嘗ての緑の党大会の理念派と現実派の激しい争いを知るものには、映像で見る3日間の党大会には時代を切り拓く忍耐と一体感が感じられた。
事実緑の党は、現在の赤(社会民主党)、緑(緑の党)、黄(自由民主党)の信号機シュルツ連立政権で、経済大臣、外交大臣、農業大臣、環境大臣、家族・高齢者・女性・青少年大臣の未来への要のポストを得て、新しい未来を創ろうと奮闘している。
それは、気候正義を叶える自然エネルギーへのエネルギー転換であり、環境負荷をなくして社会正義を叶えるエコロジー転換であり、ドイツを根本的に変えるだけでなく。世界を変えるものである。
それ故開会式のスピーチは、「好むと好まざるとにかかわらず、最終的には世界を救わなければならない」という言葉で始まったのである。
またそうした大望を持っているからこそ、「未来のための金曜日」の若者が参加して来ているのである。
もっとも現実は厳しく、人権や女性問題のあるサウジアラビアへの武器供与は党大会直前にドイツ政府の決定が伝えられていたし、今年閉鎖される予定の最後に残った3つの原発にしても、ロシアからの天然ガス停止によるエネルギー危機に備えて春まで延期が政府方針として濃厚となっていた(事実党大会直後にシュルツ首相の権限で春までの延期が決定した)。
しかし党大会では、サウジアラビアへの武器供与は認められないと決議し、原発稼働期間延期も2つの原発は3月で閉鎖で妥協したが、エムスラント原発は公約通り年内閉鎖を決議した。
もっとも決議は決議であり、党指導部(政府関与者)党執行部に一任したことから、それが今の政府で実現されなくとも連立解消することはない。