(21)ZDF「大いなるこけおどしー原発政策の間違った約束」17

今回はドイツ最初の洋上のウィンドパークの操業開始から始まり、原発はこのような再生エネルギー転換の架け橋となるという説得は、真っ赤な嘘であることが政府顧問のオラウフ教授や企業の専門家から明らかにされます。

フィルムスタート(37分3秒から38分50秒/43分54秒)


(ナレーション)
最も重要な供給源は、洋上の巨大ウィンドパークでの風力発電である。
数週間前北海で、ドイツ最初の洋上ウィンドパークが操業を開始した。
環境大臣ノルベルト・レットゲンは開始合図をした。
しかしながら彼は自ら管轄する環境事務局の予測計画を受け入れようとせず、原発を引きとめようとしている。
(ノルベルト)
私は、一定の期間原発の延長が必要であると思う。
原発の機能は明らかである。
原発はそれ自体目標ではなく、架け橋である。
(オラウフ教授)
政府が事実に即して必要であるものに着手するなら、現在の脱原発を実現することは可能である。
それは私たちが必要とする政治的な要請である。
そのことについて全く議論もなく、石炭による発電所を廃棄し、原発運転期間を延長する。
これは、全く馬鹿げたことである。
(ナレーション)
メルケル首相の政治顧問オラウフ・ホウフマイヤー教授は、原発は架け橋ではなく、再生可能エネルギーの拡大を妨げていると確信している。
今日既に風力発電は強制的に電力網から切り離され、風力エネルギーが浪費されている。
その理由は、古い巨大原発の電力が電力網を完全に塞ぐからである。
(ウェルナー・フロービター エネルギー供給企業の再生エネルギー専門家)
原発は電力網を塞ぎ、再生可能エネルギーの必要な拡大を妨げる。
原発運転期間の延長を要請するものは、それでもって再生可能エネルギーへの電力産業の差し迫った必要な建設を脅かす。


<このZDFのフィルムの説得力があるのは、28年間の原発運転期間延長という原発推進政策を原発に関与する政府機関などの専門家を登場させ、いかに間違った政策であるかを検証しているからです。
そして政府の最後の砦でもある、「原発は未来の再生エネルギーへの架け橋として必要である」という政府要人たちの主張を、今回はメルケル首相の政治顧問などの証言で嘘であることを指摘し、さらに次回は現場で再生エネルギーに向けた大型プロジェクトが、原発運転期間延長の予測で中止に追い込まれている現状を紹介することで、見事に粉砕しています。
それ故に2009年の連邦選挙で圧勝した黒(キリスト民主同盟)と黄色(自由民主党)のメルケル政権も世論の支持を失い、このZDFフィルムの2010年7月放映にもかかわらず、9月の12年間原発運転期間延長議決は、ドイツ国民の怒りを震撼させました。
その結果既に2010年10月の世論調査で、保守王国ヴァデン・ヴェルグ州選挙で緑の党知事の誕生が予想されるほど、原発を推進した政府は支持を失いました。
だからと言ってZDFが偏向しているわけではなく、社会民主党の不祥事や、緑の党の党内のロビー活動や州政権への参加によって方針を転換する甘さを厳しく批判しています。
要するに現在のZDFは、一つ一つの事実を徹底的に究明し、国民の利益ために奉仕していると言えるでしょう。
もっともこのようなZDFも赤と緑のシュレーダー政権当時は、新自由主義を強力に推し進めた「アジェンダ2010」*を支持し、新自由主義に支配されていたと言っても過言ではないでしょう。
しかしその結果、特に2005年のハルツ第4法の実施以来、ドイツ社会は8人に1人の市民が相対貧困者に陥るほど恐ろしく悪化し、国民批判の高まりを通して公共放送ZDFを大きく変化させたと言えるでしょう。

日本の公共放送NHKについては、私のブログ(3)日本のメディアと脱原発で厳しく批判もしましたが、そこで述べたように現場サイドでも大きく変わりつつあります。
確かに現場サイドでは福島原発事故に際して、御用学者を通して「メルトダウンはない。安全だ」と放映し続けたことは事実です。
しかしNHKのフィルム制作現場では、繰り返される不祥事の厳しい国民批判を受けて、数年前から大きく変化したことも確かです。
既にブログ(15)で述べた、日本の核武装高速増殖炉開発の因果関係を明らかにした外務省の極秘文章の2010年11月の公開は、10月3日のNHKスペシャル「核を求めた日本ー被爆国の真実」の放映によって、無理やりこじ開けられたと言えるでしょう。
このNHKフィルムはZDFフィルム同様に、一つ一つの事実を徹底的に究明し、国民の利益ために奉仕していると言えるでしょう。
是非一度見てください。そうすれば私の言っていることが、本当であると必ず信じてもらえるでしょう。
そのような勇気ある放映にもかかわらず、日本を変える大きな波は起こりませんでした。
それは他のメディアが国家の命運を決める犯罪的決定であるにもかかわらず、問題が余りにも巨大であることから沈黙し、追求しなかったからに他なりません。
このような沈黙にこそ現在のどうしようもない状況の原因があり、そこにこそ打開の手がかりがあると確信しています。
次回はその確信について述べたいと思います。>

シュレーダー首相が2003年3月に打ち出した包括的な社会制度改革計画。企業活動の足かせとなっている労働市場社会保障制度のあり方を見直し、経済の競争力回復を目指す。失業保険給付期間の短縮、解雇手続きの簡略化などを含む(読売新聞ニュースクリップ用語解説より)。

(Naration)
Wichtigste Quelle: Wind produziert in großen Windparks auf See.
Vor wenigen Wochen in der Nordsee: Der erste deutsche offschore-
Windpark geht in Betrib.
Unwelltminister Norbert Röttgen gibt das Startzeichen.
Doch den Prognosen seiner eigenen Sachverständigen wii er nicht so recht sorgen, er hält an der Atomkraft fest.
(Norbert)
Ich glaube, dass wir eine überschaubare Zahl an zusätzlichen Jahren von Kernenergie brauchen.
Die Funktion der Kernenergie ist klar. Sie ist nicht selbst das Ziel, sondern sie ist die Brücke um erneuerbare Energien zu erreichen.
(Olauv)
Wenn sie umsetzen, was sachlich notwendig ist, bleiben sie bei den Ausstieg aus der Kernenergie, wie er in Moment besteht.
Das sind die politischen Imperative, die wir brauchen.
Keine Debatte mehr darüber, bauen wir Kohle weiter aus, verlängern wir die Laufzeit für Kernenergie.
Das ist völliger Unsinn.
(Naration)
Hohmeyer Überzeugug: Atmkraft ist keine Brücke, sondern behindert den Ausbau der erneuerbaren Energien.
Fest steht: Schon heute werden Windkraftanlagen zwangsweise vom Stromnetz abgekkolt, wind Windenergie vergeudet.
Der Grund: Die Netze sind verstopft. Voll mit dem Strom der alten Großkraftwerke.
(Wener Frohwitter)
Kernkraftwerke blockieren die Netze und hindern so den notwendigen Ausbau, weiteren Ausbau der erneuerbaren Energien.
Wer Laufzeitverlängerung für Kernkraftwerke fordert, gefährdet damit auch den dringend notwendigen Umbau der Elektrizitatswirtschaft hin zu regenerativen Quellen.