(275)世界危機第13回『地球2100年7−5』(地球冷却技術行使)・成長至上主義が日本を滅ぼす3(2016年の歴史的転換点)

2070年地球温暖化は予想された最悪のシナリオで進行するだけでなく、北極やグリーンランドの永久凍土が溶け出したことから、温室効果二酸化炭素の20倍を超えるメタンの大量放出で激化し(既に4度の上昇で3フィートの海面上昇)、さらに10年以内にすべてのグリーンランド氷河がなくなることで、7メートル以上の海面上昇が現実化することから、地球冷却技術行使という最後の賭けにでる。
すなわち世界中に二酸化硫黄のミストをジェット機でばら撒き、地球全体を太陽光から遮蔽することでこれまでとは反対に冷却化をはかる。
しかし二酸化硫黄ミストは生き物を放射線の被曝から守るオゾン層燃焼を生じ、中止を余儀なくされる。
そのため再び海面上昇が激化していく。
1975年巨大台風がニューヨークに迫るなかで、高さの嵩上げされた巨大障壁の門が閉じられるが、強風で3つの門のうちの1つが半開きで止まる。
そのため決死隊が編成され、技術者のジョシュもその隊員に選ばれ、「行かないでくれ」というルーシーの必死の頼みにも関わらず任務遂行に向かう。

今回のフィルムの終わりには、ABC放送が制作した『地球2100年』は単なるサイエンスフィクション映画ではなく、世界の権威ある学者や思想家の研究資料に基づいたものであることが解説され、膨大な資料へのアクセスも披露されている。

危惧されていた現在の地球温暖化への取組COP21は、辛うじて最小限の先進国と途上国の合意ができた。
悲観的に見れば玉虫色の合意であり、5年間先送りされたという見方も出来ようが、すべての国が削減を決意表明したことは、具体的削減への第一歩といえよう。
それが育つか、再び育たないまま見殺しにされるかは、世界の2016年の取り組みにかかっている。

成長至上主義が日本を滅ぼす3(2016年の歴史的転換点)
公明党が消費税軽減税率を守りぬいたことは、市民の視点から見れば快挙と言えるだろう。
しかしその裏側には最早それを守りぬくことなしには、大阪などの2016年参議院選挙区で議席を失うことが確実視されるほど、市民層の暮らしが困窮しているからに他ならない。
前回述べた新たな三本の矢では、介護離職ゼロが目指されているが、現実は介護現場での重労働、低賃金から離職が激化しているだけでなく、ハコモノの特養増設は急ピッチで進行しているが、新たに増設した施設の介護職員が集まらないため放置されたままの施設が目立ってきている。
その理由は公共に奉仕する職業にも関わらず、労働は夜勤も含め公務員の何倍も重労働でありながら、報酬は公務員の半分であり、財源が介護保険に制限されるため昇給も殆ど見込めないからだ。

また出生率に関しても、子供に教育の均等な機会を与えようとすれば莫大な費用がかかり、生まれてくる子供に惨めな思いをさせてまで出生を望まないのが本音である。
しかも国公立大学は、現在の50万円を超える授業業料から長期的に私立大学並みの大幅な値上げを打ち出している。
それが政府の考える(悪)平等であり、有名国立大学入学者家庭の所得平均が1000万円近い高額であることを根拠にするほど、恐ろしく貧困な競争原理を推進しようとしている。
本来は高額所得に偏ること自体が、教育の機会平等が現実的には無視されているリトマス試験紙であり、ドイツのようにすべての教育の無料料化は最早1200兆円の巨額の債務を将来世代に押付ける国の責務である(ドイツでは2005年以降大学授業料が多くの州で開始さたが、州選挙で教育の機会均等を損なうとして廃止され、2015年現在全ての州で再び無料化が実現されている。フランスでは一貫して無料であり、有料化に走ったEU諸国でも少なくとも軽減化が求められている)。

それにも関わらず断固実践されているは巨額な法人税減税であり、輸出産業の国際競争力を高めることが、国民を豊かにする絶対善として推し進められている。
それは結果として、地域を支える赤字企業を適正課税(標準課税)でスクラップするものであり、国民全体をグローバルな賃金ボトム競争に押しやるもの以外の何者でもない。
しかも海外進出の大企業を至れり尽くせりで支援することは、企業が本来有する創意工夫を枯渇させ、成長至上主義の独り歩きを許すことにも繋がっている。

それが現在の日本が歩始めている新重商主義であり、特定秘密法案や集団自衛権容認で戦争へ巻き込むことも可能とする安全保障であり、そこでは長年日本が努めてきた核拡散防止条約をインドへの原発輸出で自ら無視するだけでなく、石炭火力で未来さえ売ろうとしている。
そのようなファシズム再来を希望ある歴史的転換点にできるとすれば、2016年しかないと思っている。
詳細については次回に述べたい。