(216)ドイツメディアから考える今17・・医療の理想を求めて5・日本の医療に未来はあるか?(3. 起死回生は可能だ!)


『蚊帳の外の患者・病院医師は限界3−2』(9分12秒より19分10秒・・下に翻訳)
診察で患者一人一人を励ます緩和ケア病棟エッケンハルト医長

今回の『蚊帳の外の患者・病院医師は限界3−2』では医師組合連盟の取材から始まり、連盟の最近の病院医師3000人のアンケート調査では、驚くべきことに医師の71パーセントの健康が病院による経済圧力で損なわれていると回答している。
ルドルフ連盟代表は、「医師は患者を健康にすることが使命です。それが睡眠不足と疲労が見られ、自らの健康を損なっています。自らの業務能力を制約するようになれば、最早医師は患者を十分に救う力がありません」と嘆く始末であった。
そのような経済圧力は、緩和ケア病棟(病院のホスピス部門)で市民の要望をこれまで満たしてきたケルン市郊外の小さな病院にも大きな波紋を投げかけている。
緩和病棟のエッケンハルト医長は患者を診察して回り、優しく患者の手を取り、「瀕死者が静かに横たわり、全く和らいでいることは素晴らしいことです」とZDFレポーターに話す。
そして自らにヒポクラテスの誓約を諭すように、「本質的にはそれが医師として奉仕する本来のやり方です。苦しみにある人間を、できるだけ和らげるべきです。彼らはこの病棟で、私たちが患者および親族に個人的にしっかり耳を傾けるやり方を体験するでしょう」と穏やかに述べる。
しかし包括報酬制度でこのような緩和ケア病棟は最早経済的に成り立たなくなることに対しては、「私たちを明らかに駆り立て、憤慨させるものは包括化であり、人生の最後の道のりでの人間の商品化です」と抗議している。
このフィルムでは描かれていないが、ドイツ国民の9割以上が家での尊厳死を望んでいるにもかかわらず、日本ほどではないが年々病院で亡くなる割合が増えており、ドイツのウキペディアによれば死者の5割が病院で亡くなり、ホスピス(ドイツでは看護師と介護士で最後を世話する施設)で2割が亡くなり、3割だけが在宅で医師の往診や介護のスタッフの支援で亡くなっている。
すなわち病院で亡くなる患者の多くは手術によるものであり、緩和ケア病棟の入院は2週間が上限であり、フィルムで語られるように経済的に成り立たない緩和ケア病棟を廃止するところが多くなっている。
さらにZDFレポーターは、早期退院を強いる病院医長を辞め、早期退院を余儀なくされた患者を外科診療所で治療しているベルント医師を取材して、医師の責任を聞いている。
ベルント医師は、「医師は制度の犠牲者に過ぎず、責任があるとすれば抵抗することにかけているからだと思います。医師たちは最早多くを言うことができません。すなわち医学的見地は実際の医療すなわち保健実態において、絶えず小さな役割しか果たしていません。何故なら医学的見地が保健経済として発展したからです」と答えている。
ZDFの二人のレポーターはそうした経済優先の医療を調べて見ると、半数の病院がそれにもかかわらず赤字である事実に直面する。
そこで病院組合連盟を訪ね問い正すと、保険からのお金と国から支援金で賄うには費用が不足しており、その不足が医師の経済圧力に跳ね返って来ているといった返答がなされた。
しかしこの返答は私見を述べれば的を得ておらず、2003年の包括報酬制度による競争原理導入によって病院間の競争が激化すれば、勝者と敗者が生まれることは当然である(しかし医療に公共性を求めるドイツ社会では、病院に競争原理を導入すること自体そぐわないと言えよう)。
もっともZDFのシナリオは医師へ経済圧力が跳ね返ることから、スウェーデンに移住した医長アンドレアスを取材している。
アンドレアスは、「私の給料が、患者でもうける手術措置に依存してたということです。私はさらに多くの医療的診療をするだけでなく、経営者でなくてはならず、病院の利益を最善にするよう強制されました。私はそれを全く非人道的で倫理的に許されないものであると思いました」と答えている。
そしてZDFはアンドレアス医師が一例ではなく、多くの病院が緊急に医師を探しているにもかかわず、毎年凡そ2600人の医者がドイツから出て行くことを告げている。

日本の医療に未来はあるのか?(3起死回生は可能だ!)

