(336)時代の終わりに(20)・人類が生き残るための気候変動という転轍(2)

メルケル首相はCOP23気候変動会議の開催国冒頭演説で、気候変動は世界にとって“運命的問い”であると述べ、環境保護運動家さえ驚くほど画期的で真剣な訴えをした。
メルケルシュピーゲル誌が2015年30号で「マザー・アンゲラ」と特集したように、与党内でさえ激しい反対がある中で百万人を超えるシリア避難民を制限なく救った。
その際彼女は避難民の擁護権に制限を設ける世論が高っているにもかかわらず、「基本法の擁護権には上限がない。救いの手を差し伸べないなら、私の祖国ではない」と強調し、押し通した事を思い出す。
今回もドイツの脱石炭への道のりは、無尽蔵の褐炭埋蔵や雇用問題などの産業圧力で単純ではないことを十分理解しながらも、世界に“運命的問い”と訴えることで、克服しなければならない思いが溢れ出していた。
そのようなメルケルの思いは、ZDFplanet e.が2017年11月13日に放送した『気候が壊れるとき』でも絶えず見られ、「世界が気候変動に連帯して真剣に取り組まないなら、世界に最早未来はない」という声を感じないではいられない。
そこでは世界の3分の2を占める海岸付近の大都市の水没は必至であり、今回載せたフィルムでは、ツンドラの永久凍土の溶解が大量のメタンガスを放出させ、予想もできない速さで気候変動が加速される懸念が指摘されている。
またバングラデシュでは既に海岸地域農地の塩害化が進み、農民は浮かぶ農園でなんとか今を対処しているが、未来への絶望的嘆きが聞こえてくる。
そうしたZDFが描く未来への絶望的嘆きを、メルケルは見捨てるようでは世界に未来はなく、“運命的問い”だと訴えていると確信する。
しかしそうしたメルケルも下のZDFlogo!で見るように連立政権発足では迷走し、産みの苦しさにあるが、新しい年には現在世界が抱える重い課題克服に邁進してもらいたい。