(233)ドイツメディアから考える今33・『エネルギー転換の時代に生きる6−4(買取依存克服)』・ドイツが伝える日本の積極的平和主義

今回は、ラウデライ社のホルガ―社長の巨大電力会社を倒すという発言から始まる。
何故ならホルガ―社長は技術者であり、地域分散型技術が中央集中型技術と共存できないこと、すなわち新しい再生可能エネルギー産業が従来の化石燃料エネルギー産業と共存できない事を認識しているからに他ならない。
もっともそれは、電力会社で買うより安い自然エネルギーを市民自身が自ら製造し、環境に優しいエコな暮らしへと導くことで実現しようとしているのである。
その実現は、借家のベランダ発電基設置の人や自宅の屋根発電の主婦が満足気に語るように成功しつつあると言えよう。
もはやそこでは、固定買取制度に依存しなくてもよく、市民が電気を電力会社から購入するのではなく、市民の誰もが自ら製造するのも時間の問題である。またベルリンのメガソラー建設していた再生可能エネルギー事業の老舗ともいうパラベル社は、メガソラーが固定買取制度から外されたことから苦境に陥ったが、現在は工場や農場施設の屋根に太陽光パネル発電を設置することが電力会社からの電力購入より経済的に有利になったことから、社長のユルゲン・ヴィルも事業が持続可能になったと誇らしく語っている。
またパラベル社の現場責任者のホルガ―・ルレッスキーは「遂に電気の自給自足がエネルギー転換の原動力になった」と胸をはり、将来は電気料金が安くなることを示唆している。
しかしそれで全て良しではなく、今回の終わりでは新たな問題が提起される。
すなわちブランデンブルク州のマインブルグでは、地域で再生可能エネルギー200%が達成されているにもかかわらず、この地域での電力の70%が他の地域の火力発電で製造されているという問題であり、市役所エネルギー担当主任ランゲ女史より提示される。

ドイツが伝える日本の積極的平和主義
日本はこの1週間イスラム国に拉致された2人の日本人、湯川さんと後藤さんのことで右往左往し続け、既に湯川さんの命はなく、後藤さんの命も今日28日23時ごろと予告され、私自身もこのような人道的支援者の命を奪うイスラム国に怒りを覚えると同時に、後藤さんが人質交換で救出されることを祈るばかりである(湯川さんは民間軍事組織設立のため渡航していたと紹介されているが、事業に失敗した若者が最初そのような目的だったかも知れないが、友人の話では本来優しい性格で、医薬品を提供していたことも伝えられている。それゆえに、平和と弱者の救済を求めるジャーナリスト後藤さんが、危険を承知で助けようとしたように思われる)。

確かにイスラム国のこのような非道なやり方は許されてならないと思うが、このような悲惨な事件の引金を引いたのはアベノミクスの唱える積極的平和主義に他ならない。
日本のメディアは、積極的平和主義とは力による支配であり、逆らうものへの戦争参加であるとハッキリ書かないが(書けないというべきなのだろうが)、ドイツのメディアはハッキリ書いている。
例えば1月20日のドイツ南新聞オンラインは、「イスラム国テロリスト軍団は日本人の人質殺害予告で脅している」という記事で、「日本はイスラム国に対する戦いに参加を望む」という見出しで以下のように紹介している。

Japan will sich an Kampf gegen IS beteiligen 日本はイスラム国に対する戦いに参加を望む 
Die Geiselnahme der zwei Japaner erfolgte zwei Tage nach der Ankündigung der japanischen Regierung, Länder, die mit der Bedrohung durch den IS zu kämpfen haben, mit 200 Millionen Dollar zu unterstützen. Die Mittel dienten der Hilfe für Flüchtlinge, machte Abe bei einer Pressekonferenz in Israel deutlich. "Sollten wir in dieser Region die Ausbreitung des Terrorismus oder die Verbreitung von Massenvernichtungswaffen zulassen, würde die internationale Staatengemeinschaft einen unermesslichen Verlust erleiden."

イスラム国による脅しに戦う周辺国に2億ドルを支援するという日本政府の発言(カイロ発言後)の2日後に、2人の人質事件が起きた。お金は難民支援に使われるとのことであるが、安倍首相はイスラエルの記者会見(19日)でもハッキリ次のように述べている。
「もし私たちがこの地域でテロの拡大、あるいは大量兵器の拡散を許すなら、国際社会は計り知れない損失を被るだろう」

すなはちこの声明は、日本の積極的平和主義とは積極的に戦争に関与することを意味し、ドイツのメディアはハッキリ述べている。

http://www.sueddeutsche.de/politik/terrormiliz-islamischer-staat-is-droht-mit-ermordung-japanischer-geiseln-1.2312456

尚、日本の原発再稼働は何故ありきなのか?の連載は、『エネルギー転換の時代に生きる』終了後にしたいと思います。