前回は、病院での父の無念な最後について書いた。
それは今振り返っても、最早助からない患者を新しい治療の実験台とするだけでなく、病院の利益追求のために犠牲にさせられたように思う。
現在ではそのような患者の尊厳死を無視した医療が肥大し、今では倫理上も問題のある胃婁も当たり前の選択となり、競争原理勝組の巨大病院のドル箱となっている。
そのような終末にある患者に胃婁や点滴で長期に渡って延命治療することは、患者工場であると利益追求が激しく非難されるドイツの病院でさえ容認されていない。
しかし日本では胃婁患者だけで30万人にも及んでおり、医療産業は胃婁だけで毎年1兆円を稼ぎだしているのである(老人の専門医療を考える会・全国シンポジウム資料より)。
そうした利益追求で潤う都会の勝者巨大病院は、悪循環で荷重労働となっている地域の医師たちを、高額の給料だけでなく、胃婁などの延命治療、チームによる規格化された手術による楽なローテーション、そして最先端の治療と研究といった甘い誘惑で引き抜いて行く。
そうしたなかでは、いくら医学生を養成しても地域医療に従事する医師が足りなくなるのである。
確かに終末を迎えた患者の家族は、最早治る見込みのない症状であっても1分1秒でも長く生きていてもらいたいのが心情であり、しかも医師から胃婁などの延命治療を薦められれば当然の選択である(断ればすぐさま退院が求められる)。
しかし2か月も入院すればわかってくることであるが、痴呆が急速に進み、譫妄さえ訴えるようになってくる。
そして、それを過ぎれば殆ど植物状態となり、入院期間の短期化が求められるなかで、重症患者として長期に生き続けることになる。
まさにそれが競争原理勝者の巨大病院のドル箱となり、地域から医師を駆り集め、毎年医療費を1兆円肥大させる大きな要因になっている。
しかし日本のマスメディアは、記者クラブでお上の批判はバッシングされることから、ドイツのように本質的な批判は殆どしない。
もしドイツの疾病金庫関係者が、日本の医療費の杜撰さを見るなら、恐らく驚愕するだろう。
何故なら年間医療費が40兆円にも達しようと肥大し続けているにもかかわらず、保険料が半分にも満たないことは信じられないからだ。
すなわちドイツでは赤字を出すことは存立が問われる問題であり、赤字はそのままにできず、他の疾病金庫との吸収合併を模索しなければならい程厳しい責任が取らされることから、医療費肥大に対して存立をかけて戦っている。
ドイツでも日本と同様に老人大国となる超高齢化問題は同じであり、日本のように責任を転嫁することは許されない。
日本では責任転嫁はどの分野にも見られ、全ての分野で存立をかけて戦う第三者機関はなく、無謬神話のお上に委ねられ、誰も責任を取らない大本営が生き続けてきたと言っても過言ではない。
その結果、現在の日本の国と地方の負債は1200兆円に達し、このままではデフォルトするか、医療のように欠かせられない分野の予算が縮減され、アメリカのように格差診療が当たり前となり、救急車治療で自宅を手放すようになりかねない。
しかしよく考えて見て欲しい。
日本では上のZDFズームが厳しく批判する医療における経済圧力が、ドイツだけでなく欧米では倫理上許されない胃婁などの延命治療を日常茶飯事とし、逆に人間を不幸にしている。
私が生まれた昭和22年頃は自宅で最期を看取ることが当たり前であったが(統計上9割)、現在では医療機関での死が9割に達しようとしており、人間の尊厳が奪われていると言えよう。
ドイツでは現在も9割以上の国民が自宅での死を望んでおり、医療産業の経済圧力が強まるにもかかわらず、国民の半数はホスピスを含めて自宅で亡くなっている。
ドイツのホスピスは緩和ケアだけで治療を行わないことから医師が在中せず、看護師と介護士、及びボランティアなどによって運営されている。
ホスピスの費用は疾病金庫から支払われているが、医療機関というよりも尊厳死を待つグループホーム(自宅での死の代替)と言えよう。
そのように発想を転換すれば、医療費赤字をゼロにすることも、日本の財政を健全財政に蘇えらせることも可能である。

今回は最初、病院で無念に亡くなった父とは対照的に、最後自宅で安らかに亡くなった母のことを書くつもりであったが、ドイツのホスピス関連のフィルムがユーチューブに多数出ていることから、それを転載する際に書くことにした。


『蚊帳の外の患者3−2』翻訳(9分12秒から19分10秒まで)

Es sind schockierende Berichte.
