(450)民主主義は世界を救えるか(10)ZDFが警鐘する核戦争への高まり(2)・為替相場がなくなる日(5)

ZDFが警鐘する核戦争への高まり(2)

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核戦争への高まり パスワードneko3821

[最初にこのフィルムが公開を拒否されたため、同好者が見れるパスワード保護のシステム利用で見れるようにした。

ZDFが番組を世界に公開しているのは、私の理解では、世界の人びとに見てもらいたいからである。それは二度とナチズムの過ちを繰り返さないためであり、ドイツが戦後推し進めてきた民主主義がそうさせているのである。

もっとも最近はドイツ国内でしか見られない番組も僅かには出てきたのも確かであり、そのような番組は、ドイツの考える正義が国益優先の世界では受入れられないからでもある。

しかし今回の核戦争を警鐘するフィルムは世界に報道されており、何らかの配慮から著作権保護がかけられたものと理解する。

何故ならこれまで何百というZDFフィルムに、ドイツの考える正義に賛同し、また自らが学ぶために字幕を付けてきたが、公開を拒否されたことがなかったからである]

 

 今回のフィルム冒頭で、ロシアの核兵器に世界で最も精通していると言われる専門家ハンス・クリステンセンが、プチンの核兵器使用命令はあり得ると肯定していることから、現在の世界がいかに危うい状況にあるか伺い知れるだろう。

しかも8月5日から数日ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所近くでの双方の攻撃が伝えられ、世界に緊張が走った。

何故ならロシアは、占拠した原発付近の攻撃がないと考え、軍事の拠点の一つとしたことから、ウクライナ軍が攻撃した模様であるが、一つ間違えばヨーロッパ最大の原発での事故に繋がるからである。

このような危ういことが日常化してきたのは、戦闘の膠着化で消耗してきたからであり、このような危うい終わりなき戦争を続けて行けば、何時チェルノブイリを超える原発事故が起きてもおかしくない。

また欧米の軍事支援でロシアの敗北が濃厚となれば、核使用命令は必至である。

 そのような暗黙の危うさが世界に漂っていることから、一旦は見送られた3月末のイスタンブール和平案が再び浮上して来ていることも確かである。

7月13日のZDFはウクライナ穀物輸出でのイスタンブール会談の合意を伝え、最初の突破口と評価しており、翌日の報道ではアントニオ・グテーレス国連事務総長の「決定的な一歩が踏み出された」という見解が載せられている。

イスタンブール和平案とは、ウクライナNATO加盟を断念し、永世中立国とする案であり、ウクライナの安全保障は米国、ロシア、中国、フランス、英国、の国連安保理常任理事国に加えて、カナダ、ドイツ、イスラエル、イタリア、ポーランド、トルコの5カ国によって守られると報道されている。

もしこの和平案が実現すれば、ウクライナはこれらの10カ国から派遣される国連軍監視下の永世中立国になることであり、様々に多難も予想される。

しかし和平の第一歩であり、様々な問題を話合いで解決する方向に導き、世界に開くことができれば、世界平和構築の第一歩となるだけでなく、その先には自ずと核のない世界も見えて来よう。

尚このフィルム後半では、ドイツ連邦軍がいかに装備されていないかが描かれているが、平和を追求する民主主義国家では当然であり、寧ろ敢えて連邦軍の弱体化を図って来たからである。

すなわち冷戦下で49万人の兵士を有したドイツ連邦軍も、徴兵制廃止を決定した2011年には25万人台となり、その後もメルケル政権下で軍備削減が絶えず為されてきたのであった。

特に2013年末に誕生した第3次メルケル政権では、ドイツ連邦軍の最高指揮官の国防大臣に7人の母親でもあるウルズラ・フォンデ・アライエン(政界に入る前は病院の産婦人科医であり、現在のEU委員会委員長)を登用し、連邦軍民主化を推し進めている。

ウルズラ・フォン・デアライエン国防大臣は年頭会見演説で、“家庭に優しい”軍になることを目標に掲げ、週3日制もしくは4日制の短時間労働導入、育児や介護拡充などの政策を表明したことで、世界から注目を浴びた。

しかしロシアの力による無法な侵攻に対して、現在は抑止のため、そして和平交渉をするにしても連邦軍の強化が求められているのであり、本来はこのようなウクライナ戦争が起きない前に欧米とロシアはNATO東方拡大について、開かれた問題解消委員会を創設して、未来像を描くなかで長期的解決を模索して行くべきであった。

そのような姿勢で絶えず努力してきたのはメルケル元首相であり、メルケルが欧州を牽引して来たからこそ平和が維持されて来たとも言えるだろう。

 

為替相場がなくなる日(未来シナリオ5)

 

 各国で地域の自己決定権を問う国民国民選挙が実施され承認されれば、現在の市場経済を支配する側は生き残るために、大都市を含む地域が国連地域政府連合に加入する選択をあらゆる手段で阻止する。

例えば選挙で期待できない生産労働者を生産工場の海外移転や、低賃金のエッセンシャルワークを選挙権のない外国人に委ねるなどあらゆる手段を使えば、大都会政府が従来の国民国家に属するよう死守することは可能である。

すなわち現在の市場経済を支配する側は、既に確保した最も安い栽培地、生産地、資源地域から大都会消費の循環維持を優先させ、問題の湧き上がる世界の無数の地域を寧ろ切り捨てることで、危機を克服する以外延命の道はないと判断したからである。

