(472)広島からの「核なき世界」への祈り・沖縄から始める「核なき世界」・緑の党への攻撃

広島からの「核なき世界」の祈り

 

 広島からの「核なき世界」の祈りが高まるなかで、同時に世界核戦争の危機が高まっている。何故ならプーチンは核使用もあり得ると世界を脅してきたことから、上の私の見た動画72(2022年放送のNHKスぺシアル『核兵器:恐怖の均衡が崩れる時』を、私の心に響く8分で短縮編集したもの)を見れば、ウクライナ戦争はウクライナ反転攻勢が始まったことから、ロシアの限定的核攻撃が近づいてきていることが理解できるだろう。

 今回の広島でのG7はそのような状況での開催であり、それゆえにゼレンスキー大統領の突然の来日は最初から計画されていたのだろう。なぜならロシアの限定的核攻撃を阻止するには、当事者の出席は欠かせないからである。

 万一ロシアが限定的核攻撃をすれば、欧米NATOもフイルムのシナリオで見るように、それで終わりにするわけには行かないからであり、エスカレーションで人類絶滅の世界核戦争へ繋がる公算が高いからである。

したがってロシアに限定的核攻撃をさせないことが議論され、ウクライナ反転攻勢のやり方が決められたように思われる。例えばウクライナ軍の反転攻勢は時間をかけ、消耗戦でロシア自ら撤退するように追い込んで行くこと、その場合国境線を越えて攻撃しないこと、ウクライナの復興はG7が責任をもって支援することなどが極秘で決められたように思われる。

事実G7首脳に被爆体験を伝えた小倉桂子さんのインタビューでは、伝えたことを話せるだけで、それに対する首脳たちの回答は守秘義務から話せれないと述べたことからも、如何に重要な決定がなされるかが伺える。

もっともこの決定で世界はロシアの限定的核攻撃を回避できたとしても、世界は民主主義より専制主義に転じる国が増え、核拡散が進むなかでは、核戦争の危機が繰り返されよう。

それゆえに世界は、分断を越えて「核なき世界」を決断し、勝ち負けを越えてどのようにしても実現しなくてはならない。

 

沖縄から始める「核なき世界」

 

 著書『永久革命としての民主主義第二部(日本の処方箋)』で述べたように、「核なき世界」の恒久世界平和は沖縄から創り出すことができる。なぜなら嘗ての核基地沖縄には、上の私の見た動画34(2017年放送のNHKスクープドキュメント『沖縄と核』)を見ればわかるように、1967年に広島原爆の70倍の威力を持つメースBが装填された核弾頭が1300発を超えていた事実、そして沖縄返還後も核密約存在の事実から、一部は撤去されても、その多くが現存している可能性が極めて高いからである。

 それは核密約に深くかかわった当時のメルビーン・レアード国務長官の電話取材で(前年九月の亡くなる二か月前の取材)、「日本とアメリカは密約の重要性をお互いに認識していた。我々は日本を守り続けたかった。日本は核兵器を持たず、丸裸なのだから。核を沖縄に持ち込まないのなら、他の場所を探さなければならない。結局日本は沖縄を選んだ。それが日本政府の立場だったよ。公にはできないだろうがね」の証言を得ているからである。

 日本政府は、「核密約は現在無効。非核三原則を堅持し、いかなる場合にも持ち込みを拒否する」と公式見解を繰り返しているが、それは明治以来のこの国の慣習であり、このフイルムで見るように小坂外相とラスク国務長官会談でも、「民はだまして、穏やかにやりなさい」の如き主旨が語られており、政府の公式見解をそのまま鵜呑みにできないからである。しかも嘉手納、那覇辺野古核弾薬庫の使用可能な状態での維持から見て、沖縄の核は大きく減っていない公算が高い

そして今、ウクライナ戦争を契機として日本では防衛強化が求められ、長年言い続けられてきた専守防衛を超えた攻撃能力のあるミサイル装備が、国民議論もなく、最初に政府決定で推し進められようとしている。

しかもそのミサイル装備は与那国島石垣島宮古島奄美大島などの西南諸島であることが、メディアの取材などでわかってきている。もしより多くの国民の命を優先するなら、本州日本海側の島々が候補に上る筈であるが、全くその徴候もない。

 もし沖縄に今も1000発近くの核が現存するならば、西南諸島へのミサイル装備は沖縄の核基地を守るためのものであり、アメリカからの要請で最初に議論なき政府決定も理解できよう。

しかしそれで日本の安全が守られるかといえば、むしろ逆であろう。日本の攻撃可能なミサイル装備には限界があり、現在の中国の勢いからしてそれを上回る攻撃ミサイルを配備することは容易であるからだ。

