(142)タイタニック日本のないことを願って(7)中東原発輸出のイノセントは核戦争の引き金を引くことだ!

今回の安部首相の中東外交で、4基の日本企業の受注がなされたトルコとの政府間合意がなされただけでなく、サウジアラビアアラブ首長国連邦原子力協定が結ばれた。
それは、世界の市民が福島原発事故後に脱原発を希求し、国内においては事故の検証もされていないにもかかわらず、なし崩し的に原発ルネッサンスを推進するものである。
しかもそれは、原発テロを誘発するものだ。
現在の中東はイランの原発ウラン濃縮を通して核開発が推し進められるなかで、ドイツではイスラエルとアラブ周辺諸国との核戦争が強く懸念されている(注1)。
それはイスラエルが1950年代よりフランスの協力で南部ネゲブ砂漠に核関連施設を建設し、400程度の核弾頭を保有すると見られるからだ(注2)。
しかもトルコではアルメニア人やクルド人などの民族浄化が繰り返されて来ており、パレスチナではイスラエルの不条理な爆撃に抗議する自爆テロが日常化している。
そうした険悪な状況のなかで原発テロに全くイノセントな日本が、将来の電気料金担保で建設費を出し、管理運営まで請け負っていくことは、ドイツの視点から見れば狂気の沙汰以外の何者でもない。
特にアルカイダヒズボラなどのアラブゲリラが2006年から使用する持ち運び可能なロケット砲は、下のZDFフィルムで見るように、2キロ離れた地点から5メートルの鉄筋コンクリートを貫通することが可能だ。

このような原発テロに対しフィルムで見るように、ドイツは無防備であることを環境大臣も認め、2010年の原発運転期間延長に際しては、政府憲法裁判官も国民を無防備で長期にさらすことを憲法違反だと述べている。

しかもイスラエルは隣国からのロケット砲撃被害に対して、被害の10倍とも言われる報復爆撃を与えている。
それはパレスチナの人たちにとって自爆テロも辞さない不条理であり、原発が建設されれば、格好のロケット砲の標的とされることは明白だ。
それにもかかわらず現在の新重商主義(究極的に新自由主義と一致)は、70年代をリフレーンするかのように原発輸出でもエコノミックアニマルであることを求めているが、余りにもイノセントであり無謀である。
何故なら、中東での原発テロは多くの日本人関係者を犠牲にするだけでなく、核戦争の引き金を引くものであり、人類を滅亡に導くものであるからだ。

(注1)
南ドイツ新聞2012年9月24日
http://www.sueddeutsche.de/politik/atomstreit-zwischen-israel-und-iran-gefaehrliches-kriegsgerede-1.1476420

Atomstreit zwischen Israel und Iran Gefährliches Kriegsgerede イスラエルとイラン間の核衝突の危険な戦争談話
Wenn alle vom Krieg sprechen, genügt ein Funke und er bricht aus. Seit mehr als einem Jahr versetzen fast täglich Warnungen aus Israel und Gegendrohungen aus Iran die regionale und internationale Politik in Unruhe. Nun ist der Westen gefordert, trotz US-Wahlkampf und Euro-Krise wieder zum Vermittler zu werden.
皆が戦争について語るとき、火花は十分であり、戦争は突発する。一年以上前からイスラエルの警告と対抗する脅しが地域及び国際政治を不安に陥れている。今西ヨーロッパ諸国は、アメリカの大統領選挙やユーロ危機にもかかわらず、仲介者となることが求められている。

南ドイツ新聞2012年11月6日
http://www.sueddeutsche.de/politik/israels-atomkonflikt-mit-iran-ich-bin-bereit-den-knopf-zu-druecken-1.1514968
Israels Atomkonflikt mit Iran "Ich bin bereit, den Knopf zu drücken" イランとのイスラエルの核衝突「私はボタンを押す用意がある」

Israels Premier Netanjahu hat in einem Fernsehinterview seinen Willen demonstriert, die iranischen Atomanlagen anzugreifen - auch ohne ausländische Unterstützung. Schon 2010 soll laut Medienberichten ein Militärschlag vorbereitet worden sein. Für diese Aussage wählte Netanjahu einen heiklen Zeitpunkt.
イスラエル首相ネタニヤフはテレビのインタビュで、他国の支持なしでもイランの核施設を攻撃する意志を表明した。既に2010年にメディア報道によれば軍事攻撃が用意できている。この発言でメタニヤフは微妙な点に触れている。

(注2)アメリカ空軍航空大学の専門家(Warner D.Farr)は、1997年においてイスラエルの核弾頭を400以上と見積っている。
http://www.au.af.mil/au/awc/awcgate/cpc-pubs/farr.htm