見るように平和を願う「非武の島」が、アメリカの新重商主義新植民地主義)の片棒を担う戦線基地として求められていることが、最近の沖縄の民意全く無視のやり方からも明白になって来ている。
グアムにしても沖縄にしても、生活必需品から電化製品までが本土で生産されたものが売られ、基地と観光開発に限って金が注がれる構図は、未だに植民地支配が継続されていると言っても過言ではない。
北朝鮮核武装配備がなされたことは、沖縄にとって嘉手納戦線基地を抱えていることからも絶望的である。
すなわち万一の攻撃に備えてトンネルなどに隠されている数十機、数百機のミサイルが沖縄から東京に向けられ、10分ほどで発射できるという状況は絶望的である。
しかしペリー国務長官が、「彼らは頭がおかしいわけではありません。ソウルや東京、アメリカを攻撃すれば自らの国が崩壊することがよくわかっています。その認識が鍵となります」と強調するように、その視点にポジティブに立てば、沖縄は再び「非武の島」として蘇り、沖縄から世界平和を創る事も可能である。
もっとも現実はそれほど甘くなく、逆に日本の軍備強化、新重商主義強化が唱えられるだろう。
しかしペリー元国務長官を初めとして、アメリカやソ連の軍事専門家は力による解決が不可能と見るように、事実が世界世論に浸透して行けば、絶滅戦争を回避する大きな世界の波が押し寄せ、世界の軍事強化や新重商主義といった時代錯誤的なものを洗い流してくれるだろう。

(注1)動画の完全版は以下のアドレスで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=gh-xxLg6nN0

(注2)2012年8月26日Eテレで放送された『オキナワとガム〜島が問うアジア・太平洋の未来〜』
動画完全版は以下のアドレスで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=b8QHiJ4ySMU&t=320s