(368)ドイツから学ぶ未来(11)ワイマール共和国(官僚支配)からドイツ連邦共和国(官僚奉仕)への民主的革命(3)・何故エネルギー自給に拘るのか

ワイマール共和国(官僚支配)からドイツ連邦共和国(官僚奉仕)への民主的革命(3)

前回は、ワイマール共和国の官僚支配がヒトラーを出現させたことを述べたが、官僚一人一人はアイヒマンに見るように、政令によってナチス政府に滅私奉公する小市民像しか浮かび上がらず、まさに悪の凡庸に過ぎなかった。
しかし600万にものユダヤ人をホロコーストで絶滅させたのも、そしてヒットラーを出現させたのも、国益を最優先する官僚制度であり、下からの積み上げによって作られる政令は止める手段がないことも事実である。
現在の日本を見ても、国益を最優先することから安部政権を作り出したのは官僚支配であるが、官僚一人一人は森友学園の決裁書改ざんに見られるように、政権への滅私奉公を強いられ、人事が内閣にあることから忖度なしには務まらないと言っても過言ではない。
そのような視点から見れば、日本の戦後の民主主義はワイマール共和国の民主主義と同じで、ワイマール共和国で言えばドイツ帝国国益優先官僚支配が継続していたし、日本も戦前の大本営と称される官僚支配が継続していたことから、本物の民主主義は得られないだけでなく、競争原理と自己責任を強いる新自由主義ポピュリズムに呑み込まれ、議論なき政治さえ容認される恐ろしい時代に再び突入していると言えるだろう。
話をZDFの『私たちドイツ人と民主主義3-3』に戻せば、このラストでは、歴史学者アンドレア・ヴィルシング教授は、「裕福さが失われ巨大な経済危機が来る時、同様に民主主義が困難な時、この不満、不信、何か他の望みが強くなることを恐れます」と危惧し、外国人反対協会の代表ヴォルフガング・ニーデッケンは「最も簡単な解決を提示する政党を疑わなくてはならないのは、事実と言えるでしょう」と警鐘している。
そしてこのフィルムを制作したZDFも、「民主主義が必要なものは、その価値を守ることを知るべきである」と訴え、最後にナチズムの被害者でもあり、生き証人でもあるガイ・ステルン教授の「ドイツで供与される全ての民主主義の自由をあらゆる手段で守らなければなりません。・・・あなた方には、責任があるでしょう。どの選挙人にも責任があるでしょう」という言葉で結でいる。
すなわちドイツの民主主義がポピュリズムから挑発を受ける時、あらゆる側から民主主義を守る責任の声が聞こえて来ている。
それこそが戦後の基本法によるドイツの戦う民主主義であり、、ドイツの永続する民主的革命であると私には思える。
その点については、次回から載せる『基本法70周年・世界の最上の憲法であり得るか』(ZDF6月6日放送)を通して、詳しく述べて行きたい。

何故エネルギー自給に拘るのか?

前回の私の農的暮らしのなかで、既に電力さえもオフグリッドできる暮らしを目標に掲げたことから、その理由と具体的取組についても書くことにした。
電力のオフグリットとは電力会社から電力を買わなくて済む暮らしであり、私自身の暮らしで無理なく実現できれば、地球規模での化石燃料エネルギーからの自然エネルギーへの転換へ繋がると思うからである。
既に昨年の冬は山に放置された間伐材の作業用薪ストーブで、100%脱石油ストーブに成功しており、毎日のお風呂も太陽光で温めていることから(春から秋の陽射しがある日には2倍の水で薄めても屡々熱いほどで)、年間60リットルの石油使用で済んでいる。
また煮炊きでも春からは庭の焚き火用かまどを使うため、毎月のプロパンガス使用も1立方メートル程と最小限である。
電気もお金をかければ、今すぐにでも電力オフグリットは可能であるが、それでは目標の趣旨とは異なるため容易いものではない。
しかしそれでも、現在100ワットのソーラーパネル2枚を物置小屋の屋根に付け、家の通常の照明は下の写真で見るように、全体で3万円程の初期費用だけで殆どまかなうまでに来ている。
もっとも最初は太陽光で製造し、チャージコントローラーで自動車バッテリーに充電した12V直流電力を、インバータで通常の交流100Vに変換して使用しようとしたため、洗面所の60W電球1個で数時間で照明が消えるというお粗末な出だしだった。
現在の我家の基本的照明は100ワットソラーパネルの2回線とし、各々の回線に9個の3.8ワット12V直流LEDでまかなうまでに来ている(3,8ワットLEDは通常50ワットの明るさがある)。
もっとも雨の日が何日も続くとバッテリー電圧が下がり11ボルトを割るまで下がると、チャージコントローラーが機能しなくなるため、各部屋にスイッチを切れるようにして節電と充電に気を使っている。
それゆえ既に半年を経ているが、停電したことは2回ほどで済んでいる。
もっとも照明以外の冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの電化製品使用にはインバータ使用は不可欠なため、少なくとも1キロワット程の太陽光パネルが必要であり、その充電も自動車バッテリーで済ますわけにはいかないため、もう少し時間がかかると思っている。
それでも年々太陽光パネルや10年程使用可能なリチウムバッテリーも安くなって来ているので、全初期費用10万円以内で、我家のオフグリッドを報告できる日もそれほど遠くないと確信している。

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母屋各部屋に3個ライトを配線

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私の寝起きする念願の1丈の小部屋

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庭の畑に面する物置

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井戸の上に載せたバッテリーとチャージコントローラー