(201)ドイツメディアから考える今2・・・原発テロと集団的自衛権 後編

後半フィルムで見るようにドイツでも原発の安全性に全ての責任を持つ連邦環境省は、1992年の原発施設に対する武器の安全性テストで、原発推進政策を最優先させていた。

何故なら当時のドイツは、東西ドイツ統一以降なだれ込んできた新自由主義にコール政権が支配され、原発政策を推進するために最終処分場ゴアレーベン決定(地下水の侵入など危険性を立証する多くのデータ無視)や原発施設の安全性認可が不可欠であったからだ。

2011年に脱原発宣言を世界に公言した現在のドイツでは、再生可能エネルギーへのエネルギー転換が進むことで新自由主義が見直され、これまでなおざりにされてきた原発施設の安全性に違法判決が出たと言えよう。
すなわちこのZDFフィルムが検証するように、原発施設はテロ攻撃に全く無防備である。
しかし原発再稼働を希求する日本では、前回のNHKスペシャルの議論のように無防備さが無視されている。
何故なら国民の安全性よりも、原発海外輸出に見るような経済進出のために、祖父岸信介が願望していた“自主軍備確立”で平和憲法を葬りたいからに他ならない。

ドイツの30言語で世界に発信する国際放送ドイチェ・ヴェレは、2014年2月14日の記事「日本は自衛権を拡大する」では、「安倍晋三首相は日本に憲法の新解釈によって集団的自衛権を選択させようとしている。安倍内閣はそれで、メディアや学校同様にナショナリズムを仕上げようとしている」と世界に報道していた(注1)。
そしてそれは、A級戦犯容疑者で1950年代末首相の祖父岸信介の願望であったことが解説されていた。
まさにそれがドイツから見た日本であり、立憲主義国家(民主主義国家)が時の内閣の新解釈によって、憲法も改正せず日本の象徴である憲法9条を葬ることなどあり得ないことであり、ナショナリズム国家以外の何者でもないと、嘗てのナチズムの反省から警告しているのである。

(注1)http://www.dw.de/japan-verlangt-selbstverteidigungsrecht/a-17430274

Japan verlangt Selbstverteidigungsrecht
Premierminister Shinzo Abe will Japan durch eine Neuinterpretation der Verfassung das Recht auf kollektive Selbstverteidigung gewähren. Seine Regierung versucht auch, Medien und Schulen auf Nationalismus zu trimmen.
日本は自衛権を拡大する
安倍晋三首相は日本に憲法の新解釈によって集団的自衛権を選択させようとしている。安倍内閣はそれで、メディアや学校同様にナショナリズムを仕上げようとしている。

Japans konservativer Regierungschef hat die gleichen politischen Ideale, die schon das Handeln seines Großvaters Nobusuke Kishi als Premierminister Ende der fünfziger Jahre leiteten: den Pazifismus der Verfassung entschärfen, das Verbot der kollektiven Selbstverteidigung aufheben, das Militärbündnis mit den USA stärken und die Jugend zum Patriotismus erziehen.
日本の保守政権首相は、1950年代末の首相、祖父の岸信介の企てた同じ政治的理念を持っている。すなわち憲法の平和主義を葬り、集団的自衛権の禁止を破棄し、アメリカとの軍事同盟を強化し、若者に愛国心を育む願望である。
Am Tag seiner Amtseinführung zu Weihnachten 2012 besuchte Abe das Grab von Kishi, der von den USA wegen seines Amts als Industrieminister im Kriegskabinett einige Zeit des Kriegsverbrechertums der A-Klasse verdächtigt wurde. Danach vertrat Kishi konservative und nationalistische Positionen. Sein Großvater habe den Sicherheitsvertrag mit den USA revidieren können, sagte Abe voller Bewunderung. "Ich möchte seinen Wunsch vollenden, Japan wirklich unabhängig zu machen."
2012年12月24日クリスマスの内閣就任の日に、安倍首相は祖父を墓参した。祖父岸信介は戦争内閣産業大臣であったことからアメリカによってA級戦犯の容疑がかけられた。その後岸は保守でナショナリストの立場を堅持した。祖父がアメリカとの安全保障条約を改定し得たことを、安倍首相は満面の賞賛で語り、以下のように述べた。
「私は、日本が本当に自主軍備するように、祖父の願望を実現したい」