Wir fahren nach Berlin, zum Marburger Bund.
驚愕すべき報告であった。
私たちはベルリンのマールブルグ連盟に向かった。
Die Ärztegewerkschaft hat erst jüngst eine Umfrage gemacht unter mehr als 3000 Klinikärzten.
医師組合は、初めて最近3000人以上の病院医師にアンケート調査を実施した。
Der Vorsitzende Rudolf Henke zeigt uns die Ergebnisse.
Die Antworten sind deutlich: 71 % der deutschen Ärzte fühlen sich durch
die Arbeitszeiten im Krankenhaus in ihrer Gesundheit beeinträchtigt. Nur 29 % sagen: "Wir fühlen uns gesund".
ルドルフ・ヘンケ代表は結果を説明してくれた。
回答は明白であり、ドイツ医師の71%が病院の業務時間を通して健康が損なわれていると感じている。そして29%だけが健康であると答えている。
Welche Ergebnisse der Studie bereiten Ihnen am meisten Sorgen?
(ZDF)調査の結果はおもな心配としてどのようなものがありますか?
Die Ärzte sind dazu da, Patienten gesund werden zu lassen. Und wenn man selbst in Arbeitsbedingungen lebt, die die eigene Gesundheit gefährden, die die eigene Leistungsfähigkeit einschränken, die einen mit Schlafmangel und mit Müdigkeit versehen, dann hat man nicht mehr die Kraft, um den Patienten gut zu helfen.
(ルドルフ)医師は患者を健康にすることが使命です。それが睡眠不足と疲労が見られ、自らの健康を損なっています。自らの業務能力を制約するようになれば、最早医師は患者を十分に救う力ありません。
Was heißt das für ihre Arbeit?
Wie wirkt sich das aus?
(ZDF)それは医者の仕事にどのような意味があるのですか?どのように作用しますか?
Die Motivation der Arbeit lässt nach. Die Konzentration auf den Patienten wird geringer und die Betriebswirtschaft in den Kliniken nimmt in Kauf, dass die Gesundheit von Ärzten durch die Arbeitszeitgestaltung und durch die Arbeitsdichte beeinträchtigt wird. Die Ärzte werden verheizt.
(ルドルフ)仕事へのモチベーションが弱まります。医師の健康は過重な労働時間構成で損なわれ、患者への集中力が低下し、病院の経営に甘受しています。それによって医師は消耗させられていきます。
Hauptgrund für die Frustration der Ärzte: der wirtschaftliche Druck.
Warum aber ist dieser so groß?
(ZDF台詞)医師の挫折感の主因は経済圧力である。何故このように経済圧力は大きのだろうか?
Im Krankenhaus Maria-Stern in Remagen erklärt man uns, woher der Druck kommt. Das kleine katholische Krankenhaus ist ein sogenannter "Grundversorger", hier werden alle Patienten aufgenommen. Obwohl sie dem Krankenhaus unterschiedlich viel einbringen.
(ZDF台詞)レマーゲン市(ケルン近郊の都市)のマリア・ステルン病院にもその圧力がきているという。小さなカトリック教の病院は、全ての患者を受け入れる、いわゆる基本的医療提供者である。患者は異なった多くの要求を持ち込んで来るにも関わらず。
Der kaufmännische Klinikdirektor Dirk Rieck-Gangnus erklärt uns, wie Ärzte Patienten abrechnen müssen. Pro Diagnose zahlt die Krankenkasse einen festen Betrag: die sogenannte "Fallpauschale".
商業に通じた病院代表ディルク・リック・ガングヌスは、医者が患者をどのように勘定しなければならないかを説明してくれた。病院は診断ごとに決められた額を、いわゆる包括報酬制度で計算する。
Wie funktionieren die Fallpauschalen denn in Deutschland?
(ZDF)ドイツでは包括報酬制度がどのように機能していますか?
Ja ich hab hier einige Beispiele vorbereitet. Für die operative Versorgung
einer Sprunggelenksfraktur mit einer Verweildauer von sechs Tagen erhalten wir circa 3200 Euro.
(ディルク)はい一つの例を用意しました。関節骨折の手術治療に対しては6日間の入院期間で凡そ3200ユーロを受け取ります。
Für eine einfache Blinddarmoperation - 2600 Euro. Hingegen für die aufwändige Behandlung eines Patienten auf unserer Palliativstation mit einer Verweildauer auch von circa sechs Tagen erhalten wir nur 2300 Euro ungefähr.
