(325)時代の終わりに(9) 直近のドイツニュースに見る予兆(1)・沖縄からの叫びと希望(9)

直近のドイツニュースに見る予兆(1)

前回述べたように琉球新報の新垣毅が講演で、公正な報道はドイツだけだと明言するように、私自身もドイツの報道は時の政府に迎合することなく、絶えず公正さを追求していると確信している。
既になぜ現在が「時代の終わり」なのか十分述べて来たこともあり、公正さを追求するドイツの報道に、その予兆を感じてもらいたい思いで、転載を始めることにした(ここでは、主にわかりやすく解説している公共放送ZDF子供ニュースlogo!の直近のニュースから字幕を付けて転載する)。

グーグルへの巨額な罰金(6月27日logo!)

6月27日EU委員会はグーグルがEU競争法(独占禁止法)に反して、消費者を検索エンジンで検索最上位のグーグル系列企業に誘導することで他の企業より有利に導いた理由から、24億2000万ユーロ(約3000億円)の罰金を命じた。
グーグルはこの決定を不服としてEU司法裁判所に上訴の意思を示しているが、グーグルのヨーロッパでの検索エンジン支配率は9割を超えており、今回の命令も12億という膨大なグーグル検索分析結果を踏まえていることから、EU市民、さらには世界市民が納得できる公正さへ変えて行かなくてはならないだろう。
問題は公共性が求められる分野に私企業が進出して、世界の大部分の人が利用しているにもかかわらず、私企業のルールで検索結果を提供していることにある。
今回のEU委員会の罰金命令の背景には、損害を被っているヨーロッパ企業の圧力が感じられるのも事実であるが、本当に問われなくてならないのは検索エンジンの持つ未来への責任である。
グーグル検索エンジンが世界の至るところで利用されており、それは経済的だけでなく思想に対する影響は絶大であり、単に私企業の中立ルールだけでは済まず、ルールの公開性と未来への責任が問われなくてはならないだろう。
すなわち現在の世界は富がひと握りの巨大資本支配に向かっており、検索エンジンも必然的に順応し、新重商主義(現代の植民地主義とも言われている)を推進し、再び世界は戦争へと向かっているからだ。
しかも抑止を求める核保有が肥大し、世界に核兵器が有り余っていることから、一旦スイッチが押されれば世界の破滅も絵空事ではない。

原発廃棄物問題の追求(7月3日logo!)

このニュースも負の側面を先送りし、利益だけを追求して発展してきた現在の産業社会を象徴している。
戦後ナチズムの反省からあらゆる分野で公正さを追求する仕組みを構築したドイツでは、原発神話(安全、安い、クリーン)を崩壊させ、2021年までに脱原発が実現するが、それに伴い原発廃棄物の安全保管が屡報道されている。
今回のニュースは、4大電力企業が原発解体と原発廃棄物をガラス容器に密閉して処分場に運び、安全保管料として国に240億ユーロ(約3兆円)を支払う協定を伝えている。
しかしこの子供ニュースでは、(10万年という)長期間の安全保管費用として余りにも安いのではないかと訴えている。

歓喜の到来を表現するG20サミットデモ(7月6日logo!)

このニュースではハンブルグでデモする人たちについて、彼らはG20に集う政治家たちは富める企業や銀行のために仕えており、貧しい人たちや報われない市民に仕える政治に変えて行くことを望む人たちだと述べている。
そのデモも二つに分かれ、一部の暴力によって変える事を望む過激な人たちと、(非暴力で)平和的に変えて行くことを望む大部分の人たちだと解説している。
平和的に変えて行くことを望む人たちのデモは、踊るデモから演ずるデモまで多様であり、変化への歓喜を演ずる全身泥姿のデモを紹介している。
まさに全身泥姿の人たちが足を引きずりながら強いられるように行進するさまは、若い女性が感想を述べるように、「倒れても、誰も助けない社会」であり、現代の新自由主義社会を象徴している。
そして「全ての人が参加するなら・・・」のナレーションで、歓喜が沸き上がる。
それは、公正で平和な分かち合える世界、新しい時代の始まりに思える。

G20終了後の湧き上がる希望(7月9日logo!)

ハンブルグ繁華街の砦地区(Schauzenviertel)が騒乱で痛々しく破壊されたにも関わらず、5万人を超える市民が世界の公正と平和を実現する政治を求めて大通りを非暴力でデモする映像を見る時、失われていた希望が湧き上がって来る。


沖縄からの叫びと希望(9)・世界に向けた公正さと平和の追求

2012年4月に放映されたこの動画は(注1)、沖縄の基地返還と正義の遂行をオバマ、そして世界に訴えている。
この頃は2009年に鳩山民主党政権が誕生し、失望と落胆の連続とは言え、沖縄基地の県外移設だけでなく、日本の戦後民主主義への期待があった。
しかし2012年12月に安倍自民党政権が誕生し、一直線に戦前の海外進出のための軍事国家へと舵が取られるなかで、日本の戦後の民主主義は幻想であったことが見えて来た。
事実鳩山政権の普天間基地県外移設公約では、官僚支配を露骨に露呈し、外務省はヒラリー・クリントン国務長官からの呼出要請という虚偽報道をし(2015年7月16日の琉球新報が虚偽性を検証)、防衛省は極秘内部文書捏造で徳之島移設を断念させている(2016年2月23日朝日新聞が極秘内部文書掲載)。
そして今、選挙での沖縄の民意を全く無視し、辺野古新基地建設護岸工事や東村高江ヘリパット運用強行の暴挙を、世界に訴えることは最善の力と成り得るだろう。
何故なら公正さと平和を求める沖縄の訴えは、ハンブルクG20サミットで見るように世界市民の願いであるからだ。
その訴えは必ずや世界に拡がり、日本全土にもこだまし、日本もドイツのように官僚支配から官僚奉仕へと転換させ、公正さと平和を追求する社会を創り出す原動力となろう。


(注1)オリジナルな動画『Why Okinawa Japanese sub-titles.mov 』
https://www.youtube.com/watch?v=duMplm1ZaGg