(186)地域分散型自給社会が創る理想世界への道3・・今喫緊に、取り組まなくてはならない平和へのベクトル


2014年1月12日シュピーゲル・オンラインが伝える家庭に優しいドイツ連邦軍

世界は機械文明の恩典と功罪をもたらした化石燃料支配の時代から、ソラーエネルギーで解き放たれる時代へ転換しようとしている。
しかし世界の大部分は化石燃料支配の既得権益から転換への新たな道を採ろうとせず、競争を激化させることで乗り越えようとしている。
後発の中国は、軍事力強化で生き延びようとしている。
それに対抗するかのように、協議中の尖閣諸島を国の所有化で一歩踏み出したのは日本だった。
衝突は誰もが懸念することであり、中国は既に十数年前から全世界を滅ぼす核弾頭を保有していることから、開戦は人類を滅ぼすと言っても過言ではない。
中国はそのような自らも滅ぼす道をとらないだろうと、日本が譲ることなくこのまま強硬路線を突き進めば、必ずや戦争が始まる。
何故なら、中国の指導者たちは日本を遥かに上回る鉄の規律の中国共産党官僚たちであり、国民一人一人の幸せよりも官僚組織自らの利益を含めた国益を最優先し、立ち止まることは共産党官僚支配の崩壊を意味するからだ。
戦争の始まりは、数時間で日本を世界地図から消すことにもなりかねない。
既にそのような日本へのボタンが押されたとしても、アメリカはボタンを押さないだろう、と言った憶測さえ流れている。
現在の益々悪化する状況で日本が採るべきは、軍備強化ではなく、中国との共生の仕組みを構築する平和外交以外にない。
そのためには、尖閣諸島領有権を百年協議で解決するまで国連に委託する寛容さが必要である。
また尖閣諸島周辺の共同開発にしても、太平洋戦争の反省から中国発展に寄与し、中国の民主化に貢献するといった寛大さが必要である。
そのような中国との共同開発は、尖閣諸島を現在の軍拡競争の場から共生の場に変え、従来から構想されているEUのようなアジア共同体構築に一歩踏み出すことである。
それこそが、戦後絶えず沖縄にだけ基地を押しつけてきた本質的解決を図る道でもある。
何故なら、アジア共同体という平和共生の仕組みが構築されれば、当初の沖縄基地のグアム移転への道も開かれるからだ。

エネルギー転換が進むドイツでは、同様に軍縮も年々進み、冷戦下では49万人の兵士を有したドイツ連邦軍も徴兵制廃止を決定した2011年7月には25万人となり、2014年1月1日現在18万5921人の兵士も7万5000人まで減らしていくことを明言している。

戦後ドイツも日本同様非武装化政策が採られていたが、朝鮮戦争後東と西の緊張が高まり、ソ連支配下東ドイツドイツ民主共和国)が再軍備したことから、1955年基本法で防衛だけを許可する再軍備でドイツ連邦軍を創設した。
その際戦前のナチズムの反省から、軍に市民(男性)が関与することが求められ、徴兵制が導入された(2001年には女性にも自由意思で軍に関与することが認められ、2014年現在1万8828人の女性兵士が平和維持活動などの軍務に就いている)。
防衛だけに限定されたドイツ連邦軍は、NATO下でのセルビア空爆参加を違憲として問われたこともあったが,その目的は一貫して平和維持を図ることであり、2050年のエネルギー転換完了時には益々軍縮が実現され得ると了承されている。

それ故昨年末に誕生した第3次メルケル政権では、ドイツ連邦軍の最高指揮官でもある国防大臣に7人の母親でもあるウルズラ・フォンデアライエン(55歳、前の保健省大臣、上の写真中央)を登用した。
ウルズラ・フォンデアライエン国防大臣は年頭の会見で、“家庭に優しい”軍になることを目標に掲げ、週3日制もしくは4日制の短時間労働導入、育児や介護拡充などの政策を表明している(注1)。

もっともドイツ連邦軍が近代装備の追及をしていないわけではないが、あくまでも目標は基本法にある平和維持であり、長期展望に立てば世界平和の構築である。
それが今回の第二次メルケル政権で育児支援や男性の育児参加などで保健改革を成功させたウルズラ・フォンデアライエン(CDU政治家になる前は産婦人科医)の国防大臣登用理由であり、限りなくベクトルはエネルギー転換後の世界平和に向いている。

1月18日の琉球新報社説は、米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長の在日米軍駐留見直し論を社説で取り上げ、米国外での米軍の長期大規模駐留は住民との摩擦を招くとして「違う方向性がないか再考の必要がある」と述べたことを伝え、在沖海兵隊の駐留廃止を提起した。
また19日の辺野古移設を問う名護市長選で、500億円の札束が積まれたにも関わらず市民の賢明な選択を受けて、20日の社説「稲嶺氏再選 誇り高い歴史的審判 日米は辺野古を断念せよ」では、「日米両政府は名護市の民主主義と自己決定権を尊重し、辺野古移設を断念すべきだ。普天間の危険性除去策も、県民が求める普天間飛行場の閉鎖・撤去、県外・国外移設こそ早道だと認識すべきだ」と訴えている。

今こそ日本は限りなく戦争へ向けたベクトルを、ドイツに見習い、限りなく平和に向けるべきだ。
尖閣諸島の領有権を国連委託する寛容さで、日本側から協議再開に向けて努力しなくてはならない。
尖閣諸島周辺でのポジティブな共同開発は平和共生構築のアジア共同体の一里塚であり、戦後沖縄だけに押し付けてきた基地をなくすことであり、理想世界構築の第一歩でもある。