単に盲腸手術で2600ユーロです。それに反して緩和病棟での費用のかかる患者治療は6日の入院期間で凡そ2300ユーロしか受け取れません。
Im Klartext: Eine Operation mit wenig Nachsorge rechnet sich mehr als ein Sterbender, der rund um die Uhr betreut werden muss.
平文。アフターケアの少ない手術は、四六時中看護しなければならない瀕死者以上に勘定している。
Seit Jahren regt sich Oberarzt Eckehardt Louen über Fallpauschalen und die Folgen auf. Auf seiner Palliativstation landen fast nur Patienten, die durch das Fallpauschalensystem "nicht mehr rentabel sind". Für die Sterbenden ist es die letzte Klinikstation, bevor ihr Leben hier oder zuhause endet.
(ZDF台詞)何年も前から医局長エッケンハルト・ロウエンは包括報酬制度の問題で憤慨してきた。彼の緩和病棟に患者来ることだけでは、包括報酬制度によって採算が取れない。瀕死者にとって、ここで亡くなるか、家で亡くなるか、その前の最後の病棟である。
Es ist gut, dass sie so ruhig liegt und ganz entspannt ist.
(エッケンハルト医長)瀕死者が静かに横たわり、全く和らいでいることは素晴らしいことです。
Eigentlich ist es die ursprünglichste Art und Weise als ein Arzt zu arbeiten. Menschen nahe zu sein, die in Not sind, sich anzustrengen diese Not zu lindern.Sie haben es ja hier auf der Station erlebt,wie individuell wir auf Patienten oder auch die Angehörigen eingehen.
Was uns schier umtreibt und aufregt ist eine Pauschalisierung, eine Verwirtschaftlichung des Menschen auf der letzten Wegstrecke seines Lebens.
本質的にはそれが医師として奉仕する本来のやり方である。人間は苦しみにあり、この苦しみをできるだけ和らげるべきです。彼らはこの病棟で、私たちが患者および親族に個人的に耳を傾けるやり方を体験するでしょう。
私たちを明らかに駆り立て、憤慨させるものは包括化であり、人生の最後の道のりでの人間の商品化です。
Viele Kliniken verzichten inzwischen auf Palliativstationen, denn würdevolles Sterben ist in den meisten Fällen ein Minusgeschäft. Auch den Tod müssen die Ärzte
pauschal kalkulieren – obwohl die Symptome so unterschiedlich sind.
多くの病院はこの間緩和病棟を廃止している。何故なら尊厳ある死は多くの場合経済的な欠損であるからだ。医師は症状が様々に異なっているとしても、死も包括的に勘定しなければならない。
Nennen Sie mir einen Patienten, der freiwillig auf eine Palliativstation geht. Er ist gezwungen, ist in einer prekärsten Situation und kommt hierher, wissend um die Endlichkeit. Das zu versuchen, in ein kategorisierendes, pauschalisierendes System zu drängen, ist einfach Blödsinn.
自発的に緩和病棟へ来る患者について書いてください。彼は強いられ、最も困難な状況にあり、ここに来ており、死ぬ運命にあることを知っている。範疇化され、包括化されたシステムに突き進むことを追及することは余りにも馬鹿げている。
Viele Ärzte halten die jetzigen Fallpauschalen für zu pauschal. Sie beklagen, dass der Kostendruck dazu führt, dass sie den individuellen Bedürfnissen der Patienten nicht mehr voll gerecht werden können.
多くの医師は現在の包括報酬制度を一切の費用をひっくるめるものと見なしている。彼らは、コスト圧力が個人的に患者の欲求を最早全くかなえれないように導いていることを嘆いている。
Was das bedeuten kann, erfahren wir in der chirurgischen Praxis von Dr. Bernd Hontschik. Jahrelang war er selbst Oberarzt in einer Klinik. Jetzt landen immer wieder Patienten bei ihm, die zu früh aus Kliniken entlassen wurden. Sogenannte "blutige Entlassungen", mit denen die Klinik Geld spart.
それが意味するものを、私たちはDr.ベルンド・ホントシックの外科診療で体験した。彼は彼自身長い間ある病院の医長であった。今彼のところに病院から早く退院させられた、いわゆる病院の経費節減による早期退院の患者が絶えず辿って来ている。
Als ich noch im Krankenhaus gearbeitet habe, hätte ich mich geschämt, so einen Patienten zu entlassen. Der eine ganz schlecht geheilte Operationswunde hat, die vielleicht klafft, wo Eiter drin ist, die noch blutet und wo noch intensive Therapie erforderlich ist.