 日本に1000発もの核が現存するならば、それは日本が消える危機であると同時に、世界が消える危機でもある。しかし事実が明かされた後の危機は、隠されたままの危機より大きな前進であることも確かである。

なぜなら人類絶滅を超える核の存在は、沖縄、そして日本全体にとっても比類なき禍の到来であるが、もはや世界は言葉だけの「核なき世界」で有耶無耶にできず、人類絶滅回避ために分断を超えて真剣に向き合うからである。

 それこそが『永久革命としての民主主義第二部(日本の処方箋)』で書いた、沖縄から始める「核なき世界」である。

 

縁故主義緑の党への攻撃

 

 ドイツでは、上のZDFheute5月10日の報道で見るように、数週間前から緑の党ハーベック経済相の攻撃が激しくなって来ている。問われているのはハーベック経済相がグライフェン経済相次官を最も適任であるとして選び、グライフェン次官はエネルギー庁(DENA)長官を本来は委員会で選ぶべきにもかかわらず、最も適任者としてシェファー長官を経済相執行部で選んだことが問われているのである。

 グライフェン次官にしても、シェファー長官にしてもその分野で実績を挙げてきた緑の党関係者であり、緑の党縁故主義批判はドイツが全ての原発を廃止した頃からスキャンダルとして、右系メディアによって書き立てられたのであった。それによれば、ベアボック外相の元グリンピース代表のジェファニー・モーガンの採用を筆頭に、政治分野だけでなく、教育分野や文化分野に緑の党縁故採用が拡がっているというものである。

このようなネガティブキャンペーンは、2021年の選挙でベアボック首相候補世論調査でトップに立った際も行われており、その背景には現在の化石燃料によって構築された産業社会がエネルギー転換を推進する緑の党排斥に動いているように思える。

 今回のハーベック経済相の攻撃は、2030年までに80%以上の再生可能エネルギーへの転換を目標に掲げ、再生可能エネルギー法を自治体や市民エネルギー協同組合が有利に全面的に改正し、建築エネルギー法においても新設では暖房に再生可能利用を義務づけるなど、余りに強力に推し進めたことに起因していると言われている。また暖房費や石油価格が高騰するなかで、最後に残っていた原発を廃止したこと、そして不足分は実質的に石炭に依存していることに、多くの国民に不満が残ったことも確かであり、そこを突いた攻撃でもある。

 ハーベック経済相は10日の合同委員会では、エネルギー長官を執行委員会で決めなかったことを過ちと謝罪したが、グライフェン次官の辞任に対しては実績と有能さから拒否した。しかしその後、野党の辞任要求が強まり、グライフェン次官は辞任に追い込まれている。

 確かに今回のエネルギー庁長官の選任では、ハーベック経済相も認めるように過ちがあったことは確かである。しかし緑の党への縁故主義批判に関しては、緑の党がガラス張りに開いているから、緑の党の要職への採用が一目瞭然にわかるのであり、自制は必要としてもバッシングされるものではない。

 緑の党は新しい時代を築く目標を掲げ、責任を持って緑の党関係者を政府要職に拡げて行くのであり、ルールに違反しない限りごく自然に思われる。

 いずれにしても現在は時代のタンニングポイントであり、時代を変えようとする人たちへの攻撃は続くとしても、気候変動激化、世界の核戦争危機のなかでは、時代を切り拓いて行くしかないだろう。

 

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目次

『退化し続ける日本の民主主義と処方箋』 

はじめに

第一章 日本はなぜ、借金大国となったか   負債肥大にもかかわらず救済されない貧困化  日本はなぜ、借金大国になってしまっのか?  日本が開始した量的金融緩和 なぜ消費税を値上するのか?

第二章 官僚支配が造る利権構造  利権構造肥大が造り出す大本営

戦後官僚支配継続の切札「政令

第三章 日本を滅ぼす原子力政策  カタストロフィでも止められない原発輸出  なぜ原発輸出を断念しないのか?  核燃料サイクルの止められない理由

第四章 なぜ戦後民主主義が退化し続けるのか?  日本憲法は機能していないのか?  『日本人と憲法』  義男さんと憲法誕生

第五章 官僚支配の処方箋  国民開示の「事業仕分け」が世に問うたもの

官僚支配への処方箋

第六章 憲法を機能させる処方箋  なぜ日本の憲法は機能しないのか

裁かれなくてはならない密約や協議  国民開示の司法仕分け会議

第七章 日本の進化する民主主義と恒久平和

希望ある日本の未来  沖縄から始まる世界の恒久平和

あとがき 著者紹介