(319)時代の終わりに・危機と希望(3)・沖縄からの叫びと希望(3)

危機と希望(3)・汚職と不正が生み出す独裁政権


今回の討論で議論されたアメリカの伝統ある雑誌アトランティクは、逸速くアメリカ独裁政治を警告し、デーヴィド・フラム(著名な編集者でジョージ・W・ブシュのスピーチライター)の論じる「トランプの独裁政治を建設する方法」を載せています(注1)。
そこでは、「議会が静観し、大衆が注視しないなら、トランプはアメリカを反自由主義への道へと降らせ、制度的破壊と特有の融合へと導く」と述べています。
それを受けてドイツのシュピーゲル誌も「民主主義が崩壊する時(威嚇的大統領トランプとメディアについて)」のタイトルで、「民主主義が崩壊する時、たぐいまれに早く、具体化される瞬間を回顧すれば、大抵は選挙であった。トルコのエルドアン、ロシアのプーチンハンガリーのオルバーン、がどのように選ばれ、アメリカがトランプへの明白な分別をどのように下したか? 政治的議論が大衆扇動に転換するとき、その大衆扇動は民主主義プロセスを通して権力を持ち、民主主義が独裁政治によって置き換わり得る。そして他のすべての事も、多くのメディアが自ら夢想し、脅迫的に各々の警戒を述べるにもかかわらず独裁政治を徐々に生じて行く」とクラウス・ブリンクヴォイマーの論説を載せていました(注2)。
そこでは、アトランティク誌のフラムが「独裁政治は力に生み出されのではなく、長期的な汚職と不正の退廃的プロセスで生み出される」と指摘していると強調していました。
それゆえ今回の議論では、トランプを力によって引きずり下ろすのではなく、議会と大衆が注視することで弾劾裁判や議会25条項を通してトランプの独裁政治への道を阻止する方向で議論されたように思います。
しかし益々世界がシリア、そして北朝鮮で再び世界大戦の勃発する危機が高まっているように思われます。

(注1)2017年1月30日のアトランティク・コムの「トランプの独裁政治を建設する方法」の報道。
https://www.theatlantic.com/press-releases/archive/2017/01/how-to-build-an-autocracy-the-atlantics-march-cover-story-online-now/515115/
実際のアトランティク誌の「トランプの独裁政治を建設する方法」は以下のアドレスで読むことが出来ます。
https://www.theatlantic.com/magazine/archive/2017/03/how-to-build-an-autocracy/513872/

(注2)2017年2月7日のシュピーゲルオンライン
http://www.spiegel.de/politik/ausland/donald-trump-und-die-usa-wenn-demokratien-kippen-kommentar-a-1133439.html


沖縄からの叫びと希望(3)・「なぜペンを取るか」の悲壮な叫び

このフィルムで「なぜペンを取るか」を語る琉球新報政治部長松永勝利さんは、「結局沖縄の新聞社というのは・・・その取材を先輩から学ぶんじゃないですよ。沖縄戦で辛い思いをした人から学ぶんですよ」と述べる時、堪える涙がひとりでに溢れ出ていた。
ひめゆりの塔」歴史記念館で生存者の多くの悲壮な沖縄戦の叫びを聞いた私自身も、それを共感せずにはいられない。
そうした沖縄の一貫した篤い思いが、最近の東京新聞朝日新聞毎日新聞に、再び戦争への道を歩もうとする政府批判を蘇らせている。
しかし日本では戦後も政府の法支配が、ドイツのように市民奉仕へと見直されることなく継続され、公共放送NHKも政府を代弁する国営放送化されようとしている。
具体的には安倍政権誕生で、NHKは平和希求の琉球新報を激しく攻撃する作家百田尚樹など安倍支援を鮮明にする4人の理事を迎え(既に籾井勝人会長同様退任しているが)、再び戦争への道を容認するだけでなく、かつての大本営政府のスポークスマンを演じる瀬戸際に立っていると言っても過言ではない。

尚オリジナルな動画「なぜペンを取るか〜沖縄の新聞記者たち」は、下のアドレスで見られるます。
https://www.youtube.com/watch?v=c_E_UaItQRM&t=707s