(Dr.ベルンド)私がまだ病院で働いて時、まだ全く治っていない手術傷跡で、まだ傷跡が開き、膿を持ちまだ血が出ており、集中治療の必要な患者をそのように退院させることを恥じていた。
Also früher wären die Patienten im Krankenhaus geblieben?
(ZDF)ところでそれより以前は、患者は病院に入院したままだったのですか?
Selbstverständlich. Die Fallpauschale wird nur einmal bezahlt und da ist es
vollkommen logisch ökonomisch, dass man die Liegezeit möglichst kurz halten will.
(Dr.)もちろんです。包括報酬制度は一括して支払われ、入院期間をできるだけ短くしようとすることで全く倫理上も経済的だ。
Sind die Ärzte denn da auch nur Opfer dieses Systems oder kann man sie auch verantwortlich machen?
(ZDF)医師はこの制度の犠牲者なのか、それとも責任があるのですか?
Ich glaube, dass die Ärzte in dem Fall nur Opfer des Systems sind und wenn man sie für etwas verantwortlich machen kann, dann für mangelnden Widerstand. Die Ärzte haben nichts mehr zu sagen.Medizinische Gesichtspunkte spielen eine immer kleinere Rolle im Gesundheitswesen, weil es sich zur Gesundheitswirtschaft entwickelt.
(Dr.)この場合医師は制度の犠牲者に過ぎず、責任があるとすれば抵抗することにかけているからだと思います。医師たちは最早言うことができません。すなわち医学的見地は実際の医療すなわち保健実態において、絶えず小さな役割しか果たしていません。何故なら医学的見地が保健経済として発展したからです。
Ärzte fühlen sich durch die Fallpauschalen drangsaliert. Wir fragen uns: Funktionieren sie denn wenigstens für die Krankenhausbetreiber? Schließlich wurden die Fallpauschalen 2003 eingeführt, damit die Kliniken effektiver arbeiten und Kosten senken.
医師は包括報酬制度で苦しめられていると感じている。私たちは包括報酬制度が病院企業体に少なくとも機能しているか、要するに2003年に包括報酬制度が導入され、それによって病院が効果的に機能し、費用が下がったか、疑問に思っている。
Eine Antwort liefert uns das jüngste Krankenhausbarometer, eine Umfrage unter 245 deutschen Kliniken. Darin heißt es, dass fast die Hälfte der deutschen Kliniken rote Zahlen schreibt. Von mehr Effizienz also keine Spur, im Gegenteil: Die "wirtschaftliche Situation hat sich dramatisch verschlechtert".
245のドイツ病院のアンケート調査での最近の病院バロメーターが私たちに一つの答えを与えた。すなわちそれによれば、ドイツ病院の半分は赤字を計上している。さらなる効率化によっても拍車は全くなく、逆に経済状態が劇的に悪化している。
Wie kann das sein? Wir fragen nach bei der Deutschen Krankenhausgesellschaft. Sie gibt das Krankenhausbarometer jedes Jahr in Auftrag und vertritt fast alle Krankenhausträger in Deutschland.
どのようなのだろうか?私たちはドイツ病院組合に質問した。ドイツ病院組合は毎年病院バロメーターの指標を出しており、ドイツの全ての病院代表を代行している。
Alfred Dänzer, Präsident der Gesellschaft, erklärt uns: Krankenhäuser bekommen ihr Geld vor allem aus zwei Töpfen. Zum einen die Fallpauschalen der Krankenkassen. Zum anderen Mittel der Bundesländer. Trotzdem reicht es oft nicht aus, um die Kosten zu decken.
組合代表のアルフレッド・デンツェルは、病院は財源をとりわけ二つの金庫から得ていると説明してくれた。一つは疾病金庫の包括報酬制度であり、もう一つは連邦の金庫からである。それにもかかわらず費用を満たすためには、しばしば十分でない。
Wie kann es sein, dass in einem reichen Land wie Deutschland die Kliniken massenhaft Verluste machen?
ドイツのような富める国の病院が多大な損失を出しているのは、どうしてでしょうか?