(注1)2014年1月12日シュピーゲル・オンライン
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/ursula-von-der-leyen-will-bundeswehr-familienfreundlicher-machen-a-943066.html
下に翻訳しておきます。

Neue Verteidigungsministerin 新しい女性国防大
Wie von der Leyen die Bundeswehr reformieren will
フォンデアライエンが望む連邦軍改革のあり方
Die Bundeswehr soll ein attraktiverer Arbeitgeber werden. Verteidigungsministerin von der Leyen will daher Teilzeitarbeit erleichtern und die Angebote zur Kinderbetreuung ausbauen. Schon bald sollen Tagesmütter in die Kasernen einrücken.
連邦軍は魅力的な雇用者になるべきである。フォンデアライエン国防大臣はそれゆえ短縮時間勤務導入し、育児支援の拡充を望んでいる。既に営舎には保母が入っていると噂されている。
Berlin - Verteidigungsministerin Ursula von der Leyen will die Bundeswehr zu einem familienfreundlichen Unternehmen umbauen. "Mein Ziel ist es, die Bundeswehr zu einem der attraktivsten Arbeitgeber in Deutschland zu machen. Das wichtigste Thema ist dabei die Vereinbarkeit von Dienst und Familie", sagte die CDU-Politikerin der "Bild am Sonntag".
ベルリン発・・ウルズラ・フォンデアライエン国防大臣は連邦軍を家庭に優しい職場に改造しようとしている。「私の目標はドイツ連邦軍を魅力的雇用者にすることであり、最も重要なテーマは勤務と家庭の調和です」と、CDUの女性政治家はヴィルド紙日曜版で語っている。
Die Truppe müsse Dienst- und Familienzeiten besser aufeinander abstimmen. "Unsere Soldatinnen und Soldaten lieben ihren Beruf, aber sie möchten auch, dass ihre Ehen halten und sie ein glückliches Familienleben führen."
軍隊は勤務時間と家庭時間が相互によりよく調和していなければならない。「私たちドイツの女性及び男性兵士は職業を愛すると同時に、夫婦生活を維持し、幸せな家庭生活を送ることを望みます」
Die familienunfreundlichen Bedingungen in der Bundeswehr sind ein häufiger Kritikpunkt von Soldaten. Im vergangenen Jahr gingen beim Wehrbeauftragten der Bundesregierung, Hellmut Königshaus, so viele Beschwerden ein wie nie zuvor.
連邦軍は家庭に優しい点では、はしばしば兵士から批判されており、昨年の政府国防委員ヘルムート・ケニグスハウスの下では以前にはないほど多くの苦情が出ていた。
Automatische Versetzungen kommen auf den Prüfstand
自動的転勤が見直される
Künftig sollen die Armeeangehörigen nach dem Willen der Ministerin ganz selbstverständlich Teilzeitmöglichkeiten nutzen können: "Wer etwa in der Familienphase die Option einer Drei- oder Viertagewoche nutzt, muss weiter Karriereperspektiven haben. Ich denke auch an Lebensarbeitszeitkonten, auf die Überstunden eingezahlt werden und von denen Freizeiten abgehoben werden können, sei es für die Betreuung von kleinen Kindern oder alter Eltern."
今後軍構成員は大臣の意思に従って、全て当然のことのように短時間制が利用できるだろう。「例えば家庭配慮で週3日あるいは4日制を利用するものは、将来の経歴見通しが立たなければなりません。私は過剰時間が預金され、そこから自由時間が引き下ろされ得る生涯労働時間口座を考えており、幼児や高齢の両親の世話で支持されるでしょう」。
Die häufigen Versetzungen der Soldaten will von der Leyen auf das Notwendige begrenzen: "Karriere bei der Bundeswehr darf im Regelfall nicht bedeuten: immer im Dienst und alle paar Jahre ein Umzug." Da die Lebenspartner der Soldaten häufig selbst berufstätig seien, trügen Versetzungen große Spannungen in die Familien.
フォンデアライエンは兵士の頻繁な転勤を当然制限しようとしている。「連邦軍の経歴は、生涯勤務や2,3年ごとの移転が通例であってはなりません」。兵士の伴侶はしばしば自ら職業に就いているので、転勤は家庭に大きな緊張をかける。
"Ich werde mir das System der nahezu automatischen Versetzungen alle zwei bis drei Jahre genau ansehen", kündigte von der Leyen an. "Wenn jemand eine steile Karriere macht, dann geht das auch in großen Wirtschaftskonzernen nicht ohne häufige Positions- und Ortswechsel. Aber die Frage ist, ob dies für die große Mehrheit der Soldatinnen und Soldaten immer sinnvoll ist."
「私は自動的に2,3年ごとの転勤のシステムを点検するでしょう」とフォンデアライエンは伝え、「もし大変な任務経歴を持つなら、その後は大企業と同じように頻繁な職場換えや転勤なしになるでしょう。重要なことは、兵士の大きな利点として有意義であるかどうかです」と述べている。
Als eine der ersten Maßnahmen plant von der Leyen den Ausbau der Kinderbetreuung in den Kasernen. "Wir sollten gerade für die Betreuung in Randzeiten sehr viel stärker mit Tagesmüttern arbeiten", sagte die Ministerin. "Denn das ist eine besonders flexible Form der Kinderbetreuung, und wir haben den großen Vorteil, dass es in vielen Kasernen den Platz dafür gibt."
フォンデアライエンは最初の措置として、兵舎内の幼児世話施設建設を計画している。「私たちはサービスエリアの保母の世話でより壮健に働くべきです。何故なら幼児世話が非常にフレキシブルになり、多くの兵舎内にそのための場所があるのは大きなメリットであるからです」と大臣は述べている。