もっとも他の地域政府も、国連地域政府連合に加盟したからと言って、最初から国民国家から独立するわけでない。

国民国家からの独立は、国連の指導に沿って自助経済に向けて地産地消税導入し、地域の既存の企業を多様な協同組合形態へ転換する段階で、必然的に国民国家との対立するなかで為されるものである。

もちろん国連指導部では、あらゆる最悪の場合を想定しており、対立かエスカレートする場合専門機関の仲裁で、国民国家に認めさせるあらゆる手段が講じられている。

また地域政府が国連地域連合に加盟した段階で、地域政府通貨導入は不可欠で、地域での使用は地域政府通貨だけに限定されなくてはならない。何故なら地域での国民国家貨幣の使用が自由に可能であれば、地域の市場経済支配は継続されるからだ。

それ故国連地域政府連合に加盟する地方政府は、格差の出来うる限り小さい社会が求められることから、国民国家通貨と地域政府通貨の地域市民の年間の等価交換は一定額に限定し、残った国民国家通貨も地域外からの商品購入に、年間使用額を超えない範囲で充てられている。

それは、国民国家から個人の自由を侵害するものだと非難されているが、地域政府では何故そのような規制が自助経済を実現するために必要か、さらには個人の自由と平等を守るために必要か、国連地方政府連合の下に市民の誰もが理解できるよう説明に努めている。

それでも理解してもらえない場合は、お金が自由に使え、規制なしの自由を謳い文句としている大都市への移転も自由である。

もっとも大都会の規制なき自由の謳い文句は、表層的なものである。メディアは相変わらず記者クラブの縛りで益々規制されており、大都会市民はネット検索操作で国民国家批判や国連地域政府連合報道が届かない仕組が作られているからだ。

また道路の至る所に監視カメラが設置されているだけでなく、各家庭の通信回線も人工知能(AI)盗聴が徹底されており、AIが国民国家の自由侵害容疑者と判断する者は治安と自由を守る警察保護局から厳しい呼び出しがかかっている。

従って規制なしの自由とは、お金を使う自由であり、またお金を稼ぐ自由であり、大都会にはお金儲けの投資コンサルタントが溢れているだけでなく、カジノやミニカジノもどきが溢れ、人間の欲望を限りなく肥大させている。

また自由診療謳歌されており、ゲノム編集の自由化であらゆる病気が克服され、臓器再生で若返ることもできるかのように言われているが、実際は試作段階の継続が誇大広告されているに過ぎない。

しかも感染症は、スーパーからレストランまであらゆる施設にはウイルスゼロのデジタル表示で安全と自由の保証が為されているように見えるが、絶えずパンデミック襲来が日常化している。

何故なら経済優先でマスク規制さえ昔のものとなり、空港からは絶えず新たな感染症変異種が自由に到来し、デジタル表示ゼロが対応できていないからだ。

確かに大都会は外見は明るく華やかであり、グローバル資本主義が支配する生産地からの外国人エッセンシャルワーカーを除き、大都会には裕福者が溢れ、享楽に明け暮れている。

しかし裕福者たちのなかでは、四六時中弱肉強食の競争が為されており、金融破綻者も決して少なくない。

しかし金融破綻者は過酷な未来が待ち受けているわけではなく、大都会に最早住めないことから、先祖伝来地など縁のある地域政府への移住を決めた時から、逆に禍転じて未来が開かれている。

そのように禍転じて未来が開かれるのは、大都会の金融破綻者から大都会から逃亡した外国人労働者、さらには大都会からの逃げ出してきた感染症患者に至るまで、誰も見捨てず、入国を拒まないのが、国連地域政府連合の理念であり、鉄則であるからだ。

従ってどの地域政府も四方の入口には、入国移住センターと感染症収容隔離病棟が造られている。そこでは息も絶え絶えに辿り着いた感染症患者でも、AIとデジタル化ロボット技術の駆使による医療スタッフの心のこもった手厚い診療で、快復するまで看護されている。

入国移住センターの提供する内容も時代によって進化しており、地産地消税などによって自助経済がほぼ完成する2040年頃においては、国連地域政府連合が描いた未来像に近づきつつある。

具体的には入国移住者が地域で有機農作物の自給自足という農的暮らしを受入れる者であれば、地域市民同様に基本的衣食住を保証するベーシックインカムが支給される。それ以上の豊かさを望む者は自由勤務で稼ぐことも自由であり、それを望まないで、趣味を生かして地域の文化活動に貢献することも自由である。

もちろん専門技術所有者の農的暮らしをせず、仕事人間の暮らしを選択することも自由であるが、そのような人も最初はそうであっても、移住者の誰もが最終的に農的暮らし受入れるだけでなく、自由な農的暮らしのなかで喜びと生きがいを見出している。

そのような暮らしを生きがいを持って楽しむことができるのは、一つには地域がエネルギー自立によって太陽(太陽光発電風力発電バイオマス発電)からの過剰なエネルギーが絶えず水素として蓄積されるようになったからである。

また一つには、現在の社会は金儲けに関与するブルシット・ジョブが溢れており(85%にも達すると言われている)、暮らしに欠かせないエッセンシャル・ジョブは15%ほどで、AIとデジタル化を駆使すれば、ケインズが予測したように既に人間の労働時間は週十数時間で十分であるまでに達しており、利益追求のない様々な協同組合形態が運営する自助経済社会では、ブルシット・ジョブがなくなるからだ。