Das hängt mit der Finanzierung zusammen. Die Krankenhäuser sind total fremd bestimmt in der Finanzierung. Sie haben gedeckelte Vorgaben durch Regulationen des Staates und können die Kosten nicht über die Preise weitergeben.
それは融資と関連している。病院は融資の際よそで全体として決められる。融資は国家の規制による抑制基準があり、価格以上の費用を先送りすることはできないからです。
Stattdessen wird der Druck an die Ärzte weitergegeben.
その代り医師への圧力に転送されている。 
In Berlin treffen wir einen Chefarzt, der dem deutschen System den Rücken gekehrt hat und nach Schweden ausgewandert ist.
ベルリンで私たちは、ドイツ医療制度に背を向け、スウェーデンに移住した一人の医長に会った。
Zum jährlichen Chirurgenkongress reist er an, um Kollegen zu treffen und bei technischen Neuerungen auf dem Laufenden zu bleiben.
毎年の外科学会に、仲間と会い、技術刷新の最新の事情に通じるために帰国してきていた。
Dr. Andreas Weskott will uns erklären, wie die Krankenhäuser selbst Chefärzte wie ihn in die Pflicht nehmen.
Dr.アンドレアス・ヴェスコットは、病院自体彼のような医長にどのように義務を負わせるか説明しようとした。
Was hat für Sie den Ausschlag gegeben zu sagen, "das mache ich nicht mehr mit, ich höre auf"?
どうしてあなたは、「私はそれを最早せず、辞めます」と最後の決着をつけたのですか?
Der Hauptgrund war, dass ich unter diesem ökonomischen Zwang und unter diesem Erfolgsdruck stand. Immer mehr, immer mehr ... Das halten Sie nicht lange aus.Und wenn ich dann zum Beispiel sagte, "das schaffen wir aber in diesem Jahr nicht", dann hat der Geschäftsführer zu mir gesagt: "Wie Sie das Geld machen, das ist mir völlig egal. "Aber ich will das Geld auf dem Tisch haben."
最大の理由は、私が経済的に強制され、成果圧力下にあったからです。絶えずもっと、もっと、あなたはそれに長く耐えれません。そして私が例えば、「今年はできません」と言うと、業務代表は私に、「あなたがお金を得ることは、私には全くどうでもいいことなのです」と言った。「しかし私はお金を得ようとしました」。
Andreas Weskott hat uns seine alten deutschen Verträge mitgebracht - inklusive eines jährlichen Zusatzvertrags. .Darin sind Boni vorgesehen für mehr Operationen. Jedes Jahr sollte er 3 % mehr Umsatz machen.
アンドレア・ヴェスコットは古いドイツの、年間の負荷契約を含めた契約書を持って来ていた。その中には毎年手術措置を3%増やすことでのボーナスが見られた。
Und was ist das Brisante an diesem Zusatzvertrag?
(ZDF)どうしてこの付加契約が問題をはらんでいるのですか?
Dass mein Gehalt abhängig ist von dem Umsatz, den ich mache, um Patienten gesund zu machen. Ich werde dazu genötigt, mich nicht mehr nur ärztlich zu verhalten, sondern Ökonom zu sein und den Gewinn des Krankenhauses optimiere. Ich halte das für absolut unmenschlich und auch für moralisch nicht akzeptabel.
私の給料が、患者でもうける手術措置に依存してたということです。私はさらに多くの医療的診療をするだけでなく、経営者でなくてはならず、病院の利益を最善にするよう強制されました。私はそれを全く非人道的で倫理的に許されないものであると思いました。
Aber Sie haben es ja auch unterschrieben.
(ZDF)しかしあなたは契約に同意署名した。
Ich habe es auch unterschrieben.
私は署名しました。
Warum?
(ZDF) 何故ですか?
Sie werden ganz selten Verhandlungsspielraum haben und Sie werden selten sagen können, "das mache ich nicht mehr mit". Dann müssen Sie gehen, wie ich.
あなたは全く交渉の余地がなく、「それをもうやりません」とは殆ど言えないだろう。そういえば、私のようにあなたは出ていかねばならない。
Andreas Weskott ist kein Einzelfall. Jedes Jahr wandern rund 2600 Ärzte aus Deutschland ab.
(ZDF台詞)アンドレアス・ヴェスコットは一例ではない。毎年凡そ2600人の医者がドイツから出て行っている。
Und das, obwohl viele Kliniken händeringend nach Ärzten suchen.
多くの病院が緊急に医師を探しているにもかかわず、出て行くのである。