(247)カントの理想を早急に実現しなくてはならない世界(5)・家庭での電力完全自給が永遠平和を実現する(1)


フロニウス社動画より。[https://www.youtube.com/watch?v=LJUXzFRCFRs&feature=youtu.be:title=動画]

上の動画に見るようにドイツの家庭では完全なエネルギー自給が始まっている。
エネルギー転換の進展で太陽光パネルのコストが急速に低下し、再生可能エネルギー法での太陽光電力の買取価格が2004年の1キロワットあたり50セント(ユーロ)から2014年の12セントに大幅に下がったからである。
すなわち太陽が照射している際の過剰電力は1キロワットあたり12セントで電力企業に売り、夕方から朝までは逆に電力企業から約30セントで買うことが非経済的となり、昼間の安く売る電力を蓄電して使うことが、エコロジーで経済的に賢い生き方であると同時に、エネルギー転換の原動力でもあるからだ。
日照時間の短い冬期は日中の使用電力製造も難しく、蓄電は無理であることから、上の動画のフロニウス社は既に2010年から電解装置(高圧水電解システム)を組み込み、家庭での電力完全自給に取組んでいる。
まだ家庭での完全自給はドイツでも始まったばかりであるが、2020年には5キロほどの水素充填で600キロ走行できる環境に全く負荷のない水素自動車の販売活発化が予想されることから、ドイツでは家庭での電力完全自給が急激に進むと考えられる。
フロニウス社の考える4人家族の電力完全自給は、太陽光パネル6キロワット(60平方メートルの設置面積で年間約6000キロワットの電力製造)を使用しており、水素自動車を加えるなら年間走行距離12000キロであれば年間100キロほどの水素製造が必要であり、太陽光パネル2キロワット(20平方メートルで約2000キロワット)を追加すればよい。
日本でも先週テラスの日本進出が伝えられ、容量10キロワット・時のリチウム蓄電池が日本の市場価格の約3分の1の3500ドル(約40万円)で価格設定がなされている。
日本はリチウム電池技術の産みの親であることから考えれば、既に述べたように原子力ムラ利権構造が金の卵を産む鶏を殺していると言っても過言ではない。
しかも政府は相も変わらずイエスマンだけの有識者会議で、2030年の原発比率20%〜22%に枠組をつくり、原発を再稼働、温存しようとしている。
しかしながらグローバル化が進む世界では最早政府が枠組を決める時代は過ぎており、日本においても2020年頃までにはアメリカやドイツ企業の蓄電池や電解装置が続々となだれ込んで来ることから、電力完全自給の普及は必至と言えよう。
何故なら原発に依存する日本の電力企業の電力価格は益々高騰し、家庭での電力完全自給が明白に経済的となるからだ。
そうした脱原発流れは、どのように政府が国民の意思を無視して原発維持に固執しようと、原発の高いコスト、高い危険性、10万年近い安全管理などを考えれば脱原発は必至である。
そして脱原発が日本でも実現すれば、現在のドイツのように外に向かう産業ベクトルより内に向かう産業ベクトルが大きくなり、メルケル首相のように過去の戦争犯罪と真摯に向かい合い、憲法9条の説く平和を讃え、未来永劫過ちを繰り返さない宣言も聞かれよう。

5月3日解放70周年のダッハウ強制収容所メルケル首相は、「私たちは決して忘れない」と過去のドイツのホロコースト犯罪に向かい合い、「それは私たち国として、市民としての責任であり、犠牲者や生存者にすべてが負っている」と未来永劫過ちを繰り返さないことを、世界に向けて誓っている。

"Das ist unsere staatliche und bürgerliche Pflicht. Das sind wir Opfern, Überlebenden, uns allen schuldig"

カントの理想(5)・蘇る国際連合
Zweiter Definitivartikel zum ewigen Frieden 永遠平和ための第二確定条項
Das Völkerrecht soll auf einen Föderalism freier Staaten gegründet sein.
国際法は自由国家の連邦制(連合)に基づくべきである。

[http://philosophiebuch.de/ewfried.htm:title=ドイツ語原文
]
第二章第二確定条項では、国家も法なくしては人の原始におけるように暴力で解決しようとするから、諸国家は国際法で統治されるべきとしている。
しかし国際的に統一支配されれば、諸国家の自由が制約され共和的体制でなくなることから、あくまでも諸国家の連合であるべきとしている。
そのような連合では、諸国家は法に従い自由と平等が求められる共和的な体制であることから、その国民は平和を希求し、永久平和に向けて歩み続けると説いている。
しかしカントの理念から創設された現在の国際連合はシリアやウクライナで見られるように、殆ど機能していない。
なぜなら現在の諸国家は競争原理最優先の新自由主義に支配されており、カントの提示した共和的な体制とはかけ離れているからである。
すなわちカント以後の世界では、化石燃料産業革命を通して人類の欲望が益々外に向かって肥大して行ったからである。
しかも現在は化石燃料の産業社会が終焉を向かえ、生残りをかけて弱肉強食の競争を強いる世界となっていることから、カントの理念は余りにも非現実的だと切り捨てられるのだ。
しかし家庭で電力完全自給が普及する世界では、カントの理念が蘇り、新たな息が吹き込